1985/6/24 ムック「青春革命」その① ダンプとブルのインタビュー | 時系列でみる! 極悪同盟 ダンプ松本 ファンブログ

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極悪同盟(特にダンプ松本さん)のプロレスを時系列で整理します。思い入れのある雑誌処分のためブログに残して廃棄します。「テーマ別」で時系列で閲覧することができます。妄想で書くこともしばしばですが1年(+α)かけてやる予定です

1985/6/24に発売されたムック「青春革命」に極悪同盟の記事がありましたので、引用します。

 

 

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燃え尽きるまで闘いたい

 

徹底したヒールの中に隠されたガッデム・スプリットの心髄とは・・

リング上で竹刀を振り回し、 バケツを振り上げる極悪同盟の傍若無人さは観客を戦慄の淵に突き落とす。 そんな暴走ファイトに館内のボルテージが最高潮に達した時、"陰の帝王"ダンプ松本は満足そうにニヤリと笑みをこぼす。 ブル中野を引き連れたダンプ松本 にそのヒールの哲学を直撃し てみた。

 

4・6後楽園ホールでブル中野に放ったダンプの平手打ち その裏に極悪同盟の心髄が・・・ 

 

200キロコンビの相棒、クレーン・ユウが突 如引退し、その代役をブル中野が務め、嵐のよ うな女子プロフィバーの中で極悪同盟もまた 新時代を迎えた。
ブル中野の急成長ぶりは目を見張るものがあり、ダンプ松本に対する献身は100%。うがった見方をすればクレーン以上のブルファイターであると言えるかも知れない。連日四角いジャングルを血に染め、クラッシュを、大森ゆかりを・・・・・・マットに這わせ、まさに戦慄を売る台風の目だ。

 

メーン・エベントに登場するダンプ松本の姿は悪の権化と形容するより、主張を持った本物のプロレスラーと映るから不思議だ。罵声とコールが入り交り、館内のボルテージもまさにこの時、初めて最高潮に達するのであ
 

濃いメーキャップの下から放たれる相手を刺すような鋭い2条の眼光は、対戦レスラーはもちろん、館内を埋め尽くした観客全員をもすくみ上がらせてしまう程である。 極悪同盟結成2年、今をときめくクラッシュ・ギャ ルズとは全く別の意味で勢力を拡大、ますますヒートアップする極悪同盟にスポットを 当ててみた。
 

――ダンプさんは55年入門ですから今年でまる5年ですねえ。不人気の人気と言おうか、 とにかくすごい暴れっぷりですが、以前と較 べてどうですか。
 

松本 不人気なんて、言いにくい事をいきなり言いやがって... コノー、どうですかって、 何がどうなんだよ。おまえの喋り方はやたら早口で、一度に全部喋ろうとするから、ウチらの頭じゃまるっきりついていけねえんだよ
 

――えーと、ですからその・・・いわゆる一つ のですねえ、一貫したファイトスタイルと外的要因、つまり女子プロ人気の急上昇という現象の中で、精神的な葛藤、つまりメンタル的なディテールの部分でどのような変化が出 てきたかという事なんですがね...... 

 

松本 最初からそう言えばいいんだよ。やっ ぱり以前はやる気がなかったんだよな、今考えれば・・・・・・。何をやるにしても以前とは較べものにならないな。ウチらの試合を見れば一目瞭然だと思うよ。
 

――中野さんも極悪同盟に入ってから、すご い変身ぶりでひかり輝いていますけど、やっぱり手応え十分ですか。
 

中野 自分なんか、ダンプさんに較べればまだまだです。ただ毎日の試合に無我夢中で全力でぶつかっていってるだけです。
 

あまりにも偉大なダンプ松本の横にいるせいか、終始目を伏せ、下を向いているブル中野の姿が印象的だ。
 

――以前に確か後楽園ホールでの試合だった と思うんですが、 ブル中野村小松美加戦で、勝ってレフェリーと一緒に手を上げている中 野さんのところに寄ってきて、ダンプさんが平手打ちをバシッ!と一発喰らわせ、引き上げて行ったんですが、あれはどうしてだっ たんですか。

松本 自分が言ったように試合をしてねえか らだよ。ただ勝てばいいってもんじゃないんだよ。勝つ事は最大の目標だ、極悪同盟は勝つためには手段を選ばない。そうやって中野 には教えてきたよ。けれどその手段の中に、 極悪流ってもんがあるんだ。 あの平手打ちの理由が中野に分かれば、まんざらでもないけど・・・。

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ファンに嫌われれば嫌われるほど極悪同盟の満足感は湧いてくるってもんだ!
 

