本* 乙女の密告 | 有閑マダムは何を観ているのか? in California

有閑マダムは何を観ているのか? in California

映画に本に音楽。

山に海に庭。

インドア・アウトドア共に楽しみたい私の発見記録です。 



アンネ・フランクの日記。

日本人の私たちにとっては、初めてホロコーストやナチスのことを知るときに読む本といえるほどに

よく知られた一冊ですね。


それを小説の核に使おうと言うのは、なかなかに大胆な試みです!!


その心意気だけでも、一票入れたくなるような(芥川賞選考委員の気分を味わうとすれば・・・・)

構成です。


だけど、アンネの日記と呼応するもう一つの核になる、外国語大学のスピーチ部門の中で、

グループの一員として認められるかどうかなど、アンネの生涯で味わった、被差別者としての恐怖と比べて、

全くもって「しょーもない」レベルの話というか、比べることさえ申し訳ないというか、

あまりにも次元が違いすぎ・・・。


アンバランスさ。

大風呂敷を広げた割りに、小さくまとまる結末に対する、がっかり度。

これは、否定できないです。


とはいえ、興味深い人物造詣は楽しめたし、

その前何度かの芥川賞受賞作品に比べれば、まだしも大風呂敷を広げようとした気持ちには、拍手を送ります。




乙女の密告/赤染 晶子

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私は、外国語大学の内情は知りません。

実態の曖昧な「乙女」なるものに絶対の価値を置く様子は、それこそ「外国」みたい。