<プロット(1)の続き>

 (暗転)

ジュナ『そして、月日が経ち。嫁取り問題や数々の

確執を互いに広げていった、我々とカルナは、

最後の決戦を…あの時を迎えた。父インドラの謀を

知っていながら、体と一体化した不死の鎧を渡し、

数々の呪いに遭い、他の兄弟を追い詰めても殺さ

なかったカルナ。そんなカルナに我々はそれでも、

苦戦した。喋りは無骨だったが、どこまでも

前向きで、慈悲深く、高潔であったカルナ。

そして、そのカルナを…約束をしていたと

いうのに、呪いにはまって戦車に挟まって

動けなくなったカルナを待つことなく…。
クリシュナ「友よ!アルジュナよ!今だ。

カルナを討て」
ジュナ「何を言っている。戦士として戦闘不能に

陥っている人間に攻撃を仕掛けてはいけないと

いうルールがある。正々堂々と」
クリシュナ「アルジュナ。ここには我らだけだ。

そして、お前の行動は国の為だ」
ジュナ「!!」

ジュナ『何かにとりつかれたように矢を番えた。

カルナは絶対に避けられない。カルナの全てを

見抜くあの視線が、こちらを見つめる。止めろ!

その目で見るな』
ジュナ『カルナ!!!』

(矢が回転しながら勢いよく飛ぶ絵)

ジュナ『矢が当たった瞬間。カルナは、何故か

一瞬笑った』
ジュナ『この高潔な英雄であったアルジュナが…

全く敵わず…。卑怯な手で殺した。黒い心に打ち

勝てず…殺してしまった。しかも…』
ジュナ『カルナの死後、カルナは太陽神スーリヤと

我が母クンティーとの子。数奇な運命により別れた、

血を分けた我が兄だと知った』
ジュナ「わあああああああ!!ああ…あああ…」

ジュナ「聖杯よ!!英霊の魂を求める聖杯よ!!

お前の求めに応じる!私の死後の世界を託す!

私の望みを叶えよ!!今度こそ!今度こそ

カルナと正々堂々と戦う!実力で私が勝つ!!

聖杯よ!!我が声に応えよ!!!」

 

(暗転)


 ---------------------------------

 ジュナ『こうして、私は、英霊となり、

現在このカルデアに召喚された。ここのマスターは、

聖杯戦争をしている訳ではなく、人類史の消滅を

防ぐべく、人理修正をし、その為に複数の

サーヴァントを有しているらしい。聖杯からの情報で

私の後の時代の英霊達まで含めて、知ってみれば、

私でも、目を疑うような優秀なサーヴァントもいる』

ジュナ『しかし、幾らサーヴァントへの絶対的

命令権である令呪3画を持ち、魔術を使うといえど、

マスターなど、普通の人間。まして、その令呪も

カルデアの物は通常の令呪に比べてサーヴァントへの

強制力が低い簡易なものだという。1体でも、

大変なものを、よくこれ程の英霊を従えたものだ。

しかも』
藤丸立香ことぐだこ「あっつい。あっついね。マシュ」

マシュ「もー、先輩、そんな事言ってないで、

ちゃんと片づけして下さい」


ぐだこ「えへへへー」

マシュ「えへへじゃありません」

ジュナ『どう見ても、凄いマスターには見えない。

魔力については、カルデアがサポートしてる

らしいが、あれ程の英霊達が従うような

要素が不明だ』
ジュナ『だが、構わない』

ジュナ「お困りですか?マスター、

マシュ殿、私で宜しければお手伝いしましょう」
マシュ「アルジュナさん!有難うございます。

でも、これは、先輩が自分でやらないと」
ぐだこ「有難う!アルジュナ!じゃあ、これ持って!」

マシュ「先輩!」

ジュナ「構いませんよ(ニッコリ)」

マシュ「アルジュナさん。いつも親切に

どうも、すみません」
ジュナ「いえいえ、朝飯前です。私はマスターの

サーヴァントですから(ニッコリ)」
ぐだこ「おおー!良いね!アルジュナ!重い荷物も

軽々。男の子だね」
ジュナ『マスターが、どのような者でも関係ない。

執事のように親切にして、信頼を得て、魔力を

多く頂き、いつしか、カルナと相対し私が勝つのだ』
ジュナ「!!」

カーミラ「!?」(向こうからやってくるカーミラ)

