1日27日付ウォールストリート・ジャーナル紙は、中国が自由貿易協定を豪州、韓国と結んでいる中、日米はTPP交渉を早く終わらせるべきである、とする社説を掲載しています。

すなわち、米・日その他10カ国が市場解放のためにTPPを締結すべき理由は多い。中国は今月、韓国、豪州と自由貿易協定(FTA)を結んだ。日米が躊躇している間、世界は立ち止まっていない。
中国は、今後20年間で韓国の商品の90%への関税を撤廃すると韓国に約束した。関税撤廃は韓国の電気製品、医療器具等の対中輸出増につながろう。コメと車の関税は残るが、HSBC(香港上海銀行)は、韓国GDPは3%以上増えると推計している。
中国の農民が韓国市場により多くのアクセスを得ることは、中韓関係を改善し、日本を孤立させる政治的狙いを持っている。米国が望む日韓との3カ国安保協力を掣肘することにもなる。
韓国は米国、EUを含む50カ国以上と自由貿易協定を結んでいる。日本と台湾はそうではない。台湾の高官は、中韓自由貿易協定で台湾の対中輸出の5%がなくなると心配している。
中豪自由貿易協定の影響も大きい。中国は豪州の病院、銀行などのサービスに市場開放し、10年以内に残る関税は撤廃され、中国の民間会社は安全保障チェックを受けずに約10億ドル投資できる。中国の国有企業の投資はチェックを受ける。アボット首相もロブ貿易相もこの協定を歓迎している。アジア・太平洋諸国は、米国の同盟国でさえ、米中間でヘッジしようとしているのである。
消費者に低価格のメリットをもたらすならば、これは必ずしも悪くない。豪州には米海兵隊の基地があるし、豪州は日本から潜水艦を買おうとしている。ビショップ外相は中国の軍備強化に警鐘を鳴らしている。
しかし、米国が安保、経済で引き続き弱さをみせれば、アジア諸国はヘッジよりも中国の野心に迎合することになってしまう。米国と日本は、中国と経済的影響力で競争したいのであれば、国内の特殊利益を克服し、TPP合意を早急にすべきである、と論じています。
これは、中国がアジア諸国との間でFTAを締結しているのに対して、日米は国内の特殊利益に振り回されTPP交渉で足踏みしていることを批判した社説であり、正鵠を射た内容です。
日本としては、台湾とのFTAを検討するとともに、TPPについての日米合意を早く完成し、台湾もその中に取り込む方向で対処するべきでしょう。台湾を孤立させず、経済的に日米の側に強く結びつけることには、大きな意義があります。
今アジアでは、中国中心の貿易秩序か、日米中心の貿易秩序かが問われています。これには戦略的な意義もあります。TPP合意は豚肉の輸入急増の際にどういう条件でセーフガードが発動できるかというような問題のために行き詰っているようです。日米は、そうした要請などに振り回されず、必要な場合は、補償措置も考えて早期妥結を図るべきでしょう。特定の産業が自らの利益のためにTPPに反対し、その成立を阻止することは、容認されるべきではありません。

