雪女はいつものように夜、山小屋に姿を現し、登山者たちを脅かしていた。登山者たちは恐怖に慄き、山小屋から逃げ出した。雪女は山小屋を物色し、おにぎりとお菓子を見つけると、それらを貪り食った。朝から何も食べておらず、思いっきり空腹だったのだ。
――自分以外に、こんなところを彷徨っている妖怪がいるのか?
半信半疑で、その妖怪の後を追いかけた。それはUMAの一種で、捕獲されたことはないが、写真でよく見る雪男そのものだった。
「ちょっと待ってよ。あんたはいったい何者なの?」
雪男らしき妖怪はちらっと雪女のほうを見たが、そのまま、どこかに逃げ去ってしまった。
――あれは雪男に違いない。雪女のアタシが言うのもなんだけど、雪男がまさかほんとうにいるなんて……。
残された足跡を見ると、人間の足跡の2倍くらいの大きさだった。それくらいあってもおかしくはない。なぜなら、身長は2メートルはゆうに越えていたからだ。
翌日、また雪女は雪男と遭遇した。
「ねぇ、待ってよ、お願いだから」
雪男はやっと逃げるのをやめ、雪女が追いつくのを待った。
「なんで追いかけるんだ、ほっといてくれ!」
「あんたは雪男なの? アタシは雪女。妖怪同士、仲良くしない?」
「あぁ、雪男だよ。ひとりの方が楽でいいんだ。人間だった頃、さんざん女に苛められたからな。女は苦手なんだ。あんたは妖怪でも、女には違いないだろう?」
「あんたも元は人間だったのね。アタシと同じよ。ひょっとしてなんか悪いことして、神様に妖怪に変えられたんじゃないの?」
「あぁ、その通りだ。俺は女を殺めてしまったんだ」
「アタシと同じじゃない。もっと話そうよ」
雪男は雪女をじっと見つめた。
「あんたもなんか事情がありそうだな。一見、顔は恐いが悪い女じゃなさそうだし」
「あんたもけっこういい男だよ。男の哀愁感じるの。話聞かせて」
二人は色々なことを話しているうちに、親しくなっていった。そして、雪男は自分の過去を話し始めた。
(次回最終話に続く)
2015.4.21