カーミラ「何よ?」

ジュナ「いえ、何でもありません」
(立ち去るカーミラを睨みつけるアルジュナ)
ジュナ『血の伯爵夫人カーミラ!自分の美の為に

何百、何千という少女を殺した女。あの様な

悪質な輩まで』
ジュナ「マスター!何故あの様な輩を置いて

おくのです。あんな女、いつマスターを裏切るか

知れたものではありません。マスターの事は

必ず私がお守りいたします。私だけでも

十分のはずです!」

ぐだこ「アルジュナ…。皆、必要だよ!」
ジュナ「必要ありません!!」
ぐだこ「ていっ!(デコピン)」
ぐだこ「アルジュナ。君は、もうちょっと色々知る必要があるね」
ジュナ「マスター」
ぐだこ「はい、ここまで!行くよ!マシュ!」
マシュ「はい!先輩!」
 (場面変わる)
(取り残されて居るジュナさん)
ジュナ『マスターは、どの様な英霊も受け入れ、

守るというが、下らない。悪の力を振るった反英雄など、

何をしでかすか」
ジュナ『良かろう。マスターなど、どの様な者でも

構わないが、私の目的が果たされずに死なれ

てしまっては、かなわない。あの様な者からは、

私が守るのみ』
ジュナ『そんな事を決意したばかりではあるが…』
(チラ見)
カーミラ「何よ?」
ジュナ『今日のオーダーが、カーミラとの組み合わせとは!』
カーミラ「あんた、なんなの?人を不愉快なモノ見る

みたいにジロジロ見て、失礼な男ね」
ジュナ「私は、お前のような反英雄は、

信用していない!マスターを害するつもりだろう!」
カーミラ「フッ…。アーハッハッハッ!!」
ジュナ「何がおかしい!気でも触れたか!」
カーミラ「私は私の悪性は、否定しないわ。でもね」
(悲しいような複雑な微笑み)
カーミラ「私があの方を害することは無いわ。絶対にね」
ジュナ「!!」
ジュナ『何故だ?この様な者が、嫌、他の者も』
ジュナ『本気で慕って守ろうとしているように見える。

何故だ!単なる小娘のはずだ。あの娘に特別な

何かがあるようには思われないのに』
カーミラ「お育ちの良いボーヤ。分からないって

顔をしているわね。いずれ分かるわ。

他のサーヴァントや、私がそうであったようにね」
カーミラ「あの方はね。ボーヤ。私の過去を

受け止めたの、過去の行いを許さなかったけれど、

受け止めて、これからの私を許し、必要だと言って

くれたの。悪を、私の悪性すらも認めると。

それだけで私は、あの方を守って行こうと思えたのよ。

弓のボーヤ、楽しみね。貴方がここで

どう変わっていくのかが」
ジュナ「変わる…ものか…」
ジュナ『私は、何も変わるものか、マスターだって

利用してやろうと思っただけだ。悪を認めるだって?

そんなものは、認めてはいけない!そんな事をしたら、

私の存在価値は』
(回想。アルジュナの時代の人達の影)
「アルジュナ。正義の英雄。アルジュナは、いつも正しい」
『賢く、優しく、正しく、強い、素晴らしい

アルジュナ!英雄よ!それでこそ、人々や

神々に愛される』
ジュナ『そうだ。私はそれだからこそ愛され、

肯定されてきた英雄だ』
ジュナ『そして…』
クリシュナ「射て!アルジュナ!ここで見ているのは、

我々だけだ」
ジュナ『やめてくれ!』
クリシュナ「アルジュナ!これは正義だ!カルナを

ここで殺すのは国の為だ!」
ジュナ『嘘だ!カルナは、ずっと崇高だった。

兄弟達の事を殺さなかった』
『弓を引く。それでも私は弓を引く。

正義だからではない。怯えたからだ。

黒い嫉妬と悪の醜い気持ちに駆られて、私は弓を引く』
ジュナ『嫌だ。嫌だ。ずっと素晴らしい、

なんの曇りもない。正義の英雄で来たのに。

何故こんな気持ちを知らなければいけなかったのか。

黒い!!私の心は黒く陰っていく!カルナ!お前が!!

