僕は時間のヒダを辿って、過去の君を追い掛ける
過去なんてどうでもいいようなものだけど
ほんとうはとても大事なことなんだ
過去だけを切り離して
今を素晴らしいものにすることはできない
それは君が未だに過去の残滓を捨て去ることができていないことを
僕は知っているからなんだ
僕は君の過去まで独占したいわけじゃない
根本的には何も変わっていない君が
また過去に舞い戻ってしまうことを恐れているんだ
今の君を見守りながら
もうひとりの駄々っ子のような君を諭すことが
僕に課せられた大事な仕事
それはとてもやっかいなことだけど
すべての君に辿りつく方法は、それしかないんだ
……そんなことを書いた手紙を君に送ったことがある。
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でも、もう君は僕の前にはいない
僕が怖れていた通りになってしまった
君はやはり、僕にとっては別世界の住人
宇宙は分厚い壁を隔てて2つあるんだ
「現在」と「過去」という2つの主軸を持った君の宇宙と
「すべての時間」と「すべての空間」が主軸である僕の宇宙と……
僕は夜空を見上げて再度、君の宇宙を確認する
H.R.ギーガー作
2015.4.7

