1984/4/4 綾瀬体育館 悪徳レフリー阿部四郎登場「え、凶器? そんなものは見えませ~ん」 | 時系列でみる! 極悪同盟 ダンプ松本 ファンブログ

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極悪同盟(特にダンプ松本さん)のプロレスを時系列で整理します。思い入れのある雑誌処分のためブログに残して廃棄します。「テーマ別」で時系列で閲覧することができます。妄想で書くこともしばしばですが1年(+α)かけてやる予定です

(2023/2/20 画像と説明文を追加、修正)

AJWW 1984/4/4 綾瀬体育館(神奈川) 悪徳レフリー阿部四郎「凶器!? そんなのものは見えませ~ん」

 

 

(↓AI でフルハイビジョンに変換した動画です)

 

この試合までの背景

デビル軍団解散により、ダンプ松本とマスクド・ユウはデビル雅美から解放されたかのように、凶器での無法攻撃を開始した。4/1にはマスクをかぶてっいたユウが、クラッシュ・ギャルズによって覆面を剥ぎ取られ、この試合からクレーン・ユウとして再出発。さらに3/17には謎の覆面マネージャであるザ・ベートーベンも参加し、ますます全日本女子プロレスの中で、孤立して悪の限りを尽くすのだった。そんな中、さらにもう1名、悪に染まる恐ろしいレフェリーが現れる。

 

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今回は1984/4/4に行われたジャガー横田、立野記代vsダンプ、クレーンのメガトンコンビの対戦を見ていこうかと思います。この頃にはメガトンコンビの会社側のプッシュもあってか、メインイベントにたびたび登場するようになります。俄然ダンプのやる気も出てきた頃でしょう。

また、クレーンも、この試合からリングネームを「マスクド・ユウ」から「クレーン・ユウ」に変更しています。

 

さて、阿部四郎といえばいうまでもなく、悪徳レフェリーとして有名です。

1983年くらいからデビル軍団への贔屓レフェリーとして登場し、デビル軍団解散後、ダンプ・ユウのヒールコンビに肩入れしていくようになります。実はこの試合の前にも、ヒールに肩入れした行為は再三行っていますが、そこまでは酷くはありません。

この頃になると、デビル軍団を離れて露骨にダンプ、ユウ組に肩入れをしていきます。この頃はまだカワイイもんですが、その後極悪レフェリーぶりはエスカレートし、どんどんと嫌われる存在になっていきます。

 

そもそも阿部四郎とは何者なのか、少し長くなりますが当時の雑誌から引用してみたいと思います。

 

プロレス悪役列伝より--------------------------------------------

クラッシュギャルズと極悪同盟との抗争が盛り上がる中、極悪同盟寄りのレフェリングで会場を、テレビの前のお茶の間をヒートさせていたのが阿部四郎であった。もちろん、あまりに露骨な阿部の依怙贔屓は興行場の味付けである。阿部はあからさまにヒール側についた日本人初のレフェリーであった。海外で調べたところ、阿部以前にあからさまにヒールについた例を発見できなかった。

そもそも阿部は元々松永全女から興行を買うプロモーターだった。「阿部さんね、ご実家が旅回りの大衆演劇一座だったんです」 松永高司から伺った。旅回りの大衆演劇といえば、のけぞりたくなるほどの勧善懲悪撃、単純な台本だった。客席はおよそ「演劇論」には縁がなさそうなお婆さんばかり、しかしとても楽しんでいた。その婆さんから年齢を50歳引いて、女子中高生にするとそのまま昭和の全女である。予備知識がない観客に向けて、単純なシナリオで沸かす。そんな状況に阿部四郎は生まれながらにしてハマるのであろう。

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つまり阿部四郎は興行師でありながら、プロレスを盛り上げるために、勧善懲悪モノのストーリーを作った一人ということになります。またこれがハマってて面白かったんですけどね。

興行師ということは、つまり興行を買い取って売りさばく運営者です。これはあくまでも私の予想でしかないが、ダンプ松本像を作り上げ、クラッシュに対抗する組織を作らせたのはダンプ自身と会社ですが、パフォーマンスの面で最も先進的だったのは阿部四郎だと思います。ダンプと同じくらいのアイデアマンで、ダンプとともに極悪時代を作った先駆者だと思います。

 

そのほか、阿部四郎が自身を語るインタビューがあります。

 

