1985/4/15発刊の「女子プロレス スペシャル 好きだぜコノヤローッ!!」にザ・ベートーベンのインタビューがありますので、記載しておきます。
こちらの記事、以前に下記に記載しましたが、長いので単体の記事としました。
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覆面マネージャのナゾに迫る 独占初インタビュー
その夜、誰もが不快な嫌悪感を持たずにはいられな かった。
「あの 男、あの男がすべてをぶち 壊したんだ・・・」
昭和60年2月25日、東京大田区体育 館。この日、30年を誇る女子プロレスの輝かしい歴史の中に、一つの汚点を残す事件が起こったのだ。極悪同盟のダンプ松本&クレーン・ユウが、WWWAタッグ王座を強奪。 そう、クラッシュ・ギャルズにとって、 屈辱的な闘いを余儀なくされたのだった。クラッシュ王座転落!この直接原因が、ダンプの狂気した凶器攻撃からの、ラリアート3連発ならば、間接的原因はあの覆面マネージャーの、主審ジミー加山"ら致" に他ならない。
まさに、悪の共犯・・・いや、主犯はこの覆面マネージャーかもしれない。
昨年3月、突如として全日本女子プロレスのマットに、ダンプ&ユウのマネージャとして登場したこの男、極悪同盟として反旗を翻したダンプとユウを巧みにコントロール。 巨大なる極悪マシンに変身させ、 女子プロ界に春の嵐を巻き起こす仕掛人となったのであった。
その後、試合中にマネージャーは右肩の鎖骨を負傷。忽然と姿を消し、今回また何の前ぶれもなく出現。謎のベールに包まれたこの覆面マネージャーの正体は何者か!!! 何を目的として、出没するのだろうか!!
いっさいノーコメントで、押し通してきた覆面マネージャーに鋭いメスを入れる時がやって来たのである。だが、それを聞き出すには既存の記者やインタビュアーでは、相手にしてもらえないのはわかっている。
そうだ! 内部、それも関係者にお願いするしかないのだ。となると・・・レフリーや リングアナじゃ顔も見たくないだろうし、 もうこの人をおいていない。
全日本女子プロレスの広報担当で、 クラッシュ・ギャルズの芸能マネージャーである小川宏氏(どこかで聞いたことのあるよくある名前)に登場してもらうっきゃない。 覆面マネージャーvs芸能マネージャー・・・ の直接原因が、 これで世紀の番外マッチにふさわしいのだ。
(以下、小川氏のコメントで構成)
えエっ! 覆面マネージャーにインタビューしてくれって。私は、あの男と一緒にされるのがたまらなく嫌なんですよ。 なぜかって? 私はクラッシュ・ギャルズの味方、 なんたって芸能マネージャーだもんね。
だいたい、広報担当の私の立場をさしおいて、勝手に極悪同盟のマネージャーを名乗って売り出しているのだから、許しがたいことですよ。
でもまあ、フジテレビ出版さんの頼みだから、レッツトライ! してみるとしますか。 彼をつかまえるのは、会場の控室しかない。何たって、会場入りする姿を一度も見たことないのだから、透明人間のような男だよ。
(ある体育館の控室で、覆面マネージャー を発見。中に入っていこうとすると・・・)
ダンプ松本 『オイ、勝手に控室に入るじゃないよ! いくら会社の関係者とはいえ、ここは私たちだけの世界なんだ。着替えでも覗いていたんじゃないのか。』
小川『バカなことをいうな。君たちの裸なんて見てくれと言われても、絶対に見るわけないよ』
ダンプ『ナニオーッ、おい、中野。コイツをつまみ出せ』
ブル中野『ハ、ハイ!!』
小川『まぁまぁそう激怒しないで。今日は奥にいる覆面マネージャに話が聞きたいんだよ』
覆面マネージャ『ヘイ、ボーイ。何か用かな』
小川『実はある企画で、インタビューにきたんですけど』
覆面マネージャ『インタビュー? OKだ。極悪同盟のマネージャだから彼女らを売り込むためには何でも話してやるぞ。私から聞くぞ。日本のマスコミはなぜ極悪同盟が"一番"だという事実を書かないのだ? 平等にパブリシティしないのだ?』
小川『それはあなた方のやり方に問題があるからでしょう』
覆面マネージャ『問題? 我々は常にベストに闘っている。問題があるとすれば君たちじゃないかな。例えばレラスー以外で試合に介入する人間が多すぎる』
