外国の土産に変なチョコを買ってくるな -2ページ目

 

8/22(木)

 

 白昼堂々けたたましく鳴りまくるインターホンで目覚めると、アリマとにしけんが俺の家まで小汚い軽で迎えに来ていた。この日は京都nanoにて、時速36kmとNOWEATHERのWリリースパーティーに出演する由。どうやっても半分しか開かない目をこすりながら後部座席に乗り込み、一路京都へ。普段はカイトとカズキという、二人合わせてちょうどダイナマイト一本分くらいやかましいメンバーの影に隠れがちだが、この二人はこの二人で十分ベラベラ喋るタイプなので、車内の空気は今日もせわしない。二日酔いと起き抜けの低血圧をもって、会話に参加するどころかもはやまともに座り続ける気力すらなかった俺は、狭い後部座席に無理やり体を横たえ、窓の外を流れゆく曇り空を眺めていた。どこまで走っても、大して代わり映えのしないような、それでも何か、少しずつ変わっていっているような、そんな空模様。nanoに到着し、共演するバンドの面々と雑談していると、ややあってカズキの運転するハイエースが到着。みんなで機材を搬入する。物販を並べる。セットリストの流れを確認し、音響の要望を書く。どれひとつとっても、これといっていつもと代わり映えはしなかった。でも、少しずつではあるが、着実に前進しているような高揚感もある。楽屋では、この日の共演の中で一番付き合いの長いthe seadaysのナラサキくんと雑談していた。聞けば今夜はバイトがあって終演後の打ち上げには参加できない、との談。何のバイトしてんすか?と尋ねると「堀江のショップ店員」との答えが返ってきたので、ショップ店員、それも大阪有数のオシャレタウン堀江のショップ店員とは随分チャラいことしてるな、と思ったが、よくよく話を聞いてみれば堀江にあるコンビニを「堀江のショップ」と呼んでいるだけのことだった。楽屋では他にも、時速の慎ちゃんが、長年付き合っていた彼女にフラれた、と傷心していたり、夏らしく怪談の話題で盛り上がっていたらNOWEATHERのかっさん(俺は名前に「か」という音がつく人間は基本的にすべて「かっさん」と呼んでいる)が夜中の実家で幽霊を見かけて一か八か殴りかかってみたらおばあちゃんだった、というよくわからない怪談を披露しはじめたり、とにかく、いい意味で、いつも通り。みんなでライブをして、打ち上げで酒を飲み、帰りにラーメンを食った。これもやっぱり、いつも通り。まぁ、大して腹も減ってないのに帰りのラーメン屋で調子こいて大盛りを注文したら明らかに胃のキャパを超えてしまい帰宅した途端に部屋の床をゲロまみれにしてしまう事件があったが、大きな出来事といったら、それくらい。ほんと、それくらいしかない、大切な一日でした。

 

 

8/23(金)

 

 この日はHue'sとCRYAMYがFireloopでツーマンをするとのことで、前日から俺の家に泊まっていたリクくんと昼過ぎに家を出た。道中、梅田のイシバシ楽器にて前々から買おうと思っていたボーカルエフェクター用のマイクケーブルを購入していたら、そういえばこの上のフロアに俺らのCD置いてくれてるタワレコがあるな、ということを思い出し、発売から二ヶ月近く経ってから初めて売り場を見に行った。こういうのって、なんか知らんけど、発売日くらいにバンド全員で挨拶回りしてCD持って撮った写真をSNSに載せ、みなさん購入よろしくお願いします、みたいな華々しいアレをやるもんじゃないのか、とも思うが、俺は完全にパンクスなのでそんなことはしない。何ならこの日もブルドーザーで登場してコブクロのCDを全部万引きして帰るくらいのパンクスっぷりを見せたいところだったが、生憎ブルドーザーの持ち合わせがなかったし、コブクロのCDはいらないので諦めた。ありがたいことに俺たちのCDは好調な売れ行きを辿っているようで、置いてもらっているコーナーの売上ランキングでなんでか知らんが堂々の一位になっていた。多謝。

 

