チョコレート色の電車 | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

チョコレート色の電車が滑り込む

国電
床は板張り
ビスが打ち込まれている
焦げた鉄の匂い
熱すぎる座席のスチーム
蒲田から大森、品川へと続く
新橋で降りて、薄汚れたガード下を抜け
祖父の家へと急ぐ
 
東京空襲のあと、建てられた
まるでバラックのような写真館
貸本屋、駄菓子屋も兼業している
祖母は売れ残った煎餅をばりばり食べている
 
父は小遣いを貯めて買ったSP盤を
祖父の家の蓄音機で聴くのが楽しみだったという
ブラームスの交響曲第一番
ベートーベンの第九に少し似ている
 
D51に轢かれた国鉄総裁の下山事件は
GHQの仕業に違いないと父は呟くように言った