トウコの家族は皆仲睦まじく、ケンカもたまにするが結局互いにその原因も忘れ、次の日にはいつも通りの仲良しになっていた。
ある日、入浴を済ませたトウコが、濡れ髪にタオルをあてながら携帯電話のメールを確認すると、
「今からとーこの家いっていい?」
というメッセージが入っていた。
このメールの送り主というのは、トウコの幼馴染みのハナコであった。ハナコとトウコの家は、徒歩3分ほどの距離で、二人はよくこのようにして夜に小さな井戸端会議を催していた。もっとも、ここ最近はそうやって会う回数は減っていた。ハナコは浪人生のトウコの邪魔をしてはいけないと気づかい、トウコもその思いやりに殉じていたからである。概してこの二人組は、互いに思いやり、互いに甘え、励まし合うような、そんな素晴らしい関係性を保った幼馴染みであった。
トウコはそんなハナコからの突然のメールを受け取ったにもかかわらず、素直に喜んだ。久々にハナコにあえる!と。トウコはすっかりその日の勉強課題を済ませてしまっていたので、お風呂上がりには追加の問題集にでも手を出そうかなと考えていたところだった。
つまり真面目なトウコは、この晩はすっかり息抜きできる、幼馴染みと語り合うような、そんな青春の若々しい夜を過ごせると思い、心浮き 立ちはじめた。
すぐさま「いらっしゃい!」と返信したトウコは、濡れた髪にもかかわらず、急いで部屋を簡単に整え、髪をドライヤーで渇かし始めた。
