キング・クリムゾン5枚目のアルバム。Larks' Tongues in Aspicを直訳すれば「蛇の中のひばりの舌」だが、中華料理の古い宮廷料理で同じ名前の料理があるらしい。「ひばりの舌のゼリー寄せ」…最近wikiで知った(笑)。アルバム・タイトルはそこから取ったらしいが、「語感がいいので選んだだけで、別に意味はない」とロバート・フリップは語っている。
日本語のタイトルは「太陽と戦慄」 。英語のタイトルとまるで違う。太陽と月を一体化したデザインのジャケットを見て、ワーナー・パイオニアの担当ディレクターが思いついたらしい。日本語タイトルの意味を知ったロバートは、「なんじゃ、そりゃ?」という顔をしたという話だ。「太陽と月」なら、なるほどとは思うが、平凡過ぎて印象に残らない。日本では「太陽と戦慄」が定着しているので、意味はともかく、なかなかのネーミング・センスだと思う。
Musicians
Robert Fripp/Guitar,Mellotron & Devices & Electric Piano
John Wetton/Vocals,Bass,Piano
Bill Bruford/Drums
David Cross/Violin,Viola,Flute
Jamie Muir/Percussion,Drums
演奏には参加していないが、作詞家として
Richard Palmer-James/Lyrics
スーパー・トランプの創立メンバーであり、ジョン・ウェットンとも活動を共にしたこともあるそうだ。
収録曲
1.太陽と戦慄パート1 Larks' Tongues in Aspic Part1
2.土曜日の本 Book of Saturday
3.放浪者 Exiles
4.あぶく銭 Easy Money
5.トーキングドラム The Talking Drum
6.太陽と戦慄パート2 Larks' Tongues in Aspic Part2
このメンバーは前期キング・クリムゾンでは、最も演奏能力が高く、ライブバンドとしては最高だったと思う。ロバートによると、ライブは日によって、即興の割合が異なっていたそうだ。即興率が多い日は6割、少ない日は4割くらいだったらしい。ドラムのビル・ブルッフォードはロバートに誘われて、イエスを脱退、クリムゾンに参加した。その理由は、あまりにもがんじがらめで即興演奏が許されなかったイエスに嫌気がさしていたからだとビルは語っている。
インスト3曲、ボーカル3曲と半々だが、演奏時間はインストの方が遥かに長い(笑)。ボーカル3曲はジョン・ウェットンの男性的かつ哀愁溢れる声で歌われ、非常に魅力的だ。
Larks' Tongues in Aspic Part1
アルバムのテーマである二項対立、表裏一体を体現したようなインスト。陰と陽。繊細さと大胆さ。ちなみに二律背反は逆の意味になる。
蛇の中にあるひばりの舌…男と女が肉体的に交わることを想像すれば、蛇は女、ひばりの舌は男だろう。だが、それぞれを個体としてイメージすると、逆に蛇は男、ひばりは女となるだろう。だが、しか~し、実は、中身は見た目のイメージとは真逆なのだと言えなくもない…かもしれない?!
Book of Saturday(Live 1973.11.23)
If I could only deceive you
Forgetting the game
Every time I try to leave you
You laugh just the same
'Cause my wheels never touch the road
And the jumble of lies we told
Just returns to my back to weigh me down. . .
We lay cards upon the table
The backs of our hands
And I swear I like your people
The boys in the band
Reminiscences gone astray
Coming back to enjoy the fray
In a tangle of night and daylight sounds. . .
All completeness in the morning
Asleep on your side
I'll be waking up the crewmen
Banana-boat ride
She responds like a limousine
Brought alive on the silent screen
To the shuddering breath of yesterday. . .
There's the succor of the needy
Incredible scenes
I'll believe you in the future
Your life and death dreams
As the cavalry of despair
Takes a stand in the lady's hair
For the fervour of making sweet sixteen. . .
You make my life and time
A book of bluesy Saturdays
And I have to choose. . .
