浅草キッド

 じろりんがビートたけしさんと初めて会ったのは、浅草松竹演芸場で芝居をしていた頃で、たけしさんはフランス座という小屋のエレベーターボーイをしていました。

 私は、どこかのチンピラだと思い込んでいたのですが、暫くするとツービートという名前で演芸場の舞台に立ち始めたのです。

全く面白くないコンビだったので、絶対に売れないだろうと確信していました。

ところが、じろりんが芸能界を引いて姫路へ帰ってから暫くして、たけしさんはテレビの超売れっ子になっていました。 

 その後、映画の監督でも賞を取ったりして驚きましたが、初期の浅草演芸場時代の、さっぱりうけていない印象が強烈すぎて、何かの間違いだと思っていたのですが、

今回シンガー・ソングライターとして紅白に出演され、心に響く歌を聴かせて頂き、これは本物だと、ようやく気付くと共に、一気に浅草時代を思い出したのです。

♪煮込みしかないくじら屋で夢を語った・・・

(チューハイを初めて呑んだ浅草の「一六酒場(捕鯨船)」は芸人の溜まり場でした)

♪灯りの消えた浅草の 炬燵一つのアパートで・・・

(あの当時、三畳一間の間借りでした)

♪いつか売れると信じてた 客が二人の演芸場で・・・

(当時、浅草は本当に寂れていました。客が一人の時もありました)

♪夢は捨てたと言わないで 他に当てなき二人なのに・・・

(あの時、コンビを組んでいたケンちゃんを思い出しました。今頃どうしているのだろうか)

 この「浅草キッド」は、まるで、じろりんへのメッセージのように心に響き、早速、レパートリーに入れました。

 

 

浅草キッド(歌詞付)歌:姫路のじろりん - YouTube