――いきなりツカツカ、バシッ、ツカツカだから本人はもちろんファンは全員あっけにとられ、そのバシッ! がまたすごい音で・・・・・・ バシッ!の後中野さんは涙ぐんでいたけど、 やっぱクラッシュの後ろ蹴りより痛かったですか。

 

中野 別に痛くって涙が出たんじゃないんです。自分の未熟さ、下手さにあきれたんです。それもダンプさんに殴られるまでいい気になって手を上げ、勝ち誇っていたんだと思うと、 自然に涙が出てきちゃって・・・ 

 

――ダンプさんが水泳とアーチェリー、中野 さんが水泳と柔道、というスポーツをやってた訳ですけど、水泳という共通点もあり、絶 妙なコンビネーションを生むのかもしれませんが、ダンプさんから見た中野さんの評価は どうですか。
 

松本 レスリングの技術面では日に日に良くなってきてはいるけど、極悪にはまだまだなりきってないよ。あと2年かかるだろうよ。 ただ中野のいいところはやる気があるってとこだな。だから気ばかり先行しちゃって体が ついていかないというのが今の現状だろうなあー。とにかく中野はこれからの有望株には問 違いないだろうよ。
 

――ところでダンプさん、いつも試合を見ていて感心させられてしまうことは、迫力、パワー、そして100キロという巨体でありながら 凄いスタミナもあると思うんですが、何か特殊なトレーニングをしているんですか? 例えばバーベル代りにダンプカーでベンチプレスとか......。

 

松本 アホか!人をゴジラかなんかと間違 えてんじゃねえのか。それとなんだよ、巨体 とは。傷ついて今夜の試合出来なくなったら おまえのせいだぞ!
 

――すみません、ついうっかり口がすべっち やって。心の内ではチャーミングで立派な体 格と言うとしたのですが、声として出た言葉 が巨体になったりして...。
 

松本 どこにでもいるんだよ、変な奴は・・・ダンプさんは風呂入る時もチェーン持ってんですかとか、凶器のバケツを抱いて寝るんですかとかわざわざ聞きに来る奴が・・・・人をなんだと思ってるんだろうな。張り倒してや りたくなるよ。
 

試合が終って控え室で思い出 そうと思っても何をやったか 全く分からない時があるんだ

 

――まあまあそんなに興奮しないで下さい! ボンサミットもまあまあ有意義に終りましたし・・・。 それよりも、ウインド・ショッピング・・・・・・いや間違った。 夜中にふといなり寿しでも食べたくなって近くのセブンイレブンにでも買物に出かけた時なんか、東南アジア極悪同盟絶滅実行委員かなんかに、オシッコをかけられるとかそういういたずらはないですか。
 

松本 おまえやっぱりまともじゃないよ。頭が腐ってんじゃないのか! 中にはそんなファンもいるけど顔を見て殆んどのファンが逃 げていっちゃうし、嫌われれば嫌われるほど、 極悪としての自分に誇りが出てくるってもん だよ。
 

――結局クレーン・ユウが引退してしまって今後は中野さんがパートナーになりタッグを組んでいくんですか。
 

松本 それは自分にはなんとも言えないよ。中野しだいだからね。
 

――中野さんの目標としてはいつ頃からタッグパートナーとして一緒にやっていければと 思っていますか。
 

中野 別にいつって事はないです。ダンプさ んの目にかなえば明日にでもタッグを組みた いんです。結局それが極悪同盟に入って1人前と認められた事にもなりますし、とにかく今は自分自身を技術的にも精神的にも磨くと いう事以外は考えられません。
 

――いろんなレスラーがいる中でダンプさん にとって、一番やりやすい相手とやりにくい 相手はどんなレスラーですか。
 

松本 一番やりやすいレスラーはやっぱりクラッシュ・ギャルズだよ。あいつら単純だか らすぐカッカするからやりやすい。 やりにくいのは堀、大森組だな。あいつらでかいからやりにくいよ。それに仕かける技も自然と似ているから......。
 

