アクサルの英二について考えてみる | My Favorites

アクサルの英二について考えてみる

出雲に住む普通の19歳の若者だった

棒高跳びをやっていた
怪我をして、以前のように飛べなくはなっていた
それなりに悩みはあった
だけどそれは日本に住む19歳なら大なり小なり誰もが抱えているような悩みだった

伊部さんと出会って、ある日「ニューヨークに行かないか」と言われ

それはちょっとした気分転換だった

行ったことのない新しい場所
ほんの数週間
だけどすぐに、元の、普通の19才に戻るはずだった

19歳に見えないことも、そんなにぷっくり怒るほどのことじゃない
日本人がアメリカでガキに見えるのは当たり前なんだから

ドキドキとしながらも、彼には本当の「ストリートキッズ」の怖さなんかわかるわけもなく
ただついていった

「英ちゃん、カメラ取って」
そう言われて、伊部さんが軽く身体を引いたあの時
出会うんだ、あの美しい獣に
圧倒的に美しい獣に

だけど「あ、カメラですね」って
彼は視線をそらすことができるんだ
崇拝でもなく、憧れでもなく、憎しみでもなく、性の対象でもなく
アッシュが始めて出あった19歳の普通の若者の眼なんだと思う

伊部さんがカメラの準備をしている間に、英二の眼をひきつけたのは銃

「それって本物?」

意味わかんない…「どういう意味?」

「さわらせて」

「俺」じゃなくて「銃」、視線そこ?このがきんちょ…「いいぜ」

受け取ってみて初めてわかるモデルガンとの重みの違い「ねえ、人を殺したことある?」

「あるぜ」…それはきっと当たり前に

「そうか」…それはきっと本当の実感はなく、ただ銃の重みだけを感じて

「ほんと、ガキだな」

19歳と17歳の

等しくがきんちょであるはずの年齢の

なのに

この2人は違うんだと、私達とアッシュの住む世界は本当に違うんだと、観客に知らしめる大事なシーンだと思う


アッシュとマービンのシーンでの「え?」

あれもラストの「え?」は、ふりかえるような「え?」

ジョークでなくて、小説でなくて、もうすでに起こってしまっていることがわかった「え?」


塀を乗り越える時も

飛び越えられると確信していたわけではない

きっと自分のベスト、もしくはそれ以上の高さで

でも助けるために飛び越える

足元をトントンと確かめて

地面と自分の足首と

そして集中

飛び越える

その瞬間、アッシュには彼がきっと鳥に見える

相手を特別視したのはアッシュが先だ


…英二、ここまでお兄ちゃんくね?

守ろうとしてない?


スキップが死んだことがわかって

アッシュが州刑務所に入れられちゃって

守りきれなかった、他に何かできることはないのかと、だから連れて逃げた

アッシュの手を引くのは英二だ

決して巻き込まれたわけじゃない

「お前のせいじゃない」ってアッシュになぐさめてもらうためでもない


精一杯の事はやった

それでも「足手まといだ」と言われれば「そうか」って思う


だって「ショーターの死」だって本当に英二のせいだもの

どちらか選ばなければならない瞬間に「英二」を選んだのはアッシュでも

その隙を作らせたのは英二だ


「扉をふっとばす」時も物陰に隠れるバージョンの方が好きだった


英二は「最後の手紙を嘘でなくするために」精一杯のことをしていなければと思う

必死で逃げようとし
必死で地下街まで走り
必死でアッシュを取り戻そうとし
アッシュを安全な場所に連れて行こうとし
そして咄嗟にアッシュをかばい

アッシュを逃がそうとする
でも追いつくから
必ず君の元に戻るから
ずっと一緒にいるから

そうは見えなくても、経験値としてはアッシュが上であろうとも
精神的に英二が上であろうとせねばと思う


そんな

かわいこちゃんではない

アクサルの英二にいつか会いたいと思う