中国のFTAについては、自由貿易が推進されるのであれば、それはそれで結構ですが、国内に、自由な市場経済というよりは中国的特徴をもった市場経済しかない中国が、本当に自由貿易を推進できるのか、強い疑問を持たざるを得ません。政治も経済も究極のところ中国共産党の独裁で決まる国が、自由貿易を原理として守ることはないでしょう。これは、2010年の尖閣沖衝突事件に関連したレアアース禁輸措置の例を見ても明らかです。中国が、リカードの比較優位説を信じ、自由貿易のメリットを深く信じている自由貿易論者であるはずはありません。この点、アボットやロブは、中国に甘いように思われます。
日本はTPPの早期妥結、そして、将来的課題として、できればその体系への中国の取り込みを目指すべきでしょう。豚肉などの特殊利益で全面的に妥協しても、他の面でより大きい利益が得られるでしょう。これは、そのまま米側にも当てはまることです。
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すなわち、米・日その他10カ国が市場解放のためにTPPを締結すべき理由は多い。中国は今月、韓国、豪州と自由貿易協定(FTA)を結んだ。日米が躊躇している間、世界は立ち止まっていない。
中国は、今後20年間で韓国の商品の90%への関税を撤廃すると韓国に約束した。関税撤廃は韓国の電気製品、医療器具等の対中輸出増につながろう。コメと車の関税は残るが、HSBC(香港上海銀行)は、韓国GDPは3%以上増えると推計している。
中国の農民が韓国市場により多くのアクセスを得ることは、中韓関係を改善し、日本を孤立させる政治的狙いを持っている。米国が望む日韓との3カ国安保協力を掣肘することにもなる。
韓国は米国、EUを含む50カ国以上と自由貿易協定を結んでいる。日本と台湾はそうではない。台湾の高官は、中韓自由貿易協定で台湾の対中輸出の5%がなくなると心配している。
中豪自由貿易協定の影響も大きい。中国は豪州の病院、銀行などのサービスに市場開放し、10年以内に残る関税は撤廃され、中国の民間会社は安全保障チェックを受けずに約10億ドル投資できる。中国の国有企業の投資はチェックを受ける。アボット首相もロブ貿易相もこの協定を歓迎している。アジア・太平洋諸国は、米国の同盟国でさえ、米中間でヘッジしようとしているのである。
消費者に低価格のメリットをもたらすならば、これは必ずしも悪くない。豪州には米海兵隊の基地があるし、豪州は日本から潜水艦を買おうとしている。ビショップ外相は中国の軍備強化に警鐘を鳴らしている。
しかし、米国が安保、経済で引き続き弱さをみせれば、アジア諸国はヘッジよりも中国の野心に迎合することになってしまう。米国と日本は、中国と経済的影響力で競争したいのであれば、国内の特殊利益を克服し、TPP合意を早急にすべきである、と論じています。
これは、中国がアジア諸国との間でFTAを締結しているのに対して、日米は国内の特殊利益に振り回されTPP交渉で足踏みしていることを批判した社説であり、正鵠を射た内容です。
日本としては、台湾とのFTAを検討するとともに、TPPについての日米合意を早く完成し、台湾もその中に取り込む方向で対処するべきでしょう。台湾を孤立させず、経済的に日米の側に強く結びつけることには、大きな意義があります。
今アジアでは、中国中心の貿易秩序か、日米中心の貿易秩序かが問われています。これには戦略的な意義もあります。TPP合意は豚肉の輸入急増の際にどういう条件でセーフガードが発動できるかというような問題のために行き詰っているようです。日米は、そうした要請などに振り回されず、必要な場合は、補償措置も考えて早期妥結を図るべきでしょう。特定の産業が自らの利益のためにTPPに反対し、その成立を阻止することは、容認されるべきではありません。

中国のFTAについては、自由貿易が推進されるのであれば、それはそれで結構ですが、国内に、自由な市場経済というよりは中国的特徴をもった市場経済しかない中国が、本当に自由貿易を推進できるのか、強い疑問を持たざるを得ません。政治も経済も究極のところ中国共産党の独裁で決まる国が、自由貿易を原理として守ることはないでしょう。これは、2010年の尖閣沖衝突事件に関連したレアアース禁輸措置の例を見ても明らかです。中国が、リカードの比較優位説を信じ、自由貿易のメリットを深く信じている自由貿易論者であるはずはありません。この点、アボットやロブは、中国に甘いように思われます。
日本はTPPの早期妥結、そして、将来的課題として、できればその体系への中国の取り込みを目指すべきでしょう。豚肉などの特殊利益で全面的に妥協しても、他の面でより大きい利益が得られるでしょう。これは、そのまま米側にも当てはまることです。
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