(再)わずかな傷痕 | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

映画館で独り映画を観るとき
つい右側のカップホルダーに
ジンジャーエールの入った紙コップを置いてしまう
いつもキミはボクの左側に座っていたから

休日に独りドライブしても
ついFMラジオから流れる
ジャズボーカルの隙間からキミの声を探してしまう
いつもキミは楽しそうにハミングしていたから

「血液型性格判断って思い込みのバーナム効果だよね?」
「犯罪者のプロファイリングは有効なんだろうか?」
キミに問いかけると笑いながらこう言った
「あなたはいつだって正しいと思うけど、 私にはよくわからないわ」
「誰よりもあなたを愛しているのは、よくわかっている」
そんなキミの言葉が心地良くて、ボクは静かに海辺に向かってハンドルを切る

 

ボクはキミを拘束しなかったから
キミはいつでも自由だった
キミはボクを信じてくれていたから
ボクはいつでも自由だった
だけど、キミは今を置き去りにしてボクから離れていった
むしろ自由よりも確約された未来を欲していたのだろう

キミが最後にくれたものは、かみそり刃の形を模したペンダントだった
「それで手首を切ることはできないよ」
その言葉はボクを傷つけた
カラダは傷つかなかったけど、
ココロがチクリと痛んだ
そして今でもわずかな傷痕が残っている……

 
2017.7.20
 
 
(再掲載加筆修正あり)