「来いよ、仙道」


優雅に指を伸ばし、まるで勝負を仕掛けるような仕草でオレを誘う。

バスケをしている時の高潔さは、そんな時も全く変わらない。


掻き抱く髪には、知らないオトコの匂い。

本命はいるクセに、それでも他のオトコに抱かれるこの人の本心が全く読めない。


オレも『他のオトコ』の一人。

この人にとって、本命以外は淋しさを紛らわす為のオモチャに過ぎない。

オモチャにだって、心があることを、この人は見ない振りをする。


唇を合わせる。

耳元で『アイシテル』と囁いてみる。

感じる耳の裏をベロリ、と舌で舐め上げると、鼻にかかった甘い声を洩らす。

腹に当たる欲望の証が、緩やかに反応してくる。


上気した肌から、甘い匂い。

グラグラするくらいに痺れるそれは、オレの欲望の導火線に簡単に火をつける。

噛み付くように胸元に口づければ、『アトは残すなよ』と甘い吐息の中で棘のある言葉で釘を刺す。





どこまで行けば、この想いは報われる?





どんなに優しく抱いても、


どんなに激しく抱いても、


それでも、この人は本命が一言いいさえすれば、きっと全てのオモチャを簡単に手放すのだろう。




たった、一言。


『アイシテル』…と。




云ってもらえないジレンマの狭間で、この人はオモチャを弄ぶ。


報われない恋を持て余して、ほんの戯れに。





だったら、いっそ…オレが壊してしまおうか?





快感で打ち震える脚の付け根に顔を寄せる。

咽返る程の欲望の甘い匂いが漂うそこ。


本人は快楽に翻弄されて気づくはずもないから。

せめて、この高潔な彼を貶めてしまえれば。



気づくことのないように、欲望の中心を弄ぶ。



そうしながら、オレはその白い肌に所有の証をつける。

白い肌に映える、真っ赤な情愛の証。

それはこんな事をしなければ、誰にも見えない背徳の印。



壊れてしまえばいい。

そうすれば、何かが変わるに違いない。




この人の変わらない高潔さも。


オレの醜いこの嫉妬も。


本命の疑いのない愛情も。




突き動かすたびに揺れる、赤い印。

コレが何かを変える日はくるのだろうか…。




「…来いよ…オマエももう…限界だろ?」

そう呟き強請る様に揺れた腰を掴み、オレは一気に突き上げた。





オモチャは、いつまでもオモチャなんかじゃ、いられない…。




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4月27日。


今日の誕生花は、クレマチス。


花言葉は、『高潔』


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