今年のツールの注目は、なんといって
日本人で出場する新城選手であろう。
(スキルシマノから別府選手も出場!)
彼の所属するチームが、ブイグレテコムである。
チームに関する紹介は、他でもされていると思うが、
自分は、そのおおもととなるブイグテレコム会社自体について
焦点を当てたい。
ブイグレテコムは、フランスの大手携帯通信企業で、
日本で言うauやドコモ、ソフトバンクと並ぶような、
フランス人であれば、みな知っているような会社である。
自分もフランス留学中、このブイグレテコムの携帯を使っていた。
自分みたく1年間と言う短期の場合は、
プリペイド式のカードを買って、それを案内にしたがって操作し、
チャージしていくのが一般的である。
プリペイドカードは、たばこ屋とかで買うわけであるが、
もとの"Bouygues Telecom" というこの"Bouygues"というのが、
読み方がわからず、自分はてっきり、「ブイジュ」だと思い込んでいて、
売店で、「ブイジュのプリペイドカードください」といったら、
けげんな顔をされ、結局買えずに、断念した記憶がある。
通常、そのプリペイドカードに記載されている
手順をもとに、そこに番号に電話をかけ、
アナウンスに従って、ボタンを入力していくのであるが、
これが留学当時の自分にとっては、非常にやっかいで、
なかなかチャージが完了しないのである。
なかば、リスニングのテストではないが、
ディクテーションをするかのように、
同じフレーズ、アナウンスを何度も聞いては、
ボタンを押して、試すという行為を繰り返した。
最終的に、数字を入力した後、
「#」か「*」を押さなければならなかったのだが、
その単語をフランス語で、まだ知らなかったがゆえに、
1時間ぐらい、携帯と格闘していたのである。
フランスの携帯ということで言えば、
日本の携帯に比べると非常に遅れていて、
当時は2004年で、日本では、ワンセグが、
発売される前だったと思うが、それでも、
それなりの画像度や映像が見れたと思う。
それにくらべ、フランスの携帯は、
非常にシンプルで、基本、白黒画面であり、
カラーも発売されていたが、持っていると、
皆からもてはやされるというような感じである。
とくに自分の持っていたのは、
型が古いやつで、友人からゆずってもらったのだが、
メール、あっちでいうSNSを打つために、
文章を作成するわけだが、日本の携帯みたく、
文字予測変換的なものは、一切ない。
つまり、フランス語のアルファベットを1文字ずつ、
入力していくわけであるが、
ボタンを押した回数分だけ、a,b,cと変化していくのであれば、
まだよかったのだが、自分のは長押し式で、
ボタンを押したまま、a,b,cと変化していくのを待つのである。
なので、タイミングを見はからって、
ボタンを離し、文字を入力すると言う作業であり、
想像いただければ分かると思いますが、
あまりにも時間がかかるため、
途中でメッセージを作成するのを、
やめたこともしばしであった。
そんなこんなで、20分、30分ぐらいかけて、メッセージを作成し、
送信するわけであるが、ここでもさらに悲劇があり、
たまに送信エラーになってしまうことがあって、
せっかくつくった文章が、なんと、完全に消去されているのである。
その時の絶望感といったら、表現の仕様がない。
このことによって、どれだけ友好関係を損なったか、
その被害は、はかり知れない。
そんな、自分とも係わりあいの深いブイグテレコムから、
日本人選手が出場することは、非常に光栄である。
本来、通信会社とは、人を結びつけるはずなのに、
自分は、逆に、この携帯を通じて、疎遠になってしまうケースが
多かったような気もする。
そんな、ブイグテレコム、新城選手に期待したい。