特別支援学校卒業後の進路について

特別支援学校の高等部に通うお子さんをもつ保護者の方の中には、「卒業後、うちの子はどうなるの?」という不安を抱えている方も多いと思います。
高校卒業はひとつの区切りであると同時に、その後の暮らしや仕事に向けたスタート地点でもあります。


特別支援学校高等部の卒業後、どんな道があるの?

知的障害のある生徒が卒業後に進む進路は、大きく分けて以下のような選択肢があります。

  • 福祉的就労(就労継続支援A型・B型など)
  • 一般企業への就職(障害者雇用枠など)
  • 福祉施設の利用(生活介護や日中活動支援)
  • 進学・専攻科進学(支援学校の専攻科や特別支援高等部など)
  • 福祉型カレッジ(新しい進路として注目)

進路はひとつではなく、お子さんの特性・希望・発達段階・環境に応じて柔軟に選んでいくことができます。


福祉的就労とは?

一般就労が難しいとされる方に向けた、福祉サービスのひとつです。
「働く場所」でありながら、支援員がつき、ペースや課題の調整もしてくれます。

  • 就労継続支援A型:雇用契約あり。最低賃金が保証されます。
  • 就労継続支援B型:雇用契約なし。作業に応じた工賃が支払われます。

作業内容には、軽作業(封入、袋詰め)、農作業、喫茶店運営などがあります。
毎日通所することで、生活リズムも整いやすくなります。


一般就労という選択肢

企業に就職し、障害者雇用枠で働くケースです。
高等部で職場実習やアルバイト体験を通して、就労先にそのまま採用されることもあります。

ただし、職場環境とのマッチング就職後の定着支援が不可欠です。
ハローワークや就労支援センター、ジョブコーチなどの支援を受けながら就職活動を進めます。


福祉施設の利用(生活介護など)

働くことよりも、日中の居場所や活動の場として福祉施設を利用する進路もあります。
重度の知的障害や身体障害のある方には、生活介護や日中活動支援の場が提供されます。

創作活動、軽運動、音楽療法、調理などを通して、社会とのつながりや生活リズムを保ちます。


進学という選択肢も

一部の特別支援学校では、高等部卒業後に進む「専攻科」が設置されています。
専攻科ではさらに2年間、生活訓練や就労訓練を受けることができます。

「もう少し準備が必要」「まだ自信がない」といった生徒にとって、進学はスモールステップでの社会参加につながります。


福祉型カレッジとは?

最近注目されている進路のひとつに「福祉型カレッジ」があります。
これは、知的障害のある若者が大学のような雰囲気の中で、学びと生活訓練を続ける場として設けられた教育型施設です。

専門的なカリキュラムに基づき、コミュニケーション・自己理解・社会参加のスキルを少人数で学びます。
「就労」や「通所」とは異なり、学ぶこと自体が主目的であることが特長です。

中には「○○カレッジ」と名前のついた私立の教育支援機関や、NPO法人が運営する福祉型高等教育機関もあります。
「学び続ける場が欲しい」「もう少し社会に出る準備がしたい」という希望に合った、柔軟な選択肢の一つです。


進路選びで大切なこと

  • 本人の希望を聞くこと:どんな場所が安心か、何に関心があるか。
  • 保護者の思いも大切に:通いやすさ、安全性、将来への見通し。
  • 学校と支援機関の協力:情報提供、事業所見学、実習支援など。

進路は「一度決めたら終わり」ではありません。
就職先や通所施設での生活が合わない場合、途中で変更したり、ステップアップすることも可能です。


「わが子に合った場所」を見つけるために

「この子に合う場所はあるのかな…」と不安に思う保護者の方も多いと思います。
けれど、少しずつ見学し、話を聞き、体験してみることで、だんだんと方向性が見えてきます。

焦らずに、「今できること」から一歩ずつ取り組んでいきましょう。
学校や支援機関の力を借りながら、安心して次のステージを迎えられるようサポートしていきます。