慶應義塾大学政策?メディア研究科特任教授
新書判/253頁/定価800円+税/PHP新書BOOK REVIEW―人事パーソンへオススメの新刊
■若手社員も、その育成役のミドル層もうまく育っていない。多くの企業が問題視する人材育成力低下の根源はどこにあるのか。絡み合ういくつかの要素から筆者が焦点を当てるのは「産業構造の変化」だ。日本経済のサービス産業化が進み、また中堅?中小企業が多くを占めるサービス業の成長に期待が寄せられている一方、そうした変化に人材育成が追いついていない問題がある。
■サービス業の対極とも言える輸出型製造業に適した人材育成、タテ型承継型OJTのノウハウは日本企業の大きな強みだったが、構造変化が進んだ現在はもはやそのままではなじみにくい。従来のやり方を横流しにしただけのマネジメントではうまく機能せず、上司と部下のあいだに軋轢が生じれば、働く側の居心地も悪くなる。そうした企業が、結果的に「ブラック企業」と非難されるケースも多い。
■著者は、若者を成長させ、変化の激しい時代において雇用の質を向上させる企業を“ホワイト企業”と定義する。その条件として「ビジョンと人材像の実質化」「コミュニケーションを通じた人材育成」「仕事を通じた人材育成」「職場育成機能を補完する人材育成投資」「人?仕事?キャリアへの取り組み姿勢の形成支援」の5分野から15項目の要件を抽出し、具体的な企業事例とともに、「人材育成企業」になるための手順をひも解いている。「人を大切にする」と言葉で語るだけでなく、将来への成長を促す仕組みを形づくるためのヒントと要件がここにあふれている。
ホワイト企業 ――サービス業化する日本の人材育成戦略
内容紹介
人を育てず使い捨てにする会社は「ブラック企業」と批判され、仕事にやりがいを見出せない若者は3年で退職してしまう…。そんななかでも、20代が辞めずに生き生きと働く企業はたしかに存在する。スターバックスジャパン、サイバーエージェント、ベネッセ―いったい何が違うのか。人事?組織論の第一人者が、現代の日本企業が抱える問題点と、その対策を解き明かす。