東京時代の後輩役者・井之上隆志。

私が東京を去ってより20年後に再会した時は、こんなに凄い役者なっているとは知らなかった。

惜しい事に、平成29年3月に56歳で亡くなった。

嬉しい記事を発見しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大島幸久の『何でも観てみよう。劇場へ!』より・・・。

http://mety.org/program.html

知る人ぞ知る俳優だが、井之上隆志というバイプレーヤーは実に達者だなあ。巧い!そして面白いんだなあ。

 

池袋のシアターウエストで見た劇団道学先生による「丸芸芸能社の落日」(6月5日まで)で、彼の実力に改めて舌を巻いたのでした。

 

宮崎県の地方都市で映画館を経営する社長、丸山という役。「ただの老いぼれさ」などと吐くのだが、登場した瞬間からその存在感の濃さが目立つ。やや濁った声質で話す台詞は小気味が良く、テンポがあり、はっきりと聞き取れる発声術は際立っていた。

 

孫娘にプレゼントしたギターを弾く場面が驚きの一言。初めて見る人は目を回しただろう。情感が溢れる歌声、両足でリズムを取る仕種。こんな老人がこんなに上手に弾くのかと思わせる。

 

無料パンフレットに主催者で共演者の青山勝が「ますます熟成した葡萄酒のような滋味あふれる芸を存分に味わってください」と書いていた。小劇団の舞台で鍛え抜いてきた芸の持ち主。55歳。

 

故中村勘三郎が目を付けたのがよく分かる。井上ひさし氏が花王おさむは名優なのだ-と書いたことがある。その伝で言うと、井之上隆志は名優なのだ。9月の「雪まろげ」での彼が待ち遠しい。  (平成28年6月2日)

(雪まろげのポスター)

嬉しい批評です。