1986/10月号の書籍「北の隣人」にダンプに関する記事が記載されていたので引用します。
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ここが好き - 親しみ増す大衆の情報を
人気のテレビCM
薄暗い街角。雪混じりの風に吹かれながら厚着の人たちが長い列をなしている。毛皮帽をかぶり、いかにもソ連市民のような装いの桂文珍(落語家)らが泣き出しそうな顔で言う。「お手々もあんよもシビレンコ」「コゴエロフ」。すると女子プロレスの悪役スター・ダンプ松本が「どんとイレンコ」と叫ぶ。
この冬、テレビに登場した使い捨てカイロのCMはロシア語の響きの面白さもあって、子供たちの間でなかなかの人気。これを手がけた電通大阪支社は「スラブ系の風物は、広告の世界ではなじみが薄いが、六十一年はソ連ブームになるだろうという予感もあって企画した」と制作意図を説明する。寒くて、暗くて、並ばなければ満足に買い物もできない国といったソ連イメージが凝縮されているだけに、見方によっては反ソCMともいえるだろう。だが月刊誌「広告批評」の天野祐吉編集長は「"茶化し"の精神、大いに結構。それは大衆レベルでソ連の人たちに親しみを持たせることにつながる」と評価する。
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「日ソ国交回復30年」というサブタイトルで発売された本書籍の中に「金鳥 どんと」のことも触れられています。
当時のソ連(現在のロシア)のイメージは共産国の暗い、貧しい、寒いという悪いイメージばかりでした。(なお現在もオールドメディアの報道で、ロシアをそのように感じさせている節がある)。
そんな共産圏を題材にした「どんと」のCMは、ダンプ松本を起用して、ある意味"茶化した"ことにより、共産国を親しみやすいイメージに変えたと書かれていますが、そこまでイメージを変えたかは疑問です。実際にソ連ブームというのもなかったと思います。