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俺はまだ生きている!

観て参りました
小栗旬くんの衣装が話題の\(--;)「カリギュラ」

がんばっていました
うん、その言葉が1番しっくりくるような舞台でした

「カリギュラ」という言葉で連想する程、過激な物ではなかったと思います
BunkamuraのHPに踊る「相次ぐ処刑と拷問」「貴族の妻の略奪」「残虐非道な行為」
それはほとんど「言葉」のみの表現ですから
正直、もっと退廃的なサバト風景が観られるのではないかと思っていたので
あはん、ここでも私の想像力が先を行く?
長テーブルに白い布…なんて、ものすごいセクシーアイテムだと思うのに(←そお?)

なぜカリギュラは論理的に「狂気」に走ったのか
私には謎のままです

推測するに
近親相姦の関係にあった妹の死、きっかけはそこです、たぶん
でも原因ではない気はする

「皇帝」という絶対なる権力を持たされながら
その器にそぐわない弱く善なる心を内に含み
いつその地位を奪われるかわからない不安、「唯一」なる者の孤独を抱え
その震えるほどの恐怖から逃れる一瞬をもたらす者は普通の者では足りえるはずもなく
年相応な娘はもちろんのこと、年上、人妻…そんな禁忌は何の歯止めにも充足にもなりえず
絶対の禁忌、「実の妹」との愛欲
内臓の痛みを忘れるために自らの肉を傷つけるような、そんな自虐に彼は少し安心する
ギリギリ精神を安定させる

その妹の死
皇帝にも貴族にも平民にも平等に訪れる死
不平等の中でたった1つの平等とは「死」のみ

今回の事はそれに気づいた彼の、自ら死を選ぶ事のできない文化の中での
壮大ではた迷惑な自殺ではないかと思うのです
彼が皇帝であるために、長い時間と大勢の犠牲が強いられただけの

…とか想像はしますが
実は…私には小栗くんは「暴君」…「皇帝」に見えなかったのです、すんまそん
まずそこです

たいそう美しく魅力的な傷つきやすい貴族の男の子ではありましたけれど
身体のラインも…多少つっつきたい所はありましたけれど
あくまで「多少」…「微少」って言った方がいいくらいな所がすばらしい
それくらい美しいラインでしたよ
たぶんこのラインが今回、藤原くんではなく、小栗くんを使った所以ではないかと思うのですよ
微妙な頭身の差ですが…

あまりに綺麗なフォームなので全くいやらしくない
たとえ腰布一枚であろうと、お尻がぴょこんと出ていようと
これが良いのか悪いのか、カリギュラとしては賛否がわかれる所かもしれません

そして昨今の風潮でしょうか
若村さん演じるセゾニアとのシーンより
シピオンやケレアとのシーンの方が実に色っぽい

勝地さんには男っぽいイメージがあったのですが
今回茶髪で小栗くんとの身長差もなんとも良い感じ
2人で詩を作るシーンや、創った詩を朗読するシーンはなんともステキでした
舞台下手にたたずむ勝地シピオンの手をつかんで舞台中央の長テーブルに連れて行った時には
何が起こるのかと無駄にドキドキしました

詩を創れというカリギュラ、創れないというシピオン
その手を取り、頬に手を寄せ、首に腕を回し、抱き寄せながら詩を創らせる
シピオン気分で「もういいか…」とか思いそうになったよ、小栗くんっ!!
勝地くんもなんともかわい子ちゃん雰囲気で
…今、「かわい子ちゃん」は男子の中でブームなのですか!!!

カリギュラの足元で「まだ年若いのに私は父を亡くしました」と言い
去って行くカリギュラを振り返る表情もせつなげで

シピオンが「あなたを愛していました」そう言って去った後
閉まる扉に手を伸ばすカリギュラもステキだった

この2人のつながりは善なる者の中にも悪に憧れる気持ちはあり
悪と呼ばれる者の中にも善に焦がれる想いはある
そんな合わせ鏡のようで実に魅力的でした


もう1人のケレア…この方は衣装が沖田の白ワンピに似てて
そこん所がすごくトキメキました(←そこ?)

でも全体的に弱いんですよね、小栗くんの葛藤と対比するには

論理的に狂気に走るカリギュラに対し
幸福を願うのは健康的な想いだからとカリギュラを倒す事を決意するケレア
説得ではなく排除なのだけれどね
それを健康的な欲求だと言う所は
ある意味カリギュラのやっていることと大差はないと思うのだけれど
林修司さんあたりの強気な冷酷さで観てみたいかも…なお役でした


さて、寝不足でまとまんないので、後は思いつくままに

・情熱大陸は映画の予告編のように、おいしい所を選んでいたなぁ…と
 ある意味、予告編で満足する感も多少ある?

・女装は2回、ビーナスはお尻が見えちゃう衣装でした
 もう一方はダンス付
 …この2つの衣装が着れる時点で花君のメイド服も最終回のドレスも無問題だったなぁ…とか
 あ、それ繋がりで客席に上川隆也さんがいた模様

・小栗くんと藤原くんの喋り方が似てきた気が…
 これが蜷川演出なのかしらん?
 意外に声質も似ているのです

・ラスト、鏡に映る複数のカリギュラ…という演出はうまかったなぁ

・パンフで事前に気がついていたのに
 本番になると磯部・ウルザード・勉様の存在に全く気がつかなかったぞ

・暗転が長い

・セゾニアの殺し方が美しくない
 小栗くんは美しく見えたのだけれど、セゾニアが美しく見えなかった
 甘えて腕を回しているのかと思ったら、腕で首を絞めているシーンだった
 後から覆いかぶさるように腕を回すと女性が美しく見えないのよねん
 で、腕で殺すより指で殺す方が綺麗だと思うんだけどなぁ
 でもその後のセゾニアとエリコンのシンメトリは好き

・食事シーンは正直、汚かったです…で、ちょっとだけ眠くなりました

・小栗くんに迫ってもらえる人妻役はおいしい…とか

・月川くんの使い方が悲しい程もったいなかった

・千秋楽はスタンディングオーベーションになるなと思ったら
 すでに昨日の時点でそうだった…そお?

・パンフ買うのも長蛇の列だった…すごいぞ、イケメンパラダイス効果


後ですね
今回の蜷川さん
情熱大陸で小栗くんが怒っていた事
打ち上げで隠れなきゃいけなかったり、セリフを覚える時間がなかったり
あと、人気が先行している事への苛立ちとかね
それがカリギュラとリンクすると思っていたのだと思います
たしか情熱大陸ではそう言っていた
なんだけど今回、蜷川さん的に小栗くんにかなり頼った演出だったと思うのですよ
演出的な「深さ」は伝わってこなかった

個人的に「これは小栗旬を観るための舞台だ」と思ったので

今年は「来た仕事は全部引き受ける」と決めて
そしてそれをやり遂げようとしているので「今が旬」な人になった小栗くんですが
できればじっくりと時間をかけた物が観てみたくなった昨日です

…憑依型の人にポイント高めの私なのだよ、ここんとこ

でもまあ何はともあれ、葛藤し、あがき続けている美しい若者というのは
遠くから見ている分にはなんとも良いものです
…惚れきっていないうちはね


さて「カリギュラ」観劇記念に前回の「お気に召すまま」感想もUPしちゃいます