――大森ゆかり選手と言えば、ダンプさんが フォークを突き刺してすごい壮絶な試合をやりましたね。
 

松本 さっきも言ったろう。勝つためには手段を選ばないのが極悪同盟のやり方だってね。 ただ、試合中はエキサイトし過ぎて自分でも 何をやったか試合を終えて控え室に戻って考えても分からない時があるんだよ。あの時もそうだよ。後でどんな技を出して、どんな反則をやったのかも全然覚えていないんだから・・・
 

――一時的とは言え、それ程プロレスに熱中できる選手というのは、男のプロレスラーを含めてもごく僅かだと思いますし、それだけ自分を燃え上がらせるコツみたいなもんはあるんですか。
 

松本 別にコツって呼べる程のものなんて何 んにもないよ。ただ入門した時からヒールで、 そのヒールさが中途半端でいつまでたっても 巡業にも連れてって貰えなかった。 2年前極悪同盟を結成し、ダンプ松本となった時から悪役に徹しきれるようになり、一貫したファイトを続けているうちに自然とそうなったん だと思うよ。
 

――別にゴマをする訳でもなんでもないです けど、さっきもファンが集まって話していたんですが、係の人に試合のスケジュールを聞くのは、クラッシュとダンプさんの試合だけだってことですけど、毎試合、何が飛び出すか予想もつかないという緊張感があると思うんです。今まで女子プロ界にいた多くのヒールが出来なかった事をダンプさんがやっているというその徹底さが一つの主張を持ったレ スラーとなるのではないでしょうか。
 

松本 背中がこそばゆくなるからやめろ! 自分は会社のためにやっているのでもなく、 ファンのためにやっているんでもない。 主張? そう思いたい奴はそう思えばいいさ。 松本香という自分のためにやっているだけだからな。
 

――中野さんの今の目標はなんですか。 

 

中野 スタミナにしてもまだまだだし、技なんか、思っている半分も出せない。その2つを克服したいと思っているんですが、その2つが克服出来た時に初めてダンプさんとタッグを組める日と心に決めているんです。 

 

―松本さんの今の目標をよろしければ聞か せていただきたいのですが......。
 

松本 おまえ人をおちょくっているのか、いちいち気にさわる喋り方するな・・・・・・目標はだな、クラッシュの持っているベルトを中野と2人でこの腰に巻く事だ。 それと打倒デビルだ!
 

――中野さんのように極悪に入って急成長を遂げた例をみても分かるように、ヒールが性に合っているレスラーは沢山いると思います し、15名の新人にも極悪同盟に入りたいとい 人がいるんじゃないですか。
 

松本 たまにはいい質問もするじゃないか! 斉藤真知子もそうだけど、入りたい入りたいという者は次から次といるんだけど、自分はそんなのほっとく質だから、いちいち相手なんかしてられねえよ。やりたい奴は勝手にやればいいし、はいこれが極悪のやり方ですよって教えられる訳ないだろう。それに人に教えるような器じゃないからな(笑)
 

―最後の質問ですが、25歳というのが女子プロレスラーの停年と聞いていますが、その規約でいけばダンプさんはあと1年になってしまいますが、何歳ぐらいまでファイトしたいと思ってますか。
 

松本 この体が燃え尽きるまでだ!
 

そう言い残すとあと2試合でメーンエベン トである自分の試合のため、中野選手に「いくぞ!」と檄を飛ばし控え室へ消え去った。
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1985/4/6の後楽園ホールのブル中野vs小松美加の試合で、試合後にダンプがブルをリング上で殴ったという話があります。4/6の試合がYoutubeにありましたが、小倉由美vs小松美加の試合でしたので、記者は別の日の試合と間違えているようです。

いつの試合かは不明です。

→1985/1/6の後楽園ホールの試合だとコメントでいただきました。

 

ブルはダンプとのインタビューで終始うつむき加減、やはりダンプというボスの前では、まだ快活には喋られないようです。おそらくこのインタビューが4月下旬から5月上旬でしょう。この頃はクレーンが抜けていきなりNo.2に抜擢されたばかりで、ブルとしては仕方ないでしょう。