小川『そういうあなたが一番目立ちたがり屋じゃないですか』
覆面マネージャ『オイ、お前は何年この世界で仕事をしているんだ』
小川『8年目に入りますけど‥』
覆面マネージャ『この世界は長ければいいってものじゃない。いい例がコミッショナーのウエダだ。"熱血コミッショナー"とか、理解に苦しむ代名詞をつけられているが、自分の立場を深く考えたほうがいい。レフェリーのマツナガ・トシクニやアベも一緒だ。アベは一時、ダンプたちよりも自分を売りたいところがあったので、2/5の有田大会で一回制裁してやったんだ。あれ以来、ちっとはマシになったようだな。その点、ジミー加山はいい。私の策略にまんまとはまる、おりこうさんだからな』
小川『この際ハッキリ言わせてもらうけど、あなたたちの闘いにはポリシーがない』
覆面マネージャ『ポリシー? プロレスってのはな、理屈じゃないんだ。強い者が勝ってお客がエキサイトする。これ以上の論理があるというのか』
小川『私はあなたが試合中に乱入したりすることが論理と思えないのだが』
覆面マネージャ『よく聞け、私は女子プロ界の正常化のために立ち上がった。この腐りきった現状をぶっ壊さなければならない。その役目は極悪同盟にやらせる。ベビードール(クラッシュギャルズのこと)に伝えろ。本当の意味で、女子プロ界の流れを変えるのは極悪同盟だとな。わかったら、とっとと消え失せろ!』
最後はまったく一方的な宣言であった。彼の真意はその素顔同様にいまだ謎としか答えられない。次回は、もっとスペースをもらい、覆面マネージャーの真実に迫まり、正体を暴きたい。打倒! 覆面マネージャー。
―編集部より
イヤイヤ、まったくモノスゴイ人ですネ 覆面さんは! やっぱり、我々編集部のか弱い乙女たちでは、ゼッタイできないインタビューでした。小川宏さんは、私達のツオーイ味方、もうほとんど愛しちゃってるほどですわ!!! ほんとにアリガトウゴザイマシタ。で、次回もヨロシ クね!
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最後の方はもう屁理屈にしか聞こえませんが、面白いインタビューです。
いま振り返ると、ロッシー小川が一人で自作自演しているだけの記事です。しかし当時はロッシー小川という人を知りませんでしたし、クラッシュのミーハーファンは、ザ・ベートーベンや阿部四郎に「帰れ」コールを必死で叫んでいました。
私はそれが滑稽だとは思いません。面白かったのです。本当か本当ではないのか、よく分からないグレーゾーンが、とてつもなく楽しいです。
もちろん真面目に考えれば、メキシコからやってきたのに、なぜ「ルートヴィヒ・ベートーベン」という西洋の名前?? ですし、日本語が流暢なのもおかしいし、どうみても胡散臭いマネーシャです。
しかしプロレスはうさん臭さこそ、面白い、実は真実など、どうでもいいのかなと最近は思います。だって真実かどうかなんて分からないですしね。だからといって、プロレスの裏目読みを否定することもありません。むしろ、裏目読みも重要です。「実はあのときは裏でこうしていた!!」という、これも100%確信が持てない情報で楽しむことも面白いです。
プロレスで楽しむというのは、良い意味でバカにならないといけません。ロック・コンサートと一緒です。厳しい現実を逃避をして、普段クソ真面目に仕事をしている自分の仮面を外し、本来の野生的な自分を、まるで中毒にかかったように解放して、レスラーとともに夢を追う場所なんじゃないかと思います。
ところでザ・ベートーベンですが、もう少し補足しますと、ロッシー小川の本によると、「クラッシュを売り出すために覆面マネージャになってみないか」と松永社長からの提案で役どころとなり、日当5000円でやっていたようです。ロッシーのメインはクラッシュギャルズのマネージャーであり、特に長与千種をプロデュースされた方です。そのライバルとしての極悪同盟の初期を牽引したロッシー小川。
プロレス界をいまだ引っ張っていますが、最近の極悪祭りに登場する「ザ・ベートーベン」の中身がロッシー小川かどうかも興味深いところです。(^^;