お前さえ居なければ!こんな感情を私が知ることは

なかったのに!!』
ジュナ『カルナを陥れ、カルナに弓を引く私を見て。

死に際にカルナが満足げに微笑む。私の醜い心を

知って微笑む…。

これは呪いだ。未来永劫ずっと忘れられない。

悪だ!こんな悪を許してはいけない』
ジュナ『だって私自身、こんなにも自分の悪を

恥じているのだから。こんな私を誰にも

知られたくない!!早く!早くカルナを実力で

倒さなくては…。ずっとこの悪夢の記憶に

うなされるだろう!』
ジュナ『悪は…倒さねば…悪は』
「ジュナ…。…ジュナ」
ぐだこ「アルジュナ!!!」
ジュナ「えっ?」
ぐだこ「どうしたの?ぼーっとして?」
ジュナ「あ?えっ?マスター」
ぐだこ「これから周回に行くけど大丈夫?」
ジュナ「あ、いえ、ちょっと考え事をしていて。

勿論、大丈夫です」
ぐだこ「カーミラもよろしくね」
カーミラ「いいわよ。マスター」
ジュナ『本当に何故、私がこんな反英霊なんかと一緒に!!』
カーミラ「だから、なによ?その目。私に言いたい事

でもある訳?」
ジュナ「いえ…何でもありません」
ジュナ『まあ、良い。周回など、容易い作業。

何かあっても私さえいれば防げるというもの』
かくて
(それぞれの戦闘のカット)
ジュナ『ふむ。私には、及びませんが、戦闘を見る限り』
ジュナ『このカーミラという吸血女。まあまあの

腕前ではあるらしい。とはいえ、やはりサーヴァントと

しては星4。星5である私一人居れば問題は

ありませんね。私の敵となるのは…カルナ一人。

マスターは、反英霊さえ必要だと言いましたが、

こんな周回。私一人いればやはり十分です』
ぐだこ「皆、よく頑張ってくれているね。

もうちょっとだから、頑張ってね」
ジュナ「もうそろそろで引き上げですか?」
ぐだこ「うん。本日の目的に近づいて来てるの」
ジュナ「目的?」
ぐだこ「そう。カルデアで異様な空間が観測されて、

その付近の住人が行方不明になっていっているの。

今日は、そこの調査」
孔明「フン、安心して良いよ。ダメージはボクが

バッチリカットするさ」
ぐだこ「よろしくね。孔明」
マシュ「はい!」
ジュナ『住民が行方不明。そんな危険度の高いところに

他の英霊は兎も角として、反英霊を…』
ジュナ『マスターは何を考えているのか?カーミラも、

マスターを害する気はないと言っていたが、反英霊など、

いつ気分が変わるか知れたものじゃない。私も

しっかりカーミラを監視しておかねば』
ぐだこ「ここ!ダ・ヴィンチちゃんからの情報だと

ここの洞窟の中の霊気が歪んでいるらしい」
(ざざざっと、空間が歪んで、ダ・ヴィンチちゃんからの

通信映像が空間に映る)
ダ・ヴィンチ「気をつけて立花ちゃん。この中は、

霊気が歪んでカルデアからも観測できないし、

通信が通じるのもここまでだ」
ぐだこ「うん。大丈夫。皆いるから。行ってくるね。

ダ・ヴィンチちゃん」
(手を振って洞窟に入っていく)
(間のコマ)
(洞窟の中)
ジュナ「マスター。どんどん、魔力の濃度が

高く暗くなっていきます。アーチャーである私は

見えますが、足元が悪い。もし、よろしければお手を」
ぐだこ「いや、大丈夫。でも、魔術で皆の

足元を照らしてるけれど…どうにも暗いなあ」

マーリン「どうも、魔力の干渉を受けているようだね。

光が届いているような範囲でも暗い。いや、どんな

やつが待ち受けているのか。こんな暗くてジメジメ

したところ、早く終わらせて帰って、綺麗なお姉ちゃん

引っ掛けて癒されるに限るなあ」
子ギル様「マーリンさん。カルデアで女性問題を

起こさないで下さいよ」
ジュナ「いや、待て!」
ジュナ「明るい。あそこから異様に明るいですよ」
マーリン「あ~、戦闘の予感…かな?

戦いも苦手なんだよねえ~」
ジュナ「行きましょう!マスター」
ぐだこ「うん」
(間のコマ)
(明るい広場のように広がった何もない空間に

黄金の衣装の美しい女性が一人だけ立っている)
マーリン「ひゅー♪綺麗なお姉ちゃんだ。

ワケアリげな…ね。」
(こちらに気づく女性)
「あら、こんなところに。旅人の方ですか?