君を欺く事さえできれば
このゲームも忘れられるのに
君と別れようとするたび
君はいつもの笑みで応える
僕の車はけっして路上に出ない
二人の嘘の寄せ集めが背中にのしかかり
今にも僕を押し潰さんばかり・・・
二人はテーブルにカードを置き
手の内を見せあう
僕は誓って言う、君の仲間達は好きだよ
バンドの連中は
道を誤った苦い追想の数々が
騒ぎを楽しもうと舞い戻ってくる
夜の混乱に乗じ昼の喧噪にまぎれ・・・
明け方の満たされた心地
君の傍らでまどろむ
僕は船員達を起こそうとする
バナナボートの旅へと
リムジンのような乗り心地
無声映画の中を生きながらに運ばれる
過ぎ去りし日の凍える息吹へと・・・
そこには心貧しき者への救いがある
信じ難き境地
だが未来でならば僕は君を信じたい
君の生と死 夢までも
絶望の騎士達がレディの髪で身構える
甘美な16歳を演じる助けとして
君こそは僕の人生そのもの 僕の時間を形づくる
陰鬱な土曜日の本
いよいよ僕は決断をせまられる・・・
(日本語訳はお借りしました)
好きだ~! としか言えない。歌詞もメロディも歌声も。そして、こんなギター伴奏をつけるロバート(凄すぎというか変態というかw)も。ちなみにジョン・ウェットンがソロで弾き語りをするときはふつうのコード弾き。ロバートがいかに並外れたギタリストかということがよく解る。
Exiles(Live 1973.11.23)
Now in this faraway land
Strange that the palms of my hands
Should be damp with expectancy
Spring, and the air's turning mild
City lights and the glimpse of a child
Of the alleyway infantry
Friends – do they know what I mean?
Rain and the gathering green
Of an afternoon out of town
But lord I had to go
The trail was laid too slow behind me
To face the call of fame
Or make a drunkard's name for me
Though now this better life
Has brought a different understanding
And from these endless days
Shall come a broader sympathy
And though I count the hours
To be alone's no injury
My home was a place by the sand
Cliffs and a military band
Blew an air of normality
今
この遙けき地で
奇妙にも
私の掌は期待に汗ばんでいる
春
風は温和になり
街の灯
路地を行く歩兵隊を子供はかいま見る
友よ
解ってもらえるだろうか
雨
異郷の街の午後の緑を育む
しかし主よ 私は行かねばならぬ
私はあまりにも遠い道のりを来た
名声の誘いに応えるため
もしくは酔いどれの名を上げるために
しかし今、こうした道を経たおかげで
物の見方を変える事ができ
そしてこの終わりなき日々から
より豊かな共感を得てこられた
そして、時を重ねたことで
傷つけあうことのない孤独へと至ったのだが・・・
我が家は
砂浜近くにあった
海食崖
軍楽隊はいつもながらの調べを奏でていた
(日本語訳はお借りしました)
とてもスケールが大きく抒情的な曲だ。年を重ねるごとに、ものの見方は変わっていく。それは成長することではあるが、同時に、真実を知った時、人を孤独にするということでもある…(個人の感想)。
日本のダンスユニットExilesが出てきた時、ついにキング・クリムゾンのマイナーな曲をカバーするメジャーバンドが日本にも登場したのかと思ってしまった(笑) たぶん、10人くらい僕と同じことを思った人がいたに違いないww
Easy Money
Your admirers in the street
Got to hoot and stamp their feet
In the heat from your physique
As you twinkle by in moccasin sneakers
And I thought my heart would break
When you doubled up the stake
With your fingers all a-shake
You could never tell a winner from a snake
Easy money
With your figure and your face
Strutting out at every race
Throw a glass around the place
Show the colour of your crimson suspenders
We could take the money home
Sit around the family throne
My old dog could chew his bone
For two weeks we could appease the almighty
Easy money
Got no truck with the la-di-da
Keep my bread in an old fruit jar
Drive you out in a motor-car Getting fat on your lucky star
Just making easy money
君の賛美者達は街角で
その体の放つ熱気にあてられて
はやしたてたり 足を踏みならしたり
君がモカシンのスニーカーで闊歩するたびに
君が指を震わせもせず
賭け金を倍につり上げた時
僕は心臓が飛び出しそうだった
君には狐や狸のなかで誰が勝つかわからないのに
いつも君は金をせしめてしまう
イージーマネー
君は肢体と美貌を武器に
あらゆる連中に気取ってみせる
所かまわずグラスを投げつけ
深紅の靴下止めを見せつける
僕らは金を持ち帰り
我が家の王座について見回したもんだ
老いた愛犬は骨をしゃぶり
2週間中僕らは神様気分
イージーマネー
気取った輩と係わるのはご免さ
フルーツジャーに軍資金をたんまり
モーターカーで君とお出かけ
君の幸運の星のおかげで僕らは裕福になっていく
イージーマネーを稼いで
(日本語訳はお借りしました)
Larks' Tongues in Aspic Part2
この時代の動画はほとんど残っていない。これは数少ない動画のうちの一つだ。それにしても椅子に座って無表情でロボットのようにギターを弾くロバート・フリップ…あまりにも奇妙過ぎて、ついつい笑ってしまう。
