私が雑誌に書く時だって岸先生は全然協力的ではない。
ただ私も何としても、岸信行の言葉、哲学を伝えるという姿勢は変わらない。
そんな岸信行と私の二十年。
悩みを抱えている多くの方々に幸せになって頂きたいからだ。
私もまた悩み苦しむ者の一人だからだ。
以下、岸信行の言葉 :
苦しんでいる時にね、光明を見出だそうと思ったら、手を挙げて「助けてくれ!」ってやったら、ダメだよ。
苦しんで、その苦しみが如何につらいものかを知っているその時こそ、同じ苦しみで苦しんでいる人を助けるんだ。
自分で救える人をね。
そうすることで、苦しみの正体を理解して、自分がその苦しみの中でどう力をつければ良いかが分かる。
いじめだってそうだよ。いじめられてる自分は辛い。だけど、自分より弱くて、いじめられてる人間はどうするんだよ。
少しはましな自分が、
「どうやって彼らを護るか」
を考えるより仕方ないじゃないか。
「自分さえ助かれば良い」という内は助からない。
自分のためにだけ泣いてるうちはダメだ。
「天は自らを助ける者を助ける」
というけどね、
「天は他人を助ける者を助ける」
とも考えられるんだ。
他人の痛み、苦しみ、悲しみのためにこそ、お前のその涙を流せ。
それが武道というものだ。
(聞き書き 不動武)