どうなさいました?」
ぐだこ「いえ、こちらにちょっと調査に来てまして」
ぐだこ「最近、この付近の村の住民がいなくなったと

聞きまして。何か異変を知っていましたら、お話を

聞きたいんですが」
女性「まあ、そうですか。あの子達の事を?」
ぐだこ「あの子達?」
女性「そう。あの子達です。私を崇めなくなり、争いを

起こし続ける人間達」
女性「殺し合い。奪い合う。なんと醜いことでしょう。

私はあの子達が大好きです。ですから、これ以上

あの子達の凋落を見ているのは忍びない。…なので、

あの子達に私から救いをあげたのです」
ぐだこ「救い?」
女性「あの子達は、私が食べてあげました」
ぐだこ「!!」
女性「あの子達は、私の一部となって救われ、

永遠となるのです。あの子達の力は、私となる。

全てが一緒になる気持ち良さ。ねえ?最高でしょう?」
子ギル様「マーリンさん。一緒になるの好きでしょ?

行ってきたらどうです?」
マーリン「遠慮するよ。私は、もっと大人しい子が良い。

暴力反対」
女性「うふふふふふっ」
女性「あはははははは!愛している。愛しているわ!

さあ、貴方達も私と一緒になりましょう?

苦しみのない世界へ」
(ばきばきという音を立てて、イカのような足が

何本も伸び、変貌していく)
ジュナ「化物が!!」(マスターを後ろへやり、自身も

後ろに飛びずさりながら矢をつがえる)
ドシュッ!(空中でアルジュナが複数本の矢を放つ)
(アルジュナに向かっていく女性の化物)
女性「ああ、貫かれてしまう。ハンサムな方。

ですが、うふふ」
ジュナ「!!」
(放った矢がズブズブと女の体に埋まって

吸い込まれていく)
女性「残念ですわ」
ジュナ「!!」
ジュナ『しまった!接近戦に!!』
女性「死になさい」(高速でイカ足がしなる)
ジュナ『間に合わない!!』
孔明「軍師の忠言(.味方全体の防御力を

アップ(3ターン)味方全体に被ダメージカット

状態を付与(3ターン)味方全体のNPを少し増やす)」
ドゴッ!
ジュナ「ぐあ!」(効果音とダメージ顔ジュナ)
(右腕と顔をイカ足がすり抜けていく)
ジュナ『右を直撃!!いや、だが…』
(右腕震える)
ジュナ『孔明殿の能力で、この程度で済んだ。

あの化物!私の攻撃を飲み込んだ!?

何だあいつの能力は?』
ジュナ『はっ!』
(いつの間にか後ろにいる女性の化物)
女性「ああん、いけませんわ。避けて

おしまいなんて。ですが、今度こそ」
女性「一緒になりましょう!」
(ふるい上げられるイカ足)
カーミラ「いけないのは、あんたよ!」
(いつの間にか女性の化物の背後にいるカーミラ)
カーミラ「死になさい!!」
(カーミラさんの杖が光る)
(女性の化物にぶつかって爆発する)
女性「ぎゃああああああっ!」
ジュナ「!!」
女性「何故だ!何故わらわに攻撃が効く!」
カーミラ「ふん、あんた。堕ちた地元の神のようね。

あんたと戦う者は基本、正義の味方ばかり。

しかし、あんたのような神は、善の力を受け付けない」
カーミラ「でも、私の力は悪なの。それに、

女性により効くのよ」
女性「悪だと?何故そのような者が、このような

者達の味方に!好き勝手にするのこそが悪じゃ

ないのか!何故わらわに楯突くか!」
カーミラ「さあね。気まぐれよ。でも、私があんたを

楽にしてあげるわ」
女性「ま…待て!わらわは!」
カーミラ「死になさい!ファントムメイデン!!

(敵単体に超強力な[女性]特攻攻撃オーバー

チャージで効果UP+自身のHPを大回復&

攻撃力をアップ(3ターン))」
女性「ぎゃあああああああっ!わらわは!