プロレス取調室より--------------------------------------------
聞き手「阿部さんがこの業界に入ったのはいつからですか?」

阿部「女子プロレスに関しては小畑千代っていたでしょ?あそこに行ったのが最初。12チャンネルでやってたところで、レフェリーやるようになって」
聞き手「後に国際プロレスに吸収される日本女子プロレスですね」
阿部「そう、そこが消えたから、松永さんとこに拾ってもらって。そっからは興行やりながらレフェリーもやってたよ」
聞き手「そのときにプロレスの仕組みってのは教わったんですか?」
阿部「いや、俺は興行師だったからね。だいたい知っていたんで『興行だけじゃなくてレフェリーもやってみたい』と思ってやった。興行師やりながらレフェリーは好きだからやってたね」
聞き手「極悪レフェリーの色んなアイデアっていうのは誰が考えたんですか?」
阿部「いや、自分で考えたよ。ダンプとこうやってやろうって話して決めたことだから」
聞き手「ちゃんとダンプさんと一緒に考えてたんですね。クラッシュギャルズのカウントは遅く、極悪同盟のカウントは速くとか(笑)」
阿部「色々とやったけどね。コミッショナーが分かってないから、やりづらいんだよ」
聞き手「コミッショナーって全女の植田信治コミッショナーですか?」
阿部「そう。あの人、俺が極悪びいきのレフェリングとかすると本気で怒るんだよな」
聞き手「それって、コミッショナーがプロレスの仕組みを知らずに、本気で怒ってたってことですか?」
阿部「知らないんだよ」
聞き手「だから厳格に一か月の出場停止とか喰らったんですよね?(笑)」
阿部「あれは2か月。『あんなレフェリー辞めさせろ』とか本気で怒ってさ。しまいには『阿部四郎は罰金100万円』とか言って、一度罰金払わされたことがあるから。レフェリーのギャラは貰えないのに、罰金取られるってわけがわからねぇ~(笑)」
聞き手「植田コミッショナーはデイリー・スポーツからの出向だったから、色々知らないことがあったんですかね(笑)」
阿部「知らなさすぎでしょ(笑)」
聞き手「じゃあ志生野アナウンサーさんはどうだったんですかね?」
阿部「志生野さんは分かっているよ。でもコミッショナーは分かっていない。一度俺が極悪びいきのレフェリングしてたら、場外で植田さんが腰かけで殴りかかってきたことがあったからね」
聞き手「阿部さんが悪役レフェリーを始めたきっかけってなんだったんですか?」
阿部「ああいうことやると、お客さんが沸くじゃん。足引っ張ったり、ロープブレイクしてもポーンって足を蹴ったり。だから面白くなるようにやったんだけどね」
聞き手「今見ても阿部さんは役者なんだよね。ホントに。どんなにクラッシュが怒っても知らんぷりだし、クラッシュに蹴られたりしながらも「うるせぇ」って言って返したり」
阿部「あれやると、本気で怒ってね。だから当時、ある人から貰ったベンツに乗ってたんだけど、100円玉でギーッて傷つけられたもんな」
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このほか他のプロレス雑誌にも、阿部四郎については、もうちょっと踏み込んだことも書いているのですが、それは次回に記載しようかと思います。

上記の阿部四郎の話を踏まえたうえで、振り返ってプロレスを見ていくと色々と再発見があり、面白いです。

さて、試合をみていきます。



 

志生野アナ「このところ、場内を無法地帯にしております、ダンプ松本、そしてマスクド・ユウ」

志生野アナ「今日はマスクド・ユウが、クレーン・ユウと名前を変えての登場であります」

志生野アナ「4/1の後楽園ホールで無残にもマスクを剥ぎ取られてしまい、クレーン・ユウと名乗っております」

志生野アナ「なんとも得体のしれぬマネージャを先頭にいたしまして、場内に姿を現して参りました」

 

 

今回も覆面マネージャのザ・ベートーベンを先頭にダンプとクレーンの入場です。

クレーンも、ダンプと同じように髪を金髪に染めて、不気味なアイシャドウと頬のメイク、チェーンを持った登場です。

本当に不気味です・・怖いです。どんどんと怖い方向に向かっていきます。

 

ユウの場合はマスクマンになった理由が「悪に徹しきれなかった」ということですから、この頃になるとマスクは不要になったのでしょう。ユウは顔がダンプよりは大人びていて、キレイ系というか、魔性の女って感じがして、よいタイミングでの顔出しだったと思います。

