$Duo QuenArpa 公式ブログ(新)-Andromeda

★宇宙を貫く法則 『1/ f ゆらぎ』
自然の風は扇風機の風よりはるかに
気持ちよいものです。それはゆらぎがあるから。
一見でたらめそうなこのゆらぎには
実は規則性があります。

自然の風はたまに強く吹くことがあります。
つまり大きなゆらぎは
ゆったりとした周期で起こります。
そのゆったりしたゆらぎの上に、
小刻みでせわしない小さなゆらぎがのっています。
つまり小さなゆらぎが頻繁に起こりながら、
それは同時に、
たまに起こる大きなゆらぎの
一部になっているのです。

もっと簡略化すれば、
小さな変化はしょっちゅう起きていて、
大きな変化がたまに起きます。
ゆらぎの振幅の大きさが振動数(frequency)に
反比例します。振動数をfとすると、
振幅(ゆらぎ)の大きさが1/fに比例するので、
このゆらぎは『1/ fゆらぎ』と呼ばれます。

大きな波形(ゆらぎ)も遠くから眺めると
さらに大きな波の一部として組み込まれています。
つまりは、全体像と大きな部分と小さな部分が
どれも相似形になっていて、
これをフラクタル構造と呼びます。

1/ fゆらぎとフラクタル構造は、
同じことを現象面と構造面から見たものと
言ってもよいと思います。
風だけでなく、星の瞬き、木々の枝ぶり、
河川の支流の分かれ方、パセリ、ブロッコリー、
カスミソウ、心臓の鼓動など、
自然界全体にわたって広く、
1/ fゆらぎが見られます。


★『1/ fゆらぎ』 が生まれるわけ
この世にあるすべてのものは
おびただしい数の原子、分子の集合であり、
それらの離合集散によって
すべての現象が起こっています。
それぞれの粒子は自由に動こうとしますが
周りの粒子が互いに邪魔し合って、
それぞれは自由に動くことができません。
つまり周りからの影響を受けながらも、
出来る限り自由に変動しようとして
その結果 『1/ fゆらぎ』が生まれるわけです。


★人に優しい 『1/ fゆらぎ』
結果として意外性と期待性が
ほどよくブレンドされた変動となるので、
それが心地よいのです。

意外性が強すぎるというのは、
例えば突飛なものの連続。
これは心地よくありません。
または期待通りのことだけが続くと
退屈になります。

調性から自由になった無調の音楽が不人気なのは、
意外性だけが連続するからでしょう。
また、
聞き慣れない民族音楽がしばらくすると
どれも同じように聞こえてくるのは、
期待性(同じようなことの)の
連続だからでしょう。

つまり様々な制限の中で、
出来る限り自由な表現をめざした時に、
音楽も『1/ fゆらぎ』になるのです。

実はヴィヴラート(声や音のゆらぎ)の
かけ方ひとつでも、
1/ fゆらぎの演奏家とその逆の演奏家がいます。
『1/ fゆらぎヴィヴラート』では、
振幅を大きくする場合は、ゆっくりとした波となり、
速い(細かい)波にする場合は振幅を小さくします。
このコントロールは楽器よりも声の方が
はるかに難しいようです。

楽器の演奏家の中にも、
どんな曲のどんな部分でも
大きな振幅で速いヴィヴラートしか
使わない奏者もいます。
逆に歌手の中でも、声を見事にコントロールして、
振幅の大きなゆっくりした波と、
振幅の小さな速い波と自在に使い分ける
『1/ fヴィヴラート』の歌手もいます。

人の心を打つのは、当然
『1/ fヴィヴラート』の歌い手、演奏家です。
実はヴィヴラートに限ったことでなく、
メロディやハーモニーを構成する音たちの周波数、
強弱の波やリズムなど、音楽のすべての要素に
『1/ fゆらぎ』の傾向が強く現れている音楽ほど、
感動をもたらすようです。


★デュオ・ケーナルパと『1/ fゆらぎ』
ヘ長調(F-major)と
不完全なニ短調(D-minor)しか
演奏できないアルパという民族楽器を中心にして、
ケーナという笛と歌声と言葉を自在に組み合わせて、
出来る限り自由で幅広い表現をめざすのが、
デュオ・ケーナルパです。
結果として、
意外性と期待性が
ほどよく混じった音楽が生まれます。
(この場合「不完全なニ短調」というのは、
ニ短調の曲には西洋音楽の和声学的に必要な属和音、
コードネーム「A」[ラ・ド#・ミ]の「ド#」の
音がアルパでは出せないという意味)


★『1/ fゆらぎ』は美の源泉
宇宙の基本法則である『1/ fゆらぎ』が、
音楽の美しさの中にも完璧に反映しているのは
すごいことですねえ。
実は音楽のみならず、
すべての美の源泉が『1/ fゆらぎ』にある
といってもよいと思います。

黄金分割(比率)といわれる、
1:0.618=0.618:0.382
(全体:部分=部分:残りの部分)は、
永久にこの比を繰り返していける、
いわゆるフラクタル構造です。
つまりこれも『1/ fゆらぎ』なのです。
(参考文献:『宇宙の不思議』佐治晴夫・著)



ブログを訪ねてくださるみなさまに
良い事がたくさんありますように、
祈っています。


**************************

『大沢悠里のゆうゆうワイド』出演
録音はこちら。
http://mez.xii.jp/top/20110215_high.mp3