わらわはぁぁあ!!人を愛していたのにぃ」
カーミラ「ふふっ、堪らないわ」
(倒れ伏す女性の化物)。
ジュナ『くそっ…これは…私は、どうした事だ。

攻撃の効かない化物に間合いに入られ、

孔明殿の守りの力でダメージが軽かったものの、

弓を射つのに大事な目に血が入って霞む上、

利き腕にダメージを負った。弓を完全に正確に

放つのすら難しい。加えて、あのカーミラに』
ジュナ『助けられるなんて…くそっ!こんな事が』
カーミラ「終わったわね」(振り返って戻ってくるカーミラ)
「…らぬ」
カーミラ「?」
「終わらぬ…終わらぬ…終わらぬ…終わらぬぞぉおお!」
カーミラ「!!」(急に床が抜け落ちてカーミラの

足元が空洞になる)
女性「道連れにしてやる!」
(伸びるイカ足がカーミラを掴み、奈落へ引きずり込む)
カーミラ「きゃあああああっ!」
(すっと進み出るぐだこ。決意の表情アップ。

それを驚きながら眺めるアルジュナ)
ぐだこ「カーミラ!!」

(ぐだこの両足に青い魔術回路が光る)
ジュナ「マスター!何を!」
ぐだこ「今行く!」ドンッ!(凄い速さで走るぐだこ)
ジュナ『マスター!魔術で足を速く!いや、そんなことより』
ジュナ『自ら、戦いに!!』(映像。奈落に向かって

上空高く飛び上がって入るぐだこを上からのアングルで)
(奈落に飛び込むぐだこ)
ぐだこ「カーミラぁぁあ!」
(空中でカーミラを抱きとめるぐだこ)
(ぐだこにもイカ足が迫る)
ぐだこ「ガンド!!(敵単体にスタン

(行動できなくなる)を付与(1ターン))」
女性「ぐっ!」
(動けなくなって離れて落ちていく)
ぐだこ「アルジュナ!命令する!私達の両手足の

間を弓で射って壁にとめろ!」
ジュナ「なっ!私は…目が…」
ぐだこ「出来る!アルジュナ!」
ジュナ「くっ!」
」ぐだこ「マーリン。スキル英雄作成[EX]で

アルジュナの能力アップ!アルジュナは連射!

速く!!落ちる!!」
マーリン「ええ~!!!」
ジュナ「迷っている間はありません!お願いします!」
マーリン「仕方ない!英雄作成!(味方単体の

Busterカード性能をアップ、味方単体の最大HPを

増やす、味方単体のクリティカル威力をアップ)」
ジュナ「うぉおおおおおっ!!!」
(アルジュナ怒涛の連射)
(落ちていくぐだこと、カーミラの両手足の脇に

正確に弓を射って身体を留める)。
ぐだこ「ほ~止まったあ」(カーミラを抱き抱えた

ままのぐだこ)
ぐだこ「子ギル様ぁ~!ゆっくり天の鎖を下ろして~。

決して攻撃みたいに飛ばさないでよ?」
子ギル様「もう~、うちのマスターさんは無茶苦茶

するんですから。はい!」
ぐだこ「引き上げて~」
子ギル様「はいはい」
ジュナ『何だ?この人は!ちょっと位、魔術が使えたと

したって、この人は、ただの人間だ。誰か一人でも

間に合わなかったら…。サーヴァントであるカーミラと

違ってこの人は死ぬぞ!走り出した瞬間の意志の

強い表情。この力強さが他のサーヴァントを従えるのか?』
ジュナ『しかし、しかし、そんな事でマスター自ら、こんな危険な事をして傷だらけになって最前線に出られたら困る。これだから

戦いを知らない小娘がでしゃばってくるのは嫌いなのだ。』
(引き上がられるぐだこ)
ジュナ「マスター!!ふざけられては困る!あなたは

戦場を分かっていない!命がかかっているのです!

あなたが安易にサーヴァントを助けようとして命を

落とせば、サーヴァントとてカルデアに退去で済まず、

消えるのですよ!」
(力なくにっこり笑ってアルジュナのズボンの端を

掴むぐだこ)
ぐだこ「本当にね。…でも、あの穴に引きづられたら…

カーミラは…もう、カルデアにすら戻れなそうだったから…」
ぐだこ「でも、ナーイス!アルジュナ!流石!

