ツールドフランス観戦記(2004プロローグ編Ⅰ) | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

昔の話になりますが、
自分が始めて生でツールドフランスを観戦したのは、
2004年、プロローグの時でした。
 
場所はベルギー・リエージュ。
 
2004年は、アームストロングが6連覇目を
賭けていた年です。
 
プロローグは、個人タイムトライアル(個人TT)で、
優勝を狙うのであれば、ここでタイム差を
つけられてはいけません。
 
コースは市街地を走る部分もあり、かなり、
テクニカルであり、実際、落車する選手も
何人かいました。
 
そもそもTT用バイクは、空気抵抗を最小限に
抑えるため、かなり前かがみの体勢になり、
ハンドルもDHバーを握ったりするため、
操作性に優れておらず、不安定であったりします。
 
観戦するポイントを決めようと、
街中をコースに沿って歩いていたとき、
後ろから、突如、歓声が聞こえてきました。
 
振り返ってみると、そこには、アームスロングが、最終調整のため、
一人で、全身青一色で、駆け抜けてくるではありませんか。
 
その姿は、王者の風格そのものであり、
その五体から発せられるオーラが、凄まじいものがありました。
 
それを見て、自分は、ああ、今年もランスが総合優勝するなと
思いました。
 
実際にレースが始まって、一人ずつ選手が通るわけですが、
一つ困ったことがあり、それは、選手の出走順が分からないのです。
 
テレビで見ていれば、随時、表示されるので問題ありませんが、
応援しようにも、次に誰が来るのか分からなければ、非常に困り、
実際、選手が通ってから、そのジャージのカラーと、レースナンバーから、
選手を特定するわけですが、時速60キロぐらいで、彼らは走っているわけですから、
そうこうしている内に、一瞬で通り過ぎてしまいます。
 
結局、出走順がわかるのが、レース始まる直前であり、
インターネットから確認できるのですが、
席取りをしている以上、動くことができないわけで、
これは非常に、ジレンマです。
 
その時のステージ優勝は、ファビアン・チャンセラで、
いまでこそ彼は、TTやスプリントに強い選手として、
有名ですが、当時はほぼ、無名であり、
このステージ優勝を機に、活躍し始めたといっても、
過言ではありません。
 
そうこうして、無事、表彰式も見届けて、
いざ、帰ろうと駅に向かったとき、
そこで悲劇が待っていました。
 
これは、次回にいたします。