井上陽水特集4 つめたい部屋の世界地図/紙飛行機 | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

陽水セカンドアルバム『陽水Ⅱ センチメンタル』

タイトル通り、センチメンタリズムに溢れた曲で占められている。陽水のセンチメンタルさが好きな人は、もっとも好きなアルバムだと言う人が多い。落ち込みたい人は、部屋を暗くして、独りでこのアルバムを聴けばいい。

 

 

つめたい部屋の世界地図

 

はるかなはるかな見知らぬ国へ

ひとりでゆく時は船の旅がいい

波間にゆられてきらめく海へ

誰かに似てるのは空の迷い雲

潮風に吹かれなにも考えず

遠くを見るだけ

やさしさが壊れた海の色は

たとえようもなくて悲しい

 

つめたい部屋の世界地図

アルバムの一曲目。オーケストラのチューニング音のあと、ギターのアルペジオが奏でられ、陽水の透明感に溢れた声が部屋を包んでいく。「透明感のある声」という形容はあちらこちらで聞くが、陽水の声ほど透明感のある声を持った歌手は滅多にいないと思う。特にこの時期の陽水の声は絶品と言ってもいい美しさだ。スケールの大きなこの曲を、この時期の陽水以上に歌える歌手はいないと思う。

 

やさしさが壊れた海の色とは、どんな色なんだろう?

 

 

 

紙飛行機

 

白い紙飛行機

広い空をゆらりゆらり

どこへ行くのだろう

どこに落ちるのだろう

きょうは青空が隠れている

 

風が吹いてきたよ

風に乗れようまく

だけどあまり強い風は

命取りになるよ

君はプロペラを知らないのか

 

雨が降ったら

弱い翼は濡れてしまう

 

強い雨も風も

笑いながら受けて

楽しく飛ぶことも

悪いことじゃないよ

だけど地面に落ちるまで

短い命だね

君は明日まで飛びたいのか

 

紙飛行機

AKBの365日の紙飛行機ではない。エセっぽいポジティヴさよりも、堂々としたペシミズムのほうがストンと腑に落ちる。紙飛行機は強い風は命取りになるし、雨が降ると翼が濡れる。そして…地面に落ちるまでの命。絵に描いたようなマイナス思考だが、同時に現実を見据えた冷静な考え方でもある。だが、そこに人は哀切を覚えるのだ。いかにも陽水らしい。