「…花形」

恥らうように寄り添う藤真に、花形は驚いた表情で彼を見つめた。

高鳴る心臓は、藤真に気づかれるのではないかと思うくらいだ。


いつもの罵詈雑言を吐き出す、『毒舌』は形を潜め、

恥じらいながらトロンと潤んだ瞳で花形をしっとりと見つめる。


「…ふ…藤真…?」

想定外のシュチュエーションにどうしていいか分からず

思わず声が裏返ってしまう。


藤真は尚もうっとりと花形を見つめ、はにかんだように微笑む。

頬はうっすらと桜色になっている。



藤真はいつからか自分の気持ちに気づいているんだ…。

なかなか言い出せない自分に、焦れてしまったのだろうか…?


「藤真…。」


やんわりと両肩を抱き、真剣な眼差しで藤真の顔に自分の顔を近づけた。


その瞬間、藤真の身体に似合わない大きな手の平が花形の顔面に直撃する。


「あいたっ!」

「高野ぉ、これでラーメン奢りな!」


藤真は後ろを振り返りながら嬉しそうに大声で叫びながら

今にも泣きそうなそんな情けない表情の花形チラリと見やる。


「サカるのはお姉ちゃんだけにしとけよ、花形!」


藤真はそう云って、豪快に笑いながら

花形の尻をバシンと叩いた。


ほんの少しだけ涙声ではあっと大きなため息を吐く花形であった。




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


4月2日

今日の誕生花は、カラー。

花言葉は『乙女のしとやかさ』


今回は、お礼に途中から

にしむらなるほ嬢にチェンジして書いてもらいました。

なるほちゃん、ありがとう。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□