昔のヒトは、シンプルなお話を伝承することで真実を伝えてきた。
神話や昔話には、いろいろな真実が垣間みてとれる。
さて、むかし、むかしのお話。
なぜ、各地の農耕の民、漁業の民は、「装置」を作ることを許したのか。
青き森の国に、ある古文書が残されていた。
そのことの一端が伺えるやも知れない。
「シマーフクの災難」の十年ほど前の出来事のようである。
---------青き森の国の書--------------
いにしえの昔。
かつては農耕や漁業で繁栄を誇った青き森の国。
彼の地の民は、雪に閉ざされた季節には、途方に暮れる毎日を送っていた。
なにしろ、多大なる雪ノ量。
誰もが動くことすらできなかった。
そんなある日のこと。
倭の国の中心、大いなる都トーキより、大長老爺(じい)ミントーが来訪した。
爺(じい)ミントー曰く 「私はこの地に栄華をもたらす」
青き森の国の長老は問うた。 「どのようにして」
爺(じい)ミントー 「装置を建造せよ」
青き森の国の長老は問うた。 「危なきこと、聞き及んでおりますが」
爺(じい)ミントー 「きわめて安全である。技術の民 デンリークが最善を尽くす」
青き森の国の長老は問うた。 「如何にして栄華をもたらすのや?」
爺(じい)ミントー 「装置の建造には、多大な財宝がいる。それを与える。装置を司る民を雇い入れよ。彼らにも財宝を与える。多くの民を雇い入れよ。さすれば、繁栄する」
青き森の国の長老は問うた。 「風を使う装置が良いと聞き及んでおります」
爺(じい)ミントー 「否。建造に財宝が使えぬ。装置を司るためにも、さほど財宝はかからぬ。よって、財宝が与えられぬ」
青き森の国の長老は問うた。 「太陽を使う装置が良いと聞き及んでおります」
爺(じい)ミントー 「否」
青き森の国の長老は問うた。 「しかし、いくら財宝があれども、装置が壊れたときは、民が住めなくなりやしませぬか。故郷を追われることはありませぬか」
爺(じい)ミントー 「民にそのことを話してはならぬ。書物や音楽にて、そのことを伝えることは禁ずる」
皮肉なことに
大いなる都トーキでは、先鋭の民 キーシロ・イマワが音楽にて、そのことを伝えようとした。
が、時すでに遅く、
青き森の国には、多数の「装置」が建造されることになった。
彼の地の民は、「装置」のおかげで、多くの財宝を手にし、ひとときの栄華に浸ることができたのである。
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古文書はココで終わっている。
その後、彼の地の民がどうなってしまったか、記録は一切残されていない・・・。