オレって、飽き性なんだろうか…?
仙道はぼんやりと海に釣り糸を垂れながら、そう考えていた。
確かにこれまで、長く続いた試しのあったものを数える方がかなり早い。
オモチャも、習い事も、どれも途中で熱が冷めるのだ。
その中でも続いているものは、
今やっている釣りと、小学生の時からやっているバスケット、そして現在進行形の片想い
…ぐらいなものだろうか。
何にでも、興味は持つのだ。
ただ、すぐにそれをすぐにやめてしまうからなのかもしれない。
でも、それは仙道的にも理由がある。
自分の中では、それを納得いくまでやり尽くし、その結果がすぐに出たからやめただけの話であって、
飽き性ではない、と思いたいのだが…。
『オマエって、飽き性だからなぁ…』
呆れたようにそう笑った、越野の顔が浮かぶ。
冗談のように相談した、恋をしている相手に、自分の恋のそれを。
『きっとオマエ、彼女の全てを知り尽くしたらさ、飽きちゃうんだよ。いつもみたいに』
だったら、やめとけよ、と越野は急に真剣なまなざしになってそう云った。
相手が傷つくだけだから、それならいっそ何もしないほうがいいと。
飽きてしまうのだろうか、越野が云うように。
かれこれ2年近くも一番近くにいて、ずっとこんな切ない想いを抱いていて、
実は何も知らない彼のことも。
手に入れて、知り尽くしたら…飽きてしまうのだろうか?
ぴくん、と釣り糸が動いた。
この当たりだと、鯵だろう。
ゆっくりとリールを巻きながら、仙道はふと思う。
いや、違う。
どんなに好きになったことでも、半年が限界だったのだ。
バスケと、釣り以外は。
それが、もう2年近くも続いているのであれば、
きっとこの想いは…飽きることなく続くのだろう。
吊り上げた鯵を手に仙道はニッとひとつ笑うと、
釣り針からその跳ねる魚を外し、そっと海へと帰した。
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5月5日。
今日の誕生花は、アルストロメリア。
花言葉は、『持続』
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