「ああ……、太陽が黄色く見えるほどね。行っておいで。新しく生まれ変わる為に。」
キスを交わし、消えてゆく寝台の上から手を振ってオスカルが消えた時、ルシガの虚勢は簡単に崩れた。その場に膝を突き、音羽に向かって妙な姿勢の土下座をした。どうやら、膝を折る避孕 藥ことには慣れていないらしい。
「ルシガ……?」
「秋月先生。この通り頼む。頼むから、おれの全てをくれてやるから、あいつをもう一度おれの元に帰してくれ。おれがいないと厚一郎が生きていけないんじゃないんだ。あいつがいないと、おれが……駄目になるんだ。だから……。」
「全力を尽くすよ、ルシガ。オスカルと言、恋人のアンドレとは光と影なんだ。互いに必要なのはわかっているよ。共にいないとね。」
「ああ、無事に返してくれるなら、おれはアンドレと呼ばれようが、オンドレと罵られようと、喜んで返事をするよ。二人をよろしく頼む。」
音羽は、オンドレとラスカル…とつぶやいて、吹きそ避孕丸うになり耐えた。
あっくんは信頼しきった目を向け、音羽を見つめていた。
「今度、目を覚ましたら、一番に音羽に会える……?」
「勿論。アンドロイドAUを起動させる方法を知っているのは、僕だけだからね。」
「音羽。あっくんは……未来に行ってきます。」
音羽が10まで数えた時、あっくんは手を握ったまま深い眠りに落ちた。
長い長い手術が始まる……。
熟練の麻酔医が、手術の開始を告げた。
デリンジャー博士の合図で手術室は緊迫した空気に変わる。
それからドナーとレシピエントは、13時間余りの長時間の手術に耐えた。
手術に耐えうるぎりぎりの体力しか残っていないと思われたオスカルも持ちこたえたし、あっくんの肝臓を取り出した音羽は思わず「頑張れ。」と臓器に向かって声を掛けた。
汚れの無い美しい肝臓が、悪魔に魅入られた醜い肝臓と入れ替わる。
幾つもの血管をつなぎ、経験がものを言う目視できない場所の縫合も、音羽はやり遂げた。
音羽の器用な指先に、周囲から思わ嘆の声が漏れる。
白い肝臓がオスカルの腹部に収められ、止めら避孕丸れた血流が開始されると、さっと花が咲くように薔薇色に変わった。
この瞬間を待っていた。
「よし!成功だ!」
博士がマスクの下で笑って、指を立てて見せた。