〈聖書の地を訪ねて No.1〉


-エマオ. ニコポリス-



美術好きの方なら、カラヴァッジオやレンブラントが描いた「エマオのキリスト」という絵をご存知の方も多いと思います。





エマオはエルサレムから車で30分弱のところにある古代の小さな町でした。



エマオ.ニコポリスの遺跡入り口
街道沿いにあって、この日はここに来る目的で来ましたが、実はなんと、ここの近くに住む友人に車で拾ってもらう時に待ち合わせ場所にしている交差点のすぐそばにある場所だったのです...!!もうびっくり。

イエスの時代の後、4~6世紀頃に建てられたビザンティン式の教会。この頃エマオは"ニコポリス"というギリシア風の名前がつけられていました。

往時がしのばれます。

教会内の祭壇だった場所。
今も巡礼の人々がここで礼拝を行います。




ユダヤ教の歴史では、エマオはイスラエルの民が戦いで勝利を得た場所として、キリスト教では、十字架刑で亡くなったと思われたキリストが、甦って弟子たちの前に現れた場所として、聖なる地とされています。






打ちひしがれていた弟子たちが、エマオの村である人と食事を共にした時、弟子たちは彼がパンをちぎるその手つきで、目の前にいる人がイエスである、と気づいたと「ルカによる福音書」に書かれています。





私は特に、レンブラントが描いた「エマオのキリスト」を絵を子供の頃に美術カタログで見て、その雰囲気が忘れられなく、ずっと頭に残っていました。




レンブラント. ファン.レイン作
「エマオのキリスト」(1648)
ルーブル美術館   パリ




今は廃墟として残る建物はビザンティン時代、エマオが「ニコポリス」というギリシア名になった時に建てられたものなので、イエスの後の時代に教会として建てられたものですが、不思議とレンブラントが描いた「エマオのキリスト」に通じるような感じがあって、レンブラントはここを恐らく訪れたことはないであろうはずなのに、不思議なリンクが、時空間が溶けるような感じがしました。




この壁の雰囲気と、

エマオの教会跡の壁、なんだかとても似ている感じがします...。




もっと感慨にふけっていたかったけれど、何せ強烈に暑いので(常に水を飲んでいないと熱中症になる💦)ので、また来てゆっくり過ごしてみよう、と余韻を残して...。




「エマオだったのではないか?」とされる場所は実はもう一つあります。

そこも近日中に訪れてみたいと思います。




カラヴァッジオ作
「エマオのキリスト」(1601)
ナショナル. ギャラリー   ロンドン


弟子たちの驚いた様子、今にも画面を飛び出してきそうな椅子、カラヴァッジオの劇的な作風はここで起きたであろう出来事をあますところなく描き切っています。