自分は、今年の4月ぐらいから囲碁を始め、
7月より、この石倉昇九段講師の囲碁教室に通っています。
この石倉先生は、囲碁界では、非常に有名で、
NHK囲碁講座を担当しており、
おなじみの人であるともいえます。
石倉先生は教えることにも定評があり、
独自の言葉、法則で、分かりやすく解説しています。
何より石倉先生のすごい点は、著書『ひかるの碁・勝利学』にも
記されていますが、もともと、東大を卒業し、
当時の日本興業銀行に勤めておられてという点です。
通常、プロになる人は、子供の頃から、
院生というプロ養成機関に所属しており、
そこで、一定のリーグ戦を勝ち抜いて、
晴れて、プロになることができます。
従って、プロの棋士というのは、
子供の頃から、その世界で生きているわけで、
プロ野球の選手が、子供の頃から野球をやり、
そのままプロになっていくわけですが、
囲碁の世界も同様で、子供の頃から、囲碁の世界で生きて、
そのままプロになっていくのです。
しかし、石倉先生は、一般的なサラリーマンを
経験しているという点では、非常に貴重であり、
特異な経緯であるといえます。
ただ、プロの棋士が皆、教えるのがうまいということはなく、
子供の頃から天才であれば、理由を求めなくても、
考えずに打つべき手がわかるわけで、そういう人に、
一般人向けの解説を求めても、無理があります。
石倉先生自体は、麻生高校、東大、日本興業銀行と、
日本のエリート街道を行く人であったにも関わらず、
日本興業銀行を辞めて、プロ試験に挑んだのです。
本にも書いてありますが、
銀行を辞めずに、プロ試験を受けることは、
当然、可能でしたが、石倉先生はあえて、
退路を断つことにより、自分を追い込んだというのです。
つまり、逃げ道をつくっておくような心構えでは、
到底、プロになることができないと決意されていたのであります。
石倉先生は、銀行は自分がいなくても成り立つが、
囲碁界は、自分のような人間がいなければならないと感じたそうです。
実際に、現在における石倉先生の囲碁界への貢献は、
絶大なものがあり、石倉先生の解説、普及活動なくしては、
ここまで日本の囲碁は、発展しなかったと思います。
実際に講義を受けても、慣れているのもありますが、
話し方がうまく、すぐに引き込まれていってしまいます。
直接、個人的に話をしてみても、
本当に、物腰が低く、柔和で、常に笑みをたたえており、
人間的にも感服してしまいます。
先日、石倉先生にお願いして、
白扇に一筆お願いしたところ、
こころよく引き受けてくれました。
これが、そうです。
碁を一手、打つごとに、
笑うような人生でありたい、
という意味のようです。
非常に石倉先生らしい言葉だと、
思いました。
自分の一生の宝物です。