ダンプとユウは、この頃は双子みたいに見えますが、だんだんとダンプの自己主張が強くなり、キャラがめちゃくちゃ濃くなっていくため、キャラ分けされていったと思います。

 

女性100kgコンビというのは、それ以前の日本にはいませんでしたし、さらにグレてしまって金髪で不気味な反社会的な雰囲気というのはインパクトがありますぎます。一周回って、偽善者だらけの今の時代ならば、かえって十分に支持が得られそうです。

 

(完全にグレました!! クラッシュを血だらけにして、なにか一皮むけた感じがします)

 

おっかない顔。改名から4か月経過です。最初のほうはそこまでの緊張感がない場面もありましたが、入場のときの顔つきが明らかに違います。

 

 

こんな感じで3人そろい踏みですが、さらに今回は注目の阿部四郎もいます。

この時期、ダンプとユウには、広報のベートーベン(ロッシー小川)と、プロモーターの阿部四郎の2人が強力にバックアップしていました。試合もメインイベントに出るようになり、会社がダンプとユウのヒールを強力に売りに出そうとしていたのか、力の入れようが分かります。阿部四郎のほうは、ダンプと同じくエンターティナーの才能があったため、1984年に知名度は爆発的になっていきます。会社も嬉しい誤算だった可能性もあります。

 

相手は立野記代とジャガー横田のコンビです。どう考えても立野をイジメにかかる感じですね。

 

 

志生野アナ「氏家リングアナウンサー、懸命の選手紹介でありますが、全く応えようとしていません」

志生野アナ「そしてレフリーがまた、阿部四郎であります」

志生野アナ「まぁなんとなくあの、最悪のこれは試合になりそうな雰囲気ですね」

解説「そうですね、曰くつきの阿部レフェリー、そしてまた正体不明のマネージャーですからね」

志生野アナ「とにかく異様な雰囲気で場内が静まり返りました」

志生野アナ「当然クリーンファイトなど、望むべくもありません。もう凶器なんか堂々と持ち込んでまして」

志生野アナ「青コーナーの下をみますと、もう凶器の山ですよ」

 

解説者から見えるところに堂々と凶器が山のようにあるらしいですw

本当のスポーツならば凶器なんてあったら撤収されるはずですが、相手側も見て見ぬふり、そこがプロレスの面白いところですね。

 

1本目

 

いきなり凶器を持って登場!! 

しかもいきなりスパナを振り回す方も凄いですが、それを避けるジャガーも相当な運動神経です。スパナを避ける練習しているわけではないでしょうし、このあたりのアドリブは凄いですね。

スパナを振り回すのはとてもインパクトがあります。

 

 

志生野アナ「いま早くもスパナが渡されました」

志生野アナ「マネージャからスパナが渡された! スパナ攻撃であります」

志生野アナ「阿部四郎、阿部四郎レフリー、どうするか?」

志生野アナ「スパナ攻撃を許すのか? 早く取らないといけないんですがねぇ」

志生野アナ「全く取ろうといたしません」

三宅「植田コミッショナーもレフリーに注意を促しているんですけど」

志生野アナ「レフリー何やったんだという罵声が飛んでおります」

三宅「レフリーにはカウントを取れという声ですね」

志生野アナ「なるほど。いまカウントをしましたがちょっと遅い!!」

 

 

これはジャガーとの予定調和なのか!?

ストロングスタイルの女王、ジャガーがどこまで先輩として凶器攻撃に寛容だったのか分かりませんが、その後の猛烈な抗議をみると、けっこうマジでジャガーは怒っていた感じがしなくもないです。(^^;

 

 

ダンプも「マジで」スパナが当たったら大変でしょうし、大先輩のジャガーに「マジで」当たったら大変なことになるわけで、どのタイミングで仕掛けるか、ヒールって本当に難しい!!と思わせる場面です。

このときは、スパナを持っているということをお客様にアピールするだけで、十分だったようで、その後阿部四郎が非常にうまくカウントをとって、攻撃を控えさせています。さすがは阿部四郎です。

 

 

しかしカウント4でスパナを返して、またすぐにスパナを受け取るダンプ。お客様もあからさまな凶器攻撃にヒートアップしていきます。

というか、もうカウント5で反則というルール自体も、阿部四郎によって関係ないものにしています。この長時間の凶器攻撃こそ、後の極悪同盟の特徴となっていきます。

 

