イトーヨーカ堂の長い「解体劇」
遅すぎた再建のツケ
セブン&アイ・ホールディングスがイトーヨーカ堂を含むスーパー事業の見直しに着手する。これはヨーカ堂が事実上解体されることを意味する。
ヨーカ堂の再建の必要性は早くから指摘されていたが、対応は遅すぎた。そのツケのため再出発の前途は厳しいと指摘されている。
元々イトーヨーカ堂から同社は始まった。2005年にセブン&アイ・ホールディングスが設立され、その名称はセブンイレブンの色が濃くなっていた。
当時セブンイレブンの業績が好調で時価総額が当時の親会社であるイトーヨーカ堂を上回ったことも影響してたのだろう。
いつまでも不採算事業を放置し身動きが取れなくなることはこれまでも何度もあったし、学者たちからなんども指摘されている「日本の悪しき風習、文化」であると思われる。これは太平洋戦争の敗戦の理由を分析し、当時の日本経済の状況を論じた「失敗の本質」(野中郁次郎ら)に詳しい。
・過去の成功体験に対し、過度に適応しすぎる
・自己認識の甘さと学習棄却の放棄
・情緒的な判断と「空気」
ショッピングセンターとしてのビジネスモデルはすでに時代遅れとなっていたものの、その改革、再建は遅れた。「祖業だから」などが理由の一つであろうがそれは経営的には何の理由にもならない。
過去の成功体験に基づきなんの変化を起こさなかった結果、今からの再建には非常に大きな力が必要となる結果となった。いまさらグループから切り離そうとしても、収益が悪化している事業を誰も引き受けようとはしない。そのため、収益力を向上させたのちの売却とするしかなくなった。
新しい領域への進出はもちろんだが、新しいことに挑戦する文化、社風の醸成が必要になってくる。「今までと同じ」「現状維持」を打ち破っていくしかない。
「戦略の失敗は戦術で取り返せない」(失敗の本質)
上の立つものはこの言葉の意味をよく考えるべきだ。