 そのまま二人で大阪駅から環状線に乗り、寺田町へ。16時、という微妙な時間に到着してしまったせいで、満足に飯を食う店も見つからず、困り果てていたところ、アウトレイジに出てきそうな雰囲気のお好み焼き屋(伝わらないと思うが、行けば分かる)を偶然見つけ、入店。内装の雰囲気やメニューの味が良かったのは勿論、なんといっても、かわいらしくて愛想の良い女の子がチャキチャキ働いていたので、二人してテンションはこの日の最高潮へ。その子がお冷を持ってきてくれたりするたびに二人で「キャワワ…♡」とはやし立てるなど、成人男性にあるまじき振る舞いをとった。会計の時に「頑張ってますね、おいくつですか?」と訪ねたら「高2です♡」と言われ、謎の感情になったリクくんが「うぉぉおあああああああああああああああああああ!!!!」と叫び始めたので、やめなさい、と制し、そのままfireloopへ。防音扉を開けると、各バンドのリハーサルが始まっている。スタッフパスを首から下げたはいいがこれといってやることはない。適当に写真とか撮ってイベントの告知でも手伝おうかと思い至るも、幸いなるかなチケットはソールドアウトの触れ込み。楽屋での雑談に勤しむ。そうこうしているとリハの終わったみずやんがチューハイに絞るレモンを買いにスーパーへ行くと言うのでついていったらルフィがクロコダイル倒した時くらい雨が振ってきて最悪だった。レモン片手にずぶ濡れで帰ってきて服を雑巾みたいに絞ったり頭を乾かしたりしていると、いつの間にか受付には長蛇の列が出来ている。ライブが始まって、デカい音が鳴って、拳が上がる。いつしかすっかり見慣れてしまった光景も、こうして客観的に見ていると、それこそまるで、ドラマのワンシーンのようだ。打ち上げは近所の鶏鍋屋。Hue'sのVo.龍は近頃何やら思うところがあるようで、俺とカワノに暗い顔で悩みを打ち明け、そこからは三人で何やらバンドをやっていく上での真面目な議論をした。まぁ、悩んだり、御託並べてみたりするのもいいけど、結局、走り続ける以外の解決方法はないんだ。特に俺たちみたいな頭の悪い人間は、そのぶん全力で走るしか、道はない。Hue'sは翌日の昼からナノボロフェスタに出演するため、打ち上げは3時頃に終了。ちなみに俺たちPK shampooとCRYAMYは明後日のナノボロに出演することになっている。店を出ると、旭が持っていたインスタントカメラで集合写真を撮る流れに。ツーマンの写真だし、と外れようとしたが龍に引き入れられ、写ってしまう。あーあ、と思ったが、まぁ、そんな変にキッチリしなくても、写真なんてこれからいくらでも撮れるからいいか。CRYAMYの機材車に同乗し、帰宅。

 

 

8/24(土)

 

 PK shampooとCRYAMYのメンバーおよびスタッフに俺の大学の後輩などを交えた一行が昼からどこぞに集まってバーベキューをする予定があったが、眠いので不参加を決め込んだ。そもそもこの日にどっかでバーベキューしようって言い出したのは俺だった気もするが、眠気には勝てない。そういえばこの前も、草野球チームを作って野球がしたい、と大騒ぎしてあっちこっちから人を集めておいて試合の当日は欠席してしまった。俺という人間はまったく話にならない。なれ。

 

 バーベキュー組はそのまま宿泊も兼ねて京田辺にあるカズキの祖父の別荘に行くとのことだった。あの別荘にはプライベートの音楽スタジオやカラオケマシーンなんかもあって、まだPKを組んだばかりの頃はメンバーでそこに泊まって練習したりもしていた。他にもとにかく色んな設備があって楽しい場所なので俺も行こうかな、と思ったが距離的に面倒なので、いつも通り出町柳ハウスへ。道中、カワノから「アリマが間違って別荘のセコムを作動させて警察がめちゃくちゃ来た…」という連絡が来て、「海外ドラマなんかでも軽率な行動をとって周囲を巻き込むのは決まってああいうお調子者のデブなんだよな。おまわりさん、そいつをお調子者デブ罪で連行してくれ~~~~~!!!!」と思っていたが、どうやら連行されなかったようだ。なんでだ。されろ。

 

 出町柳ハウスにつくと二階でナノボロ終わりのみずやんがパンツ一丁で気絶していた。なんとか叩き起こし、酒を飲み始める。そのうち、一人、また一人と人間が増えたり、反対に減ったりし始める。焼酎をなんやかんやで割って飲みまくった。気づけば朝の9時。

 

 

8/25(日)

 

 昼11時半頃に叩き起こされ、そのまま玄関先に停まったハイエースに押し込まれる。機材車は一路ナノボロフェスタへ。とにかく眠い。二日酔い、というか、まだ普通に酔っている。出番はnanoの二番手。グロッキーだったが歌い始めてしまえば意外と何とかなる。楽屋でたなりょーさんたちと話してゲラゲラ笑っていたら段々体調も戻ってきたが、とにかく眠い。自販機で水を買おうと外に出たら女の子が目の前にシュババっと飛び出してきて、何事かと尋ねると一昨日あたりに「PK shampooみたいなバンドをやりたくてメンバーを探しているので自分を宣伝してくれや!」とDMを送ってきた人物だった。なんか勝手にひねくれた男子大学生みたいな人かと思っていたら小柄な可愛らしい女の子だったのでやや驚いた。ドラマーを探しているらしい。興味があれば俺のツイートから。

 

 どうしてそんなことになるのか分からないが、カーミくんは先日の弾き語りの一件から、みんなで一緒にフィッシュマンズのいかれたbabyを歌うことにハマっているようで、この日も自分のバンドのライブ中に俺とカワノとののこちゃんを無理やりステージに上げてきた。なし崩し的に上がってみたはいいが、カワノは歌詞もメロディーもわからない、と言って隅っこでひたすら踊っているだけだし、俺も歌詞とかよく覚えてないしで、本当によく分からない空間になった。まぁ、いかれたbaby、つってるんだから、いかれた空間になってて当然だし、ボロフェスタの名前通り、こんなものはとにかくお祭りなんであって、そう考えればこういう奇妙なノリもアリなのかもしれない。その後、今度やるイベントに使う写真をみんなで撮影するなどしている間に疲れが臨界点を超え、全員を説得して機材車にて真っ直ぐ帰宅した。そのまま自宅のソファに倒れ込んでみたはいいが、不眠症のケがあり、なかなか寝付くことができない。そんなこんなでゴソゴソとYouTubeを見たりしていたらとうとう朝になってしまい、開き直ってこの日記を書き始めた。現在、8月26日午前8時。起きたら曲でも書こうかな。