「雷ヶ丘に雪が降る」(大阪ファム・ファタルその2) | My Favorites

「雷ヶ丘に雪が降る」(大阪ファム・ファタルその2)

さて…ここが本来は肝心要の雷切・初花コンビです

東京でもラブのラの字もなかったので、こちらは年上だからダメというわけでもないらしい(爆)

大阪初見の友達が初花のことをこぞって「計算高い」「風神くんをキープしてる」とか言うんで

…そりゃいかん、この手のストーリーでヒロイン、そういうイメージではいかん


前に大尊敬申し上げる演出家さんが

「ヒロインというのはその子の笑顔だけで30分もたせられる女を言う」とかおっしゃってて

その時、その方が選んだヒロインというのは

セリフを言われると「ひゃーーーーーーー!!!!」って思い
殺陣をやられると「ひゃーーーーーーー!!!!」って思い

だけどその子が笑うと華が咲いた

ああこの笑顔が欲しかったのかと…ちょっぴりセリフや殺陣の分、おぎなわれたような気がした

しかしながらそんな子はそうはいません

いや、東京・大阪、どちらも愛らしいお顔立ちだということは知ってます

でも「圧倒的」ではない場合、それはもう「共感」してもらうしかないと思う(逃げ道逃げ道)


私が初花苦手に感じたのは「守られていることが当たり前」な顔していたからです

うん、たしかに今まで観たお芝居、この手のヒロインは無条件に愛される
荒くれ剣士なんかも一目で恋に落ちる

だからお前達、この三角形出てきたらそう思い込めよと言われてもなー


なぜ初花は守られて当たり前なんだろうか?

まてまて本当にそうか?

考えてみて下さい

初花の手にふれたら心を読まれてしまうんですよ

雷村の村人達はそりゃー良い人達です

でもです…心が読まれてしまうとわかっていれば、そこはそれ、腕だの肩だのには手をかけても
手にはふれないと思うんですよ

村人全員が初花の能力を知っている場合、たぶん初花10年は誰とも…偶然でもない限り、手にふれてないはず

「この人大丈夫?」的な、初花の秘密を知らない人用に使われたりしたことはあるかもだけれどね

この先、この能力がある限り、初花、恋をすることだってできません
だって誰も心が読まれてしまう娘を嫁にしようとは思わないもの


他の人のように表情を読み取ることもできないから
だから顔をさわってみるんです

他の人のように景色を見ることはできないから
だからあなたの見る世界はどんなですかと聞いてみるんです

風神に対するその2つの質問は初花の「いつも」の質問であってほしいんです

だって彼女の目の前はいつも漆黒なのだもの
あなたの見えているものを、せめて教えてもらえませんかと言って、なぜいけない?


うん、初花は風神に気をもたせてはいけない

いつもは手をつないだら押し寄せてくる感情

風神に手を取られて「ぎゅっと握るから手が痛い、感情があふれてきて胸が苦しい」

あれ本当に苦しいんだと思うんだ
彼女の小さなキャパシティにいつもあふれかえってしまう他人の感情

でもきっと雷切の感情は流れ込んではこなかった

たぶん彼女の方が一歩進んでのぞきこまなければ見えないほどの

誰も斬りたくない、誰も殺したくない

…うずくまるような雷切の感情


その瞬間にこの孤独な少女は恋をしてはダメでしょうか?

道雪の館でも、弱虫助けにきて、弱虫助けにきてって何度も何度も心の中で呼んだんです
でも助けになんかきてくれるわけない

風神のことなど思い出しもしなかった

なのに弱虫きてくれるんだもの

「どうして助けにきてくれたの?」って期待しちゃダメですか?

別れる時に毎回「弱虫、死ぬなよ」って確認しちゃダメですか?
だって彼は本当は斬りたくないんだもん、殺したくないんだもん
望むのはそれだけです、「弱虫、死ぬなよ」

目なんか見えなくても良かった、雷切が生きていてくれればそれでよかったのに


…そんな初花だったら好きだったかもなーとか

うん、逃げ道逃げ道




<追記>

普通に考えて

「女子供も殺すって言うよ」な山賊に「村守って」って頼もうなんて思わない

できれば近づきたくないけれど、それでも勘平さんが雷ヶ丘に赴くのは、それだけ初花の心を読む能力、疑いようがないってことだ

てかなぜ勘平さんが先に行ったんだ?
流河が先に行って、勘平さんが初花の手を引けばよかったのに

…というのは置いておいて

ただ単に初花は雷切に会いたかっただけなんじゃないだろうか

「その声は弱虫?」
「誰が弱虫だ!!!!」
「じゃあ私の頼みを聞いて」

ほら、会話が成り立つ

人がひた隠しにする秘密を声高に叫んでその人の気を引くのは小娘にしか許されない暴挙だ

ただ単にもう1度会いたかった

1度じゃない、何度も何度も会いたくなった

雷切が村を守るということは、雷切が村に来るということだ

しかし、おい待て初花

あなたはただひとり、雷切の「誰も傷つけたくない、殺したくない」という心の声を聞いた女だ

なのにその男に数万の敵と戦え、そいつらを殺せと言うのだね

そんな残酷、初めての恋におぼれてる小娘にしかできないよ

でもね、初花

この男達は今まさに雷ヶ丘を捨てて大海原に出ようと思っている男達なんだ

いやきっと遊児の仇討ちのために道雪狙うだろうけれども

長年の友のために道雪だけ討ちゃいいってのと
昨日初めて会ったばかりの娘のために、これから未来永劫、大名と戦って村守れってのと

どっちがどんだけ無茶なのかっていうの、私が忘れるような「恋」を

再々演ではお願いしたいものでございます