その後、ジャガーとの力比べ、そして首絞め、ヘッドバット。そしてジャガーの手の甲を踏んずけてユウと2人で攻撃していきます。

 

 

ベートーベンが阿部四郎の注意を惹きつけている間に2人で攻撃。この阿部四郎の行動は、男子プロレスではホールスタッグ(見えないフリ)という隠語で呼ばれている芸当だと思います。

初期の阿部四郎は高速カウントよりも、この「ワザとらしいみえないフリ」がとてもうまかったと思います。「本当に見えない」のではなく、「ワザとみえないフリをしている」とお客様に分からせるのがうまいんですね。

しかしまぁ、反則カウントの取り方もイライラするくらい遅いですし、スパナなんてどう見たって反則なのに完全無視するあたり、お客様の大ブーイングを引き起こしています。

 

(立野 「あの中に入るのやだなぁ・・」)

 

ジャガー相手に圧倒的優位に試合を進めるダンプ、そしてジャガーは立野にタッチ。

 

志生野アナ「ダンプ松本とクレーンユウですけど、髪の毛の染め方がなんとも嫌らしいですね」

志生野アナ「なんとも嫌らしく染めてましたね」

ゲスト「兄妹ですか? あの2人は?」

志生野アナ「これは兄妹じゃないんです。昔デビル軍団にいたんですけど、あまりにこの2人がやりたい放題にやるんで、デビルはこの2人の面倒は見られないということで解散宣言をしたんです」

 

覆面を外したユウ。凄味がある顔だち。なかなか美人です。

 

志生野アナ「ですから、この2人は女子プロレスの全選手を相手にして戦っているようなものなんですが、ひるみません。誰も味方はいないですが、ひるまないんですね。2人の団結はますます強くなっているわけであります」

 

ベートーベンもわざとらしく、試合にちょっかいを出します。

 

 

ジャガーの抗議に対してはバッチリと反則カウントを取る阿部四郎(笑) 

 

志生野アナ「凶器を持たないで戦わないということは、このところほとんどありません」

 

 

その後、場外でダンプは立野を2度も椅子に放り込み、クレーンもジャガーを椅子に流れるように綺麗にすっ飛ばします。

ダンプとクレーンの強みは、場外戦においても発揮されます。体重があるため、場外でも簡単に椅子に放り投げられることはありません。体重の軽かった初期の中野は、あっさりと放送席に投げ込まれていましたが、やはり場外戦は体重があるほうが圧倒的に有利です。

 

いくら場外戦でベビーがストレス発散をするといっても、ダンプを椅子に放り込むことは、なかなか出来ない感じです。

 

 

その後、ジャガーはヒップアタップで反撃しますが、またまたバケツによる凶器攻撃!!

志生野アナ「ついにバケツが入った~!!」

志生野アナ「WWWAチャンピオンも、バケツ攻撃で、これは大変なことになりました」

 

ペースを取り戻したダンプ組みは、またもや場外戦へ。

 

 

ザ・ベートーベンは、すぐに立野を羽交い絞めにかかります。

ザ・ベートードンはストーカーのように立野を羽交い絞めにするわ、放送席に投げつけるわの大活躍です。どうみてもロッシーが立野が好きだとしか思えません!!(笑) エゲつないです。ジャガーのところには一切近づきませんからね。

ここでジャガー、立野はリングアウトで1本目はダンプ、ユウ組の先取となりました。

 

 

ダンプ、ユウに、さらにベートーベンと阿部四郎がくっつくと、手に負えなくなってきました。なにしろ、阿部四郎はカウントは取らないですし、ザ・ベートーベンは場外では凶器を渡して、自らも無言で立野イジメにハッスルしまくりですから、この4人が組むとジャガーでもどうしようもない感じです。

 

 

2本目

 

ゴングが鳴る前から、ジャガーが阿部四郎に対して抗議を続けます。

 

 

WWWA世界チャンピオンのジャガーとしては、けっこう本気でムカついていたのかもしれません。しかし、ザ・ベートーベンが壁となって、阿部四郎をかばい続けます。

 

 

もう試合よりも、ジャガーvsベートードン&阿部の番外編のほうが面白いです(^^;

 

 

