幕末・明治維新でも、西南戦争や渋沢栄一、明治初期が気になっていて、
古本屋でたまたま運良く見つけて読んだのが、この本だった。
- 煤の中のマリア―島原・椎葉・不知火紀行/石牟礼 道子
- ¥2,100
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連載をまとめたものだ。
西南戦争の地を取材した『西南役伝説』や水俣病に関しては必読であろう『苦海浄土』
などで知られる著者だが、実はまだ読んだ事がなかったので、これなら入門書として読みやすいかと
思い読んでみた。
3万7000人といわれるキリシタン(そのほとんどが農漁民)が籠城し、12万人の幕府征伐軍が
殲滅戦(皆殺し)を4ヶ月に渡って繰り広げたのだが、
著者の思いは、そのキリシタンたち、著者自身の地元でもある天草や周辺の住民たち、
そして、征伐軍の砲術責任者として着任し、戦役後は、恐怖政治を執行すると思われたが、
人口が半減したといわれる天草で、供養・宗教政策、それ以上に住民の生活のために、寺の建築の仕事を進め、
最後は過酷な石高半減を幕府に直訴し、江戸の自邸で、割腹自殺を遂げた鈴木重成にあてられるが、
(武家のエリートが名もなき庶民たちのために命をかけたのは何であったのか。)
後に、
「天草・島原の乱をテーマにと思い立ったのは、水俣のことが日夜心を占めているからである。
人間の中にある聖性をさかのぼって、どこまでとらえられるか表現しておきたかったからである」
と変遷してゆく。
「以前からわたしは日本の近代とは何だったのかという疑問にとりつかれていて、手がかりの一つとして、
鎖国の原因といわれる島原の乱が気になってならなかった。なかでも、文字なき民の意識をたどりたい意識が強かった。それにどうやら、父祖の地も天草、島原方面のようである」
と語られると、パール判事が思い出されて感慨深かった。
後半で、とりあげられる、水俣病発生前の暮らしぶり、失われ行く日本の文化・風土を読むと
とても悲しくなってしまう。