1985/11/7号の雑誌「週刊ザ・プロレス」に試合のダイジェストが掲載されていましたので引用します。
参考:下記の試合です。
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10・25 八千代大会
心は早くも米国遠征10・24、米国MS・Gの"偵察"を終え帰国したクラッシュギャルズの飛鳥、千種の人気絶頂コンビは10・25、新シリーズ『サバイバル・ジャングル'85』開幕戦となった八千代大会に出場。イルマ、ブル中野組に快勝。"新たな決意"を爆発させたが、この闘志の背後には全日本女子プロ界の狙う「世界戦略」の大野望が秘められていた......。
来秋 女だけでMS・G征服の夢
「オッ!!あの頭は何だ!」人気絶頂、クラッシュギャルズの"凱旋帰国"に凄まじいばかりの紙テープが乱れ飛んだ。10・25八千代市民体育館。会場を埋めたファンの中から、期せずして起こった「?」の声。それも当然、飛鳥、長与の後頭部には幅1秒ほどの刈り込みで鮮やかなVラインが刻まれていたのだ。
飛鳥、千種の証言「そう、これビクトリーカットっていうの。今、ニューヨークで大流行中の最新型ヘアカットなの一人、100ドル(約二万一千円)出して、指折りのヘアデザイナーにやってもらったの。これから日本でもガンガンはやらせたいわ。でないと、こんなカットをした私達の立場がなくなっちゃう」
この奇抜なヘアスタイルも、クラッシュの常勝を念じての決意の表れというわけだ。さらにクラッシュが"新たな決意"を抱いて帰国したのも、すべて、今回のニューヨークに対する猛烈な"反発"がその起爆剤となっている。
飛鳥の証言もう、コンチクショー!って感じよ。来年の初登場では、地元のファンが仰天するような"クラッシュ殺法"を披露してみせるわ。アメリカンスタイルを吹っ飛ばすようなファイトで、ブーイングに返礼してみせる!
と、凄まじい決意を燃やすクラッシュだが、それも当然。クラッシュ、さらにダンプ松本ら全日本女子プロ精鋭が乗り込む3月の米国遠征には、とてつもない"世界戦略"の野望が秘められているからだ。
全日本女子プロ松永俊国常務の証言=その通りです。3月の遠征が成功したら、10月にもタイタン・スポーツ(WWFの統括会社)の全面協力を受け、MS・G史上初の女だけのビッグイベントを実現させます。
つまりは、MS・G参戦は、単なる"顔見せ興行"とは根本から異なる、全日本女子プロによる世界進出のカギを握るイベントというわけなのだ。こうなってくると、クラッシュはもとより、ダンプも、いやが上にも張り切らざるを得ない状況に突入したことになる。
この日、ダンプはジャンボ堀と一騎打ちで、クラッシュはイルマ・アギラール、ブル中野組とタッグで激突。ダンプは前シリーズ最終戦でベールを脱いだ"極悪同盟予備軍"の影武者軍団5人を従え、ジャンポ堀に竹刀を雨アラレと叩き込み、徹底的に痛めつけた末に、ラリアートを決めて12分14秒体固めで快勝。一方、クラッシュは60分3本勝負でイルマ、中野を迎撃。1本目こそ両軍リングアウトとなったが、2本目、中野に飛鳥、千種絶妙のダブルラリアートから千種が豪快なダイビングヘッドバットを直撃。帰国第1戦に快勝した。
千種の証言=もう、ギンギンに燃えてきたね。今度のシリーズ『サバイバル・ジャングル'85』もそうだけど、心はもう完全にマジソンね。その遠征を思えば思うほど、体中が熱くなってくるわ。
ニューヨークで買い求めたパンクファッションにビクトリーカット...クラッシュの心は早くも、重大な意味を秘めた来春の米国決戦に飛んでいる。
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クラッシシュがニューヨークで21000円(1ドル=210円だったのかな)払ってカットしたのが、頭にV字のハゲを作るビクトリーカットです。「流行らないと私たちの立場がなくなっちゃう」と話していますが、まったく流行りませんでした。
いや、一部のクラッシュファンでは流行ったのかもしれませんが、私は当時こんな剃りこみを入れている女性を見たことがありません。
続いて、3月の遠征が成功したらタイタン・スポーツ(WWFの統括会社)の協力を受けて女子だけのビックイベントをアメリカで開催する予定、と書かれています。
これは実現しなかったわけですが、3月のMS・Gでの興行が全日本女子プロレス側であまりメリットがないということになったのか、アメリカ側が難色を示したのか、真相はどうなんでしょうね。ジャパン女子の神取との試合にも見向きもしなかった松永兄弟なので、金にならないと判断したら即撤退かもしれません。
写真を拡大してみます。