私こそが最高のサーヴァント!…でしょ?信じてたよ!」

ジュナ「マス…」
(パンとアルジュナの手の平にハイタッチして、

うって変わってニカッと笑うぐだこ)
ジュナ『あっ!!』
ジュナ『また、そういうふざけたことを言ってだとか、

色々な言葉が浮かんだのに…言葉は容易く口から

出なくなった…。気づいてしまった…』
ジュナ『強いと思った少女の…。マスターの手が…

震えていたので…驚く程…震えていたので…。

違うのだ…違ったのだ…この人は強いのではなく…

最悪を考えなかった訳でもなく…ただ…これは、ただ…』
ぐしゃっ(にっこり笑ったまま歩いていったと思ったら、

カーミラを抱き抱えたままで崩れ落ちるマスター)
ジュナ「!!」
ジュナ「マスター!!!」
ぐだこ「うわ…あ…あああぁ…」(泣いている顔アップ)
ぐだこ「うわあああああん!」
(カーミラを抱き抱えたまま)
ぐだこ「よ…良かったね。カーミラ!良かったね!

あのままだと連れて行かれて消えていなく

なっちゃうかと思ったよ」
カーミラ「サーヴァントがマスターを助けるのよ!

マスターがサーヴァント助けに戦闘に参加して

どうするのよ!あなた生身なのよ!落ちたら

死ぬのよ!馬鹿よ!あなた本当に馬鹿よ…

バカ…よ。うっ、うっうっ!うわーん」
ジュナ『抱き合って泣き合う女達を見て。

私はやたらに自分を恥じた』
ジュナ『自分によりも遥かに弱い、ただの少女の

強さを見せつけられて、そして、次の瞬間に、

強さではなく、ずっとずっとこの少女も怖かったのだと

見せつけられて、勝手に強いと思った自分の弱さに…

そして、この少女のただ、仲間を守りたかった気持ちに

気づいて…私は恥じた。そして、この強くて弱い

少女を…今度こそは…自分の手で…。絶対に

自分自身の手で守り抜きたいと…強く思った』
ジュナ『なぜです。マスター。それ程までに

怖かったのに…あなたは何故…

また、立ち上がって笑うのです。』
「あの方はね。ボーヤ。私の過去を受け止めたの、

過去の行いを許さなかったけれど、受け止めて、

これからの私を許し、必要だと言ってくれたの。

悪を、私の悪性すらも認めると」
ジュナ「カーミラの言葉が蘇る。ああ、きっとそうだ…

この方は。悪を認める…。私が私ですら認められ

ない悪を…。この黒い心を…。この方には…

知って貰いたい…。駄目だったのに…誰にも

知られたくなかったのに…この方に…』
子ギル様「マスターさん。しんみりしてるところ

なんなんですが」
子ギル「洞窟の床ぶち抜いた訳ですからね。

不安定になって天井が崩落しそうです。寧ろ、ここ全体が」
(ごごごごと地鳴りがする)
ぐだこ「えええ~!!本当だ!一難去ってまた一難!」
マーリン「ちょ…これ、脱出間に合わないん

じゃないか?私とマスターは生身なんだけどなあ?」
ぐだこ「子ギル様!お願い!大人ギル様に戻って、

宝具で天井ごとここをぶち抜いて」
子ギル様「え~?マスターさん無茶ですよう。

僕は大人の僕が嫌いで折角、秘薬で子供に

なっているのに」
子ギル様「でも、脱出も間に合いそうにない。

このメンツでここをふっとばせるのは…」
子ギル様「…はあ、大人の僕だけかあ~」
子ギル様「仕方ないですね」
(煙に包まれて大人の弓ギル様に変化する)
ギル様「致し方ない!雑種。休みは終わりだ。行くぞ!」
ぐだこ「はい!令呪をもって命ずる!

ギルガメッシュ!宝具展開!」
ギル様「いでよ!乖離剣・エアよ!」
ブオンッ!(空間から、エアが登場する)
ギル様「裁きの時だ。世界を割くは我が乖離剣」
ギル様「受けよ! エヌマ・エリシュ!」
ドンッ!(大爆発)天空に向けて放ったエアが

激しく光って辺り一帯が吹き飛ぶ。
(吹き飛んだ為に風景が急に外に変わる)
ジジジジ(空間が歪む。ダ・ヴィンチちゃんからの通信)
ダ・ヴィンチちゃん「何?何?何?何?どうしたのこれ?」
ぐだこ「あ~…これは…」
ぐだこ「ダ・ヴィンチちゃん!特異点になりかかって

いた場所を消去しました!」
ダ・ヴィンチちゃん「立香ちゃん雑!雑すぎない!?

