1985/2/25 山崎五紀vsブル中野 山崎五紀ベルト返上事件 その② | 時系列でみる! 極悪同盟 ダンプ松本 ファンブログ

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極悪同盟(特にダンプ松本さん)のプロレスを時系列で整理します。思い入れのある雑誌処分のためブログに残して廃棄します。「テーマ別」で時系列で閲覧することができます。妄想で書くこともしばしばですが1年(+α)かけてやる予定です

その①の続きです。

 

こちらは山崎照朝著の「女子プロレス物語」から見ていきます。

 

 

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「ブルは″ブルドッグ″と″ブルドーザ"のブル。半刈リヘアはまだ半人前だから」と中野。
まだ18歳の中野にとって勇気がいる思い切ったイメチェンだった。前年(59年)のいまごろは「美しくなりたい」とほとんど何も食べず、薬まで飲んで減量に努めていただけに、この変身はフロント陣のだれもが驚かされた。

 

「どうやらこれで中野も本物になったね」。一時はあまりのやせように引退まで宣告した国松常務は、こう言って安ドの笑みさえ見せた。面白いもので、この大胆な変身が"ノミの心臓″と陰口をたたかれていた中野のリングファイトを一変させた。
「この世界は食うか、食われるか。迷いがふっ切れたんです」。半刈り部分に″御意見無用″の書き込みもすっかり板に付いた中野。それはリングに勝負をかける中野の強烈な意思表示でもあったのだ。
 

そんな中野が変身して、極悪同盟の猛威に乗って力をつけ出して1カ月目の60年2月25日。日本列島を南下していた全日本女子プロレスの一行は、再び戦場を関東圏に戻し、東京・大田区体育館でビッグマッチを行った。それは極悪との抗争の中でWWWA世界タッグ王座に君臨するクラッシュがダンプ、ユウの挑戦を受けるタイトルマッチであった。
クラッシュが防衛(三度目)すればいいが、ダンプ組が勝てばマットは極悪に主導権を奪われ、″悪の時代″が到来する。まさに天下分け目の大勝負であった。

 

「どんな手段を用いてもクラッシュを倒すぜ!」。新春の開幕戦から、ただこの日の来るのを待ちこがれていたダンプは報道陣を完全にシャットアウトして控室に閉じこもった。「なにかいつものムードと違うね」と、控室の通路にたむろする報道陣の声もなんとなく重苦しい。そんな張り詰めた空気を破るベビーフェイス×極悪の対決がセミファイナルで行われた。ブル中野と改名した後、メキメキと力をつけた中野が初めてつかんだビッグチャンス、全日本王者の山崎五紀への挑戦だった。
 

「いまは先輩と当たっても怖くない。ダンプさんに認めてもらうためにもベルトを奪う」と宣言。″ドン″ダンプから秘策を授かってリングに立った。そして、ダンプが認める極悪ファイトで王者を苦しめ、極悪No.3の地位を不動にするのである。
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「勝負は勝たなきゃ意味がない。勝ってこい」

60年2月25日、東京・大田区体育館でのセミファイナル。全日本王座の山崎に挑むブル中野にボスのダンプはゲキを飛ばし、中野へ悪の作戦を授けた。それは同盟のメンバーであるユウや阿部レフェリーの手をかりて場外乱闘で山崎のスタミナを奪うというダンプらしいダーティー戦法だった。
 

開始のゴングが鳴ると、中野より先に、セコンドについたユウらが王者山崎に襲いかかった。
そしてリング下へ連れ出すと、山崎を客席目がけて投げ捨て、放送席の机にたたきつける。山崎が体力を消耗しフラフラになったところで、リング上で待ち受ける中野へ手渡すという悪ラツさだった。


「こいつらをリングから遠ざけろ!」。山崎の絶叫も極悪メンバーには馬の耳に念仏、リングの周囲をウロチョロして山崎を盛んに威嚇するのだ。
そんな極悪の包囲網の中で、何度もフォールを狙う王者だが、そのたびにユウが乱入してカウント2の繰り返し。
この戦いは結局、反則勝ちで山崎が18分44秒、三度目の防衛に成功するが、自分のレスリングが見せられず、ズタズタにさせられた山崎は「こんなベルトを締めてもうれしくない」と、その場でベルトを返上したそして、同期の立野と組んでクラッシュのWWWA世界タッグ王座一本に絞つて戦っていくことを宣言したのである。
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「よし、このまま一気にベルト取りだ!」。中野が極悪らしい戦いをやり、控室で満足の笑みを浮かべたダンプはメーンイベントのクラッシュ戦へ闘志をむき出した。

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この試合、判定はフォール勝ちではなく、阿部四郎がブルの反則負けを取ったようです。

極悪側は試合をめちゃくちゃにする作戦なんでしょう。もちろん勝てばよし、負けたところで山崎がベルトを返上するくらいのボルテージマックスになる試合が出来ればよいという感じでしょうか。

 

あまり邪推するのは好きではありませんが、山崎は今後はタッグで行く方針が決まっていて、勝ってもベルトを返上する予定だったのかもしれませんね。それならば、ダンプ側も「どうせ返上するなら」ということで、ブルのNo.3を確固たるものにするために、試合をめちゃくちゃにしてお客様をエキサイトさせたのかもしれません。

 

(2023/1/24 追記)

1985/3/2の週刊ゴングにも記事がありましたので追加しておきます。

 

 

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2月25日、大田区体育館では全日本 選手権試合も行なわれた。 チャンピオ ンの山崎五紀に挑戦するのは極悪同盟 入りして実力が上がってきたブル中野 だ。中野は全日本ジュニア・チャンピ オンとしてタイトル戦を十分に経験しているので度胸も満点。
立ち上がりから中野はラフ戦法に出る。噛みつきから始まり、髪 の毛を引っ張ったりひっかいたり の猛攻。場外に出ると極悪同盟の仲間も手助けに入る...。

 

チャンピオンの山崎は実力ではかなり上だが、相手が2人も3人もいては たまらない。しかし、そこはガッツの ある山崎、チャンスと見るやドロップキックの連発。最後はコーナーに駆け上がり、ボディアタックに見せかけての回転エビ固めで勝利。しかし、山崎 はタイトルをその場で返上した。
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