2本目はベビーフェイス側の空中戦で開始。ジャガーボディアタック、立野の2段ロープからのラリアート、ネットブリーカー、そしてジャガーのトップロープからのミサイルキックに、人間風車であっという間にユウから2本目を取ります。

 

志生野アナ「ジャガー、あざやか!!」

志生野アナ「立野のラリアート、やりますねぇ」

志生野アナ「立野記代、がんばれ」

 

 

2本目はだいたいこのパターンで、ユウが取られますね。

 

 

3本目

 

 

ついにチェーンが登場。ジャガーをコーナーに追い詰めて、ローブ2段目に乗った状態でのユウのチェーンを使っての絞首刑です。

 

志生野アナ「ジャガー、これはあぶなーい!!」

志生野アナ「まさにこれは絞首刑であります」

志生野アナ「さぁ、阿部四郎レフリー、これをどう裁きますか」

志生野アナ「カウントだけでは物足りないですねぇ」

志生野アナ「いま立野記代出てまいりました。必死の抗議であります」

 

(チェーンよりも、立野の抗議に対して反則をとる阿部四郎(笑))

 

 

志生野アナ「コミッショナーもちょっとマイクを握りかけています」

さらに反則攻撃は続き、栓抜き攻撃。

 

 

立野に対して栓抜きで喉刺し。


志生野アナ「相変わらず凶器を持っています!!」

志生野アナ「そしていま阿部四郎が凶器を確かめにいきました」

志生野アナ「しかし阿部四郎は分からない、分かりません、分からないはずがない!!

ゲスト「アイツ、グルなのよ」

志生野アナ「ねぇ、完全にグルなんですよ、これね」

志生野アナ「阿部四郎レフリーがなんともいえず愚鈍なんですよねぇ」

 

ベビーフェイス側も必死に凶器を奪おうとしますが、ダンプのほうが力があるので奪えません(笑) こういうところは、体重を増やして体づくりをしたダンプ、ユウが有利になってきます。凶器を相手に取らせない、という体づくり(?)も、反則技ではかなり役に立っています。

 

 

今度はクレーンが手にチェーンをぐるぐると巻いて、ジャガーの胸板に一撃。

 

この頃のダンプとユウの反則波状攻撃は最高ですね(笑)

 

まだダンプが反則主体でユウは受け身、みたいな役割分担がなく、2人が2人とも好き勝手に凶器ばかりやっているので、もう止まることがありません。

このような初期であれこれ試行しているときは、カオス状態になって面白いことは多々あります。時間が経過すると様式美のようになってしまって、いわゆる「お決まり」のパターンになるのですが、この頃はなにがなんだか分からないけど、反則だけしまくる、という無法ぶりが良かったのではないかと思います。

 

さらに、阿部四郎が入ると、ダンプとクレーンがさらに光ります!! 凶器がなぜか見えない阿部四郎のパフォーマンスも最高です。

 

志生野アナ「試合は騒然としております。実際には試合にならないんですけどね」

志生野アナ「またも、またもであります。鎖攻撃、手に巻いて」

志生野アナ「これはもう完全にレフェリーに見えている!!」

志生野アナ「なんとかならないもんでしょうか」

ゲスト「見えているのに何で!?」

志生野アナ「こういった凶器攻撃を許すのか~?」

 

 

ダンプ「コォンノヤロゥ~」

志生野アナ「コノヤロウというダンプ松本」

志生野アナ「ダンプ松本のラリアートがさく裂いたします!! カウント3入ってしまいました」

 

 

あっという間にダンプ、ユウ組の勝利。

これはもう、プロレスを超えた悪行のプロレス!!!

 

(ダンプとユウ「バンザーイ!!」)

 

リングにモノが投げ込まれる中、阿部四郎はというと・・。

 

 

終わったら、とっとと場外のさらに向こうまで逃げていました(笑)

もうこの人の役者っぷりは一流すぎます!! 

 

しかし、ここからがこの試合の凄いところ!