洞窟ごと吹っ飛ばした!吹っ飛ばしたよね?」
ギル様「我は悪くないぞ。そこな雑種の指示に

従ってやったのだからな」
ぐだこ「てへっ!」
ダ・ヴィンチちゃん「てへっじゃな~い!」
ジュナ「…」
ジュナ「マスター…教えて下さい」
ぐだこ「んっ?何?アルジュナ?」
ジュナ「あなたは不思議な人だ。特別な力がある訳

でもないのに、しかし、自分より遥かに力のある、

アクのある英霊達を数多従えている。あなたは一体…」
ぐだこ「アルジュナ。私は普通だよ」
ジュナ「いいえ、マスターそんなことは

ありません。あなたは」
ぐだこ「特別な力を持つ英霊達を使って、私が

自分を特別な者だと思って力を行使すれば、

あっという間に化物になってしまう」
ジュナ「えっ!」
ぐだこ「私は、普通の人間で、普通の人達の営む

世界を守りたい。その為に君達特別な者達の力を

借りる普通の人間。そうでなければ。あっという間に

世界は逆転して、私は滅ぼす側になってしまうだろうね」
(優しい笑顔)
ジュナ「マスター…」
ぐだこ「普通の人の感じ方を忘れてはいけない。

実際、私は、特に力もない」
ぐだこ「その為に、特別な者達、君達サーヴァントが

必要なんだ。これからも、頼むよ!アルジュナ!」
ジュナ『ぽんっと私の肩を叩く手は、今度は震えて

おらず、マスターの顔は、明るい笑顔で溢れていて、

私は、この笑顔を見続けていきたいと思った。

いつの間にか、ずっとずっと見ていたいと思った』
ジュナ『これは?マスター…。マスター…

私は…あなたの事を…』


ジュナ『そうして暫くが過ぎたある日の事』
ぐだこ「アルジュナ!はい!これ!」
ジュナ「これは!!」
ジュナ『インドの文化にはないけれども、聞かなくても

既に知っていた。聖杯に情報を補完されていたからだ。

赤い箱に綺麗にラッピングされている。

そう、これは…バレンタインチョコだ』
ジュナ『恋人であったり、友人に親愛の情を示す為に

渡されるものだ。つまり、マスターは時間をかけて

チョコを用意し、サーヴァントたる私に、親愛の情を

示してくれようというのだ。親兄弟や、神からの

強制的にくる授かりじゃなく、普通の人間から

私の為に用意された普通のプレゼント』
ぐだこ「アルジュナ。これね?」
ジュナ【マスター!!(大声)】
ぐだこ「えっ!何っ!(ビクッ)」
ジュナ「私は…私は!このようなもの

頂いてもよろしいのでしょうか!」
ぐだこ「え、そりゃあ、用意したんだし」
ジュナ「確かに私は、最高のサーヴァントだと思います」
ジュナ「しかし、このような親愛の情頂いてしまって

良いのでしょうか!!!」
ぐだこ「えっ…あ…あの…アルジュナ…それ…皆に…」
ジュナ「来て下さい!!マスター!!」
ぐだこ「えっ!どこに!?」
(間のコマ)
ジュナ「これを!!受け取って下さい!」
ぐだこ「え、私に?有難う。これは何?」
ジュナ「生前、カルナを射った矢です」
ぐだこ「…………えっ?」
ジュナ「動くことが出来ないような状態のカルナを

謀殺するような形で殺しました」
ぐだこ「え?」
ジュナ「私は、それを酷く後悔しています。

許されることではない」
ジュナ「その気持ちを忘れないように、ずっと、

この矢を持っているのです。二度とこんなことをしないと。

マスターあなたには知っていて頂きたい。私の罪を…

そして、一緒に背負って欲しいのです」
ぐだこ「えっ?」
ジュナ『ずっと、誰にも言ったことのない気持ち。

自分でも恥じていた。私のこの黒い気持ちに

気づく者があれば、殺してしまわなければ、

そうでなければ、私は私ではなくなってしまうと…

恐れていた。

絶対誰にも言いたくなかったのに…

誰かに言ってしまいたくなるなんて。この私が、

愛される優等生のアルジュナ以外の私を

知ってもらいたくなる方がいるだなんて。

ああ…マスターは何と言って下さるだろうか?』

(伏せていた顔を上げ、マスターをしっかり見るジュナ)。

ジュナ『えっ?』

(冷たい表情のぐだこ)

