ただの小娘でしたのに
6月に観たものですが、今月シアテレで放送されましたので
その時書いた感想を未見だったシニョーリチームと合わせてUP
スタジオライフの「ロミオとジュリエット」エルベチーム
ええ、本当に普通の小娘だったんです
悲劇の道が似合うようなそんな翳りを持つ少女ではなく
親に愛され、恋に憧れ
それこそ人を愛したら「結婚」しか想像できないような
ただの、普通の13才の小娘だったんですよ、ジュリエットって
小さな、ありえないぐらいの偶然と
ほんの少しの勇気のなさが
「悲劇」へと追いやった、そんなライフのロミジュリ・エルベチームでした
たぶん、何事もなければ
ロレンス神父がよき日を選び2人の秘密の結婚が報告され
両家の当惑・怒りはきっとあるけれど
そこはそれ
子供でもできれば大団円
孫の時代にゃあ笑い話になっているそんな2人になれるはずだった
ラスト近く、ロレンス神父を冷たく見下すジュリエットの瞳に
この男を信じた自分に
人に頼った自分の甘さに
何より大事なものを失った
悲しみよりも怒りが見えるそんなジュリエットでした
林ジュリママにも同じ事が言える
夫の言うことを信じ、後をついてきたママが
最後の最後に夫を顧みず、前を歩く
娘を追い詰めた夫にではなく、娘をかばいきれなかった自分に
やはり怒りを覚えているような
こうした所に親子を感じさせる林さんはライフの宝である、と思う
舟見ジュリエットは、本当に普通の(アホな)子でしたよ (^^ゞ
ロミオの話が聞きたいと乳母にだだをこね
(座り込んで手をバタバタさせてた)
乳母をどなりつけるわ
ロミオを階段からつきおとしそうになるわ
従兄弟の死は悲しいけれど、大好きな人と会えなくなるほうがずっと辛い
どこまでも自分中心の子供らしさで
鳴いているのはナイチンゲール、ひばりではないとロミオに甘える
またこの時の岩崎ロミオには
「貴様はホストかっ!」とつぶやきたくなりました
「いいよ、君が望むなら留まろう、死など怖くない」
そー言われりゃー離れぬわけにはいくまいて
舟見ジュリに呼応するかのように、岩崎ロミオもアホの子でした
突っ走った後で
でもきっと誰かが助けてくれると信じていた
そんな幼い坊ちゃん・嬢ちゃんカップルでございましたよ
大人って、子供が考える程、大人じゃないんですよね
パパママしかり、乳母しかり、神父しかり
ロミオが死んで、オロオロウロウロするロレンスを演じる主宰に
初めて、「演技できるようになってんじゃん!」と失礼な事を思う私 (^^ゞ
しかしロミジュリってこんなに「もしも~だったら」が多い戯曲だったんですね
例えば
もしもあと5分早くジュリエットが目を覚ましていたら
2人は超とばっちりのパリスをかえり見もせず
とっとと手に手を取って逃げていただろう、とか
手紙が無事に届いていたら、とか
パルサザーが気をきかせてジュリエットの死を知らせにいかなかったら、とか
そもそもロザラインがロミオに振り向いていたら
ロミオはあのパーティーに行かず
ジュリエットは言われるまま何の迷いもなくパリスと結婚してただろうし
ロミオがマキューシオとティボルトのケンカを止めに入らなければ
きっと引き際は熟知していた両家だと思います
だって今まで小競り合いはあったけれど誰も死んでいなかったんだもの
ライフのロミジュリは
シェイクスピアの4大悲劇なんつーご大層なものではなく
誰にでも起こりうる、そんなロミジュリでした