ドクターの話によると、血中アンモニア濃度は高くなっているとのこと。
尿の量も少ないままだ。
これから何が起こるかと言うと、意識障害。
たぶん、眠る時間が長くなり、問いかけにも反応しなくなるだろう。
荒い呼吸が痛々しい。
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さて。
時は遡り30年前の某大学病院。
医師から急性骨髄性白血病と告げられた弟。
両親が受けた衝撃は相当なものだった。
諦めていた時にできた子であり、もう可愛くて仕方なかったので、毎日涙に暮れていた。
治療が開始されると、ガンの化学療法と同じ副作用が。
加えて、マルクの検査。
主治医はまだ若かったが、人間味あふれる人柄だった。
マルクを処置室で行い、いつも弟をおんぶして病室に戻ってくる。
マルクのたびにね。
ほかのドクターは看護師任せ。
弟も、あの検査は痛かったはずだが、嫌だとゴネることはなかった。
まだ小学3年なのに、本当に我慢強く、頭が下がる思いだったと、付き添っていた母は話していた。
日が経つにつれ、説明があった通り髪の毛は抜け、太りはじめてムーンフェイスと言われる顔に。
文字通りまん丸の顔になった。
それと輸血。
時には血小板の成分輸血。
今でも献血のCMで呼びかけているが、血が足りなくて輸血用血液が届かないという事もあった。
一方で、弟が入院している間に、大きな出来事があった。
それは引っ越し。
前年から話は決まっていたが、分譲マンションを購入していたので、完成後引っ越したのだ。
そのおかげで、自分の通学時間が数倍に増えてしまった。
自分が高校を選んだ理由は「家から近いから」
それ以外の理由は無かった。
何も将来のことは考えていない。
歩けば15分くらい。バス停で3つ。
当時の成績なら、この高校であれば受験勉強はいらなかった。
中学の三者面談は3分で終わった記憶が残っている。
よく親は何も言わずに、適当な自分の選択を認めたものだ。
しかし。
高校在学中に引っ越したことで、進学した動機がなくなってしまった。
こんなことなら、自分の成績に合った高校に進学すべきだったと後悔した。
ま、結果的に、今の仕事に就き、妻とも出会えたので良かったのだが。笑
人生何がどうなるかわからないね。
こうして弟がいない中で引っ越しがあり、弟の部屋は、早く住人の帰りを待っていたのであった。
続く