“福祉就労”と“福祉的生活支援”のちがいとは?
特別支援学校に通うお子さんが卒業後、どんな場所で、どんな風に過ごすのか――。
保護者の方にとって、進路の選択はとても大きな不安のひとつです。
今回は「福祉的な就労」や「福祉施設での生活支援」について、実際の支援のかたちや選択肢を整理してご紹介します。
● 「働く」を支える福祉サービス:就労継続支援
特別支援学校を卒業した後、一般企業で働くのが難しい場合には、「就労継続支援」という福祉サービスを活用することがあります。
この制度には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
- A型(雇用型):
・事業所と雇用契約を結び、時給制で働くスタイルです。
・最低賃金が保障され、出勤や作業の安定性が求められます。 - B型(非雇用型):
・雇用契約は結ばず、作業に応じた工賃が支払われます。
・自分のペースで通所しやすく、体調や障害特性に配慮した働き方が可能です。
「この子にとってどんなスタイルが合っているのか?」を考えることが、最初の一歩です。
● 働かない選択肢:「生活介護」という日中活動
卒業後、「毎日働くのはまだ難しい」というお子さんもたくさんいます。
そんな時には、生活介護(福祉型施設)という選択肢があります。
ここでは、次のような活動が行われています:
- 軽作業や創作活動
- 散歩・運動・レクリエーション
- 生活支援(トイレ・食事・入浴など)
毎日のリズムを整え、社会とのつながりを保ちながら「その子らしく」生活できるよう支援してくれる場です。
● 実際に見学・体験することの大切さ
支援学校の高等部では、高2・高3で進路先の見学や体験が行われることが多いです。
実際の作業や雰囲気を知ることは、子どもにとっても保護者にとっても大きなヒントになります。
「ここなら安心して通えそう」
「この作業、やってみたい!」
――そんな気持ちを見つけるきっかけになります。
● 家庭と学校でできる“進路の準備”
進路選びに向けて、家庭と学校で協力してできることもたくさんあります。
- 生活リズムを整える練習
- 毎日通う体力をつける
- 指示理解・返事・あいさつなどの基本スキル
- 自分の気持ちや「好き・苦手」を伝える練習
どの進路に進むにしても、本人が安心して「自分らしく」過ごせることが一番大切です。
● 最後に
進路選択には「正解」はありません。
でも、子どもに合ったペース・環境・人との出会いがあれば、卒業後の生活はきっと安心なものになります。