ぐだこ「…アルジュナ。私は、そのあなたの罪を

許すことも、背負ってあげることも出来ない。

それは、あなたが背負うべき問題だ」
ジュナ「えっ?」
ジュナ『背筋が凍った。マスターは、今、目の前にいて

ひざまずく私を見下ろしている。受け入れて頂けなかった。

カーミラのことすら受け入れる方なのに』
(回想)「アルジュナ。アルジュナ。最高神の息子で

美しくいつも正しく、強く、爽やかなアルジュナ。

皆がお前の事が大好きで」
ジュナ『違うんだ…。違うんだ。いつもいつも、

完璧でなければいけなかったんだ。そうでない私に

価値なんて与えられていなかったんだ』
ジュナ『カルナに負ける私では、いけなかったんだ。

認める訳にいかなかったんだ。ちっぽけな私を。

黒い心を持つ私を。私は本当は…本当は…。

本当にちっぽけで…。』
ジュナ『でも、マスターには…。マスターにだけは、

認めて頂きたかったのに…。苦しい…胸が苦しい…。

何なんだろう?これは…私は振られたのだろうか?

そうなんだろうか?』
ジュナ「どうしよう。恥ずかしくて、もう、この場に

いられない。契約なんて放って、今すぐ聖杯の

英霊の座に還ってしまいたい。苦しい…胸が潰れて

しまいそうだ』
ジュナ『いや、待ってくれ…私は私の黒い心を…

よどみをマスターに打ち明けてしまった。これを…

これを誰かに言われてしまったら…。いや、

知っている者がいるなんて…。こんなことを知られたら、

皆、私を軽蔑する。誰も私を認めない。』

ジュナ『…してしまわなくは…殺してしまわなくては…』
ジュナ『マスターを…殺してしまわなくては…。』

(ハッとする)

ジュナ『いや、違う!ダメだ!そういうカルナを

殺してしまったような弱さに負けないと誓ったんだ!

ダメだ!嫌だ!私は!!嫌だ!!!』
ジュナ『だが、震える…。手が震えて止まらない』
(がたがた震えるアルジュナの組んだ手)
ジュナ『やはり、私は、弱くて、とても弱くて』
ジュナ『何も…何一つ…乗りこえてはいけないの

かもしれない…。だけど、だけど…負けてはダメだ。

負けたくないんだ。私の黒い心に…』
ガシッ!(アルジュナの組んだ手をガシッと掴むぐだこの手)

(驚いてぐだこを見上げるアルジュナ)

(真剣な顔のぐだこ)
ぐだこ「私は、あなたの罪を許しも、背負ったりもしない!!

だけど」
ぐだこ「あなたが乗り越えるまで、横で。

こうして一緒に見守ろう。私はあなたのマスターだから」

(優しく微笑むぐだこ)

(驚きの表情のアルジュナ)

(次第に泣きそうな表情で震える)
ぐだこ「何を怯えているの?アルジュナ。別に弱くても

良いんだよ。あなたが自分を認められなかっただけで…

あなたが他の人の弱さを知らなかっただけで、

あなた以外も人は皆、弱いのだから」
ぐだこ「だから…アルジュナが怖くて震えている時には、

私が側にいるよ!」(にかっ!)
(呆然とした顔をするアルジュナ)
ジュナ「うっ…」
ジュナ「うわあああああぁぁああああ!!(涙)…。

マスター!!マスター!!」
ジュナ『大の大人の男なのに、私はマスターの

前で泣きじゃくった』
ジュナ『マスター!どうしてあなたは…どうして』
ジュナ『私を特別にしてくれもしれないのに、

どうして諦めさせてもくれないのだろう。

こんなに泣いたことはない。こんなに感情的に

なったことはない。こんなに色んな気持ちが

目まぐるしく動いたことはない。冷たいのに…

誰よりも温かい。マスターあなたは…。私は…。

超えられるだろうか』
ジュナ『この黒い心を…。マスターあなたのお側で。

いつの日か。』
ジュナ『マスターこれからも私をずっとお側において下さい。

私はあたなをずっとお守りいたします。

ずっと…ずうっと…この黒い気持ちに打ち勝てるまで』

ジュナ『ああ…マスター。私はあなたの元に召喚されて

本当に良かった』

(アルジュナ。スッキリした毒気のない笑顔)
「黒」完。