ゴードンは透ける R.I.P | 秋 浩輝のONE MAN BAND

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はじめに言葉はない

キング・クリムゾン2代目ボーカリスト、ベーシストだったゴードン・ハスケルが74歳で逝去した。

(1946.4.27-2020.10.16 死因は不明)

 

キング・クリムゾン2枚目のアルバム「ポセイドンのめざめ」で、「ケイデンスとカスケイド」のみを歌唱、3枚目のアルバム「リザード」で正式にボーカリスト、ベーシストを務めたが、リリース後、ツアー・リハーサル中にロバート・フリップと揉め、脱退してしまった。なんでも「21世紀のスキッツォイド・マン」のグレッグ・レイクが歌ったキーが高過ぎて歌えないので下げてくれと、ゴードンは要請したらしい。(もちろん拒否されたのだろう。ゴードンが歌うこの曲、聴きたかったな…) 

 

その後、ベスト・アルバムが出た時も、ゴードンの関わった曲の彼のパートはすべて他のボーカリスト、ベーシストに差し替えられてしまい、ロバートから徹底的に「排除」されてしまった。そもそも、組曲リザードのメイン曲「ルーパート王子のめざめ」もゲスト・ボーカリストのジョン・アンダーソン(イエス)に歌われてしまうという有り様で。クリムゾン以前から長いキャリアがあり、ロバートとも幼馴染でバンドを組んだことがあるのに、どうしてそこまでロバートに嫌われてしまったのだろう。ゴードンハスケルという文字を入力すると、「ゴードンは透ける」と変換されてしまった。まさに文字通り…(悲)

 

たしかにゴードンのボーカルは声量があまりなく、ベース・プレイもふつうで、クリムゾン向きではなかったが、彼のボーカルには独特の色気、甘さがあって、70年代から固定ファンはけっこう多かった。当時の彼の代表曲は「ケイデンスとカスケイド」だろう。この曲はクリムゾンのボーカリスト4人に歌われているが、ゴードンのボーカルが一番曲に合っていると思う。

 

ロバート・フリップの追悼の言葉は

「うまく飛べよ、ゴードン」だそうだ。

だが、生前、飛べなくしたのはいったい誰なんだ?

 

 

Cadence and Cascade / King Crimson

 (Vocal Gordon Haskell)

このまま消え入ってしまいそうなゴードンの繊細で弱々しいボーカル。そこがまた魅力的だ。

 

 

Circus / King Crimson

(Vocal Gordon Haskell)

リザードの1曲目。ヒリヒリするような緊張感に支配された音楽だ。ロバート・フリップのギターは常人のプレイじゃない。たぶんゴードンはこういった感性についていけなかったのだろう。

 

 

How Wonderful You Are

21世紀になって、ゴードンはやっと日の目を見た。この曲が全英2位のヒットを記録したのである。ゴードンのやりたかった音楽は、ウォームで穏やかなAORやジャズ・ボーカルなのだろう。(マイケル・フランクスのカバー・アルバムをリリースしている) つまり、耽美と狂気を行ったり来たりするようなクリムゾン・ミュージックとは真逆のタイプの音楽だった。

 

 

Gordon Haskell(70年代)

 

 

LIZARD(リザード)のアルバムジャケット