 

 

志生野アナ「阿部四郎は控室に引き上げましたよ」

志生野アナ「ご覧ください、阿部四郎が出て参りました」

志生野アナ「阿部四郎レフェリーがいま若い衆に担がれてリング上に登場であります」

志生野アナ「ジャガー横田、顔面真っ赤、怒っている!!」

 

その後、若い衆が阿部四郎を捕まえて、罪人のようにリング上へ引っ張り上げます。

まるで民衆の罪を背負って十字架を背負わされるキリストのようです。可哀そうです。

そしてジャガーが平手打ち。さらに逃げる阿部四郎に対してジャガーは走って追いかける。逃走ゲームじゃないんだから、ジャガーも怒りを通り越してしまったのか、ギャグとしか思えない追っかけっこですw

 


面白すぎます。阿部四郎vsジャガー横田(笑)
 

これはジャガーは真剣だったのか、役どころとしてやっていたのか、どちらなのか分からないですが、マジな感じがします。(^^;

このあと、ジャガーの試合になると、阿部四郎がハッスルしてジャガーに嫌がらせ行為を散々しまくるのですが、ジャガーも猛然と抗議していたので、意外と本気でやり合っていたんじゃないですかね(^^;

ジャガーは負けず嫌いなので、ダンプ&ユウにこれだけ一方的にやられたのが、相当に頭にきた、と考えるべきでしょう。


志生野アナ「強烈な平手打ち!!」

志生野アナ「阿部四郎に対して平手打ち!!」

志生野アナ「阿部四郎レフェリーが捕まっている!!」

志生野アナ「ゴングが打ち鳴らされております」

志生野アナ「これはもうどうしようもない」

 

 

志生野アナ「ジャガー横田の怒りは最もであります」

志生野アナ「これだけの怒りを示したのは初めてであります」

志生野アナ「顔面真っ赤!!」

志生野アナ「ジャガーが怒った!! ジャガー怒りのキック」

 

 

宮本「自分の実力で負けたんなら、まだ納得はいくでしょうけど」

志生野アナ「これだけの怒りを示したのは初めてであります」

志生野アナ「レスリングのためにもこういったレフリーは許さるべきではありません」

志生野アナ「ジャガー横田、ご覧ください」

志生野アナ「やっとお客様納得いたしました」

志生野アナ「ジャガー横田、お客様の気持ちを代弁するようなレフリーに対する攻撃でしたね」

志生野アナ「敗れたりとはいえ、貫禄をみせました」

志生野アナ「お客様のハートを掴んだ一戦でありました」

 

 

いやぁ、これを見るとジャガーはマジ切れしていますね・・。

もともとジャガーは演技派ではないので、これはおそらくマジです。

 

そして、試合後におそらくジャガーが松本に文句言ってます!!(笑)

「おい松本!! 今日のはやりすぎだろ!」とかね。

 

あー、怖い怖い。(^^;

ジャガーはジャッキー佐藤からベルトを取った後、散々苦労してきていますからね。ダンプやユウのような実力者でもないレスラーに、反則でコテンパにやられるというのは、絶対に納得できなかったのでしょう。いくら会社ぐるみの極悪コンビの売り出しとはいえ、自分のプライドが傷つけられるような試合はやりたくない!! というのが手に取るように分かります。

これがジャガーの良さでもありますが、興行のレスラーとしては危ういところでもあったんじゃないかと思います。

 

ところで、阿部四郎ですが、この試合で大ブレイクした感じがあります。

 

皮肉にもジャガー横田によって、有名になっていく阿部四郎。

阿部四郎はこのあと、ついにダンプたちにくっつていてしまい、さらにダンプの悪行をも喰ってしまう飛んでもない目立ちっぷりを発揮していきます(笑) このとき、まだ阿部四郎の能力には誰も気が付いていなかったかもしれません。ダンプさえもこの希代のパフォーマーの能力に!!

 

この試合を見ると分かりますが、ダンプとユウの凶悪ファイトも凄いですが、それ以上にお客様の怒りに火をつけたのは、どうみても阿部四郎です。強烈すぎる個性です。腹が出たおっさん体型、ちょっと悪人っぽいパンチパーマ。どこかコミカルなところはダンプと非常に共通点が多くあります。

 

1984年代はダンプとユウの個性がどんどん伸びますが、それにも増して、阿部四郎の個性も大いに目立ち、試合によってはダンプの悪行が、阿部四郎の悪行に喰われてしまうこともありました。ある意味天才的なレフェリーだったのは、この試合を見れば分かります。

 

クラッシュ時代を支えた3大パフォーマーを上げるとすると、ダンプ松本、長与千種、そして阿部四郎の3人なんじゃないかと思います。

 

今日の凶器 スパナ、栓抜き、バケツ、鉄パイプ、チェーン

 

この試合、エキサイティングプロレスの6月号でも特集されましたので、リンクしておきます。