この病室を出ていく君はもう闘えはしないけど
いつも見ているといい、相反する世界が争う様を
心を置き忘れた大人達と何も知らない子供達と
隠れ場所なんてもう要らない
それがあれば救われることも多いけど、もう遅いのだ
蝕まれてバラバラになった心を縫い合わせても
糸はプツンプツン切れていく
流れ出た血はもう止まらない……
ピアノのレッスン
夕飯の支度に詰め込まれた道徳
シガレット・パイプにテーブル・クロス
赤い車がタイヤを軋ませながら急ブレーキをかける
後部座席から一人の少年が飛び出し、
自宅キッチンで料理をしていた母親のそばに駆け寄った
少年は真っ赤な顔して興奮しながら言った
「ママ、どうしよう?! 人を殺しちゃった!!」
繰り返されるベースの半音進行のうねり
砕け散った万華鏡の光が屈折する中で
蠢く大人達が興奮して口々に叫び始める
「そのガキを死刑にしろ!」
罵声、怒声が闇夜を切り裂き、少年は憎悪の炎に包まれる
青白いストロボが断続的に暗闇を浮き立たせる
母親は狂ったように泣き叫んでいた
「誰かその子を助けて!」
だが、誰の耳にも母親の声は届かない
「みんなお前達のせいだ。狂ってるよ……なにもかも」
少年は小さな声で呟いた
そして、ビルの屋上から、少年は飛んだ
翌朝の新聞の三面記事の見出しにはこう書かれていた
「理性が燃え尽きたその子は天国へ旅立ってしまった」
その当時、TVの深夜放送でアメリカ映画「レベル・ポイント(1979年公開)」を観ました。ストーリーは子供を抑えつけようとする大人達とそれに反抗する子供達の闘いを描いたものでした。
音楽は新たには書き起こされず、ヴァン・ヘイレン、チープ・トリック、ジミ・ヘンドリックス、ラモーンズ、リトル・フィートなど、そうそうたるロック・ミュージック(既成曲)が使われています。反逆的だけど、明るく爽やかな映画で、妙に印象に残りました。
その理由のひとつは、サイモン&ガーファンクルの組曲「ブックエンド」の中の「我が子の命を救いたまえ」の詞と共通するものがあったからです。ポール・サイモンの書いた詞は、大人の無理解に悩む少年が母親の必死の祈りの中、ビルから飛び降りるというストーリー性のあるものでした。私の書いたこの詩は、そのふたつをミックスしたようなものだと言えるかもしれません。
1960~70年代は、純粋だけど反抗的な若者達(子供達)VS 権威を持ったずる賢い大人達というシンプルな図式の作品が、音楽、映画など、たくさん作られました。私は自身の中にあった親への反抗心がオーバーラップして共感を覚えたのでしょうね。