 

写真を拡大してみます。1枚目のダンプがメイクをしているのに意外と素な感じで撮影されています。

 

 

 

 

 

 

 

また試合の記憶が飛ぶ点については、ダンプが自著に書かれていますので引用させてもらいます。

 

●「おかあちゃん!」(ダンプ松本著)より

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白い世界
わたしはこれまでに二度ほど記憶喪失になったことがある。
試合が終わり、リングから引き揚げてくる。

そして、移動のバスに乗り込む。

"あれ、今日わたし試合やったのかしら?"

気が付くとわたしはその日、試合をやったことから覚えていなかったりする。
「今日、わたし誰と試合やったの?」
「誰が試合に勝ったの?」
バスの中で、かたっぱしからわたしは仲間に聞いてまわってる......。
記憶喪失なんじゃない?
誰かがそう言って、バスの中が爆笑に包まれる。
「なんだ、そうか、記憶喪失だったんだ!」
記憶喪失なんて、この世界では決してめずらしいことではない。
リングに上がったら、誰もが一度は記憶喪失を体験する。
記憶喪失なんて日常茶飯事だ。
毎試合、誰かが記憶喪失にかかる。
この記憶喪失、どうやら先輩の話によると、「後頭部をやられる」となるらしい。
後頭部をやられると頭の中がまっ白になる。頭の中がまっ白になって記憶喪失になる。
記憶喪失になってありがたいのは、まったくといっていいほど試合の疲れを感じないことだ。たとえば、三十分の試合をやっても、「わたし試合をやったっけ?」ということになる。 記憶が完全に喪失しているから、当然疲れといったものも感じない。
「記憶喪失は楽しいねえ」
とか何とか、無邪気にバスの中で笑い合ったものだ。

あの頃の仲間は今どこにいるのだろう。
思い出しても、何ともせつない光景だ。

 

女子プロレスでは、失神もまた、記憶喪失と並んで多かった。
極悪同盟となって脚光を浴びていた頃、毎日のようにわたしは相手を失神させていた。 失神した相手が、倒れたまま動けなくなって病院へ運ばれる。
そんな時、わたしはなす術もなく、一人で激しく興奮しながら、担架にのせられて運ばれ相手をリングの上で見送っていた(プロとしてリングに上がっている以上、そうする以外にわたしにどんな方法があったというのだろう。明日は我が身のリングの上だ)。

 

観客の罵声が飛ぶ。ビンが空缶が投げつけられる。汚い言葉でリングの上のわたしをやじる。
いくら対戦相手とは言っても、そりゃあ、同じ釜のメシを食う仲間である......。 しかし、いったんリングへ上がったら、そこは仲間も何もない非情の世界なのだ。 しかも、常に相手の方がやられるばかりはない。わたしだっていつかは同じようにやられる運命なのだ。それは明日かもしれない。
ただ、そこにはあらかじめ決められた役まわりというものがある。

 

わたしはベビーフェースではない。
悪役で嫌われ者、極悪同盟で名高いあのダンプ松本なのだ。
だから、ベビーフェースをやっつける。めちゃめちゃになるまで。だが、ベビーフェースをやっつけるばかりではおもしろくない。汚いやり方で相手をぶちのめす。それらは本当は演出なのだが、見ている観客の側は応援するベビーフェースに感情移入して、"ダンプはひどい。 なんてひどいやつなんだ!"とエキサイトする。

 

ぶちのめした相手が担架で運ばれてゆく。
決して表情には見せないが(非情を気どってはいるが)、けばけばしく化粧した仮面の下で、"だいじょうぶだろうな?"と不安がるもう一人のわたし、松本香がいる。
あの時代、リングの上で、わたしに激しくぶちのめされて、今でもわたしのことをうらんでる人もいるだろうね。だけど、逃げればそれでおしまいの世界。 逃げ出すこともできず、ひたすら闘うしかなかった。 悪役もベビーフェースも、同じリングの上で、互いの傷をなめ合うようにして闘い続けるしかなかった・・・。

記憶喪失にもかかり、失神もした。それはみんな同じだった。
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