「DVするなんて最低の男だな」
「パチンコに負けたり、仕事がうまくいかなかったりすると、もう大変だった」
「そうか……」
「つき合った男はみんなそうだったの」
俺は「DV男を呼び込む何かが彩海にあるんじゃ…」と言いかけてやめた。彩海が悪い訳じゃない。たんに男運が悪いだけだろう。
「一度元彼に会って話がしたいんだけどいいかな?」
「えっ…それはちょっと…」
「なにか不都合なことがあるのか?」
「不都合はないけど、ヤバい相手だから…」
「そんなろくでもないこと言う奴だから、ヤバいのは解っている」
「う…ん、もう少し待ってくれる」
「あぁ、解った」
彩海が何を躊躇しているのかは解らないけど、無理強いするのはやめた。ひょっとすると、彩海の話は嘘かもしれないという疑念も沸いてくる。よく考えると、彩海の家族構成も、友だちも、どこの学校出身なのかも、まったく知らない。その程度の関係なのに、ちょっと深く入り込みすぎたかなという後悔はあった。たまに会って、食事して、セックスするだけのつき合いでよかったのかもしれない。
それから一週間ほど彩海とは会わなかった。仕事が忙しかったのもあるが、彩海の問題をどうすればいいのか、色々考えていたのである。
家でゴロゴロしながら何気にスマホをいじっていたが、ついついエロサイトにアクセスしてしまった。俺も男だから、時々見たいという欲望はある。昔の裏ヴィデオの時代は、友だち何人かと金を出し合って購入し、回し見していたことがあった。今は詐欺サイトにさえ引っ掛からなければ、気軽にタダで観ることができる。いい時代になったものだ。
オーソドックスな絡みらしき動画にアクセスした。俺の好みはあまりどぎつさがなく、清純そうな女の子と愛し合ってる風な動画だ。女の子の顔は角度の加減でいまいちはっきり解らないが、スタイルや声は俺好みだ。最後のほうで、はっきりと顔が映った。俺は驚きのあまり、思わず「あっ!」と声が出てしまった。
――彩海だ!!
ヘアースタイルは今と違ってロングだが、間違いなく彩海だ。俺は少し戻して再度観た。彩海なら太ももの内側に2か所黒子があるはずだ。あぁ、間違いなく同じ位置にある。
彩海はいったいなにものなんだ。なぜAVなんかに……。AVの作り方からして素人撮影ではなく、プロが撮ったものであることは一目瞭然だった。彩海はAV女優をしていたのか! となると、彩海の言った元彼や借金の話は、すべてが疑わしいものだと言わざるを得ない。俺は彩海に騙されているのだろうか? 俺から金をむしり取ろうとしているのだろうか? 俺はだんだん腹が立ってきた。動かぬ証拠(動画)を見せて、彩海を問い詰める必要がある。俺は彩海に「色々話があるから会いたい」とLINEをした。
(続く)
