MIU404 第9話　「或る一人の死」

公式さんのインスタより。

伊吹に寄り添っているのはポリまるですが、本当は志摩、と言う回でした。

ただでさえ不穏なサブタイトルからビビっていた視聴者に、初っ端から8話のラストの映像とキャストのテロップが流れて心拍数と血圧を上げてくれた第9話💦

悪戯で酷い落書きをされて汚れてしまったメロンパン号が、ガマさんの事件でグシャグシャに壊れてしまった伊吹の心のように見えました😢

「俺たちの仕事は出来なかったことを数えるんじゃなくて、出来たことを数える」

取り逃した成川を追いかけたいと申し出た九重に、陣馬さんがかけた言葉。

その言葉に目を伏せる伊吹。

「俺たちが定年まで刑事をやるとして、誰かを助けた数と助けられなかった数、どっちが多いんだろうな？もしかすっと、助けられない方がはるかに多い」

多分、初めてネガティブな言葉を吐く伊吹に志摩は答える。

初めて組んだ日に伊吹が言った

「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に止められるんだよ。超いい仕事じゃん」

その言葉に感動したんだと。

「この野生のバカと走ったら、取り戻せるかもしれない。今まで助け損なった人達の分も、誰かの未来をいい方にスイッチさせて救えるかも知れない」

と。

「止められるかな」

「止められる」

「間に合うかな」

「間に合う」

「間に合う！」

二人で落書きを洗い落としながら、自分達に言い聞かせるように何度も繰り返す呪文のような言葉に、伊吹に寄り添って支えようとする志摩の心根が伝わって来て、開始早々からグッと来ました。

事情聴取の帰り道、ハムちゃんを送りながらここが俺の1番好きな道だとはしゃぎながら、ふっと目線が遠くなる伊吹の横顔と、案じ顔で視線を向ける志摩の表情。

「もしも、ハムちゃんに何かあったら、隊長に何かあったら、ゆたかに何かあったら、俺は許さない」

「安心しろ。俺も許さない」

伊吹の膝を叩きながら

「そうなる前にエトリは必ず捕まえる」

と言った志摩に、何処かほっとしたような表情を浮かべる伊吹。

もうね、あげたらキリがないようなレベルで、この回の伊吹と志摩の繊細なお芝居は素晴らしかった。

特に、伊吹を見守る志摩の目線の優しさったらない。

ああ、いつの間にか志摩にとって伊吹は、自分の心を傾ける大切な存在になったのだなと。

対する伊吹も、メモは取るようになったし、車の鍵はちゃんとかけるし、志摩に注意されたことはちゃんと直すし、志摩が止めれば自分の感情も制御する努力はするし、志摩の言葉はしっかり伊吹の心に届いている。

バディと言うのは、歳の差があろうが階級差があろうがあくまでも「対等な存在」であるのが最低条件だと思っていましたが、時々暴走する野生のワンコと唯一それを止められるストッパーコンビの404と、叩き上げとキャリアでも親子みたいな経験値と歳の差コンビの401も、どちらのバディもアリだし、それぞれ凄くハマってる。

（今回は組にガサ入れする時の陣馬さんが伝授した九重くんの顔面配備、最高でした‼️🤣👍✨）

今回のクライマックス、ハムちゃんがエトリに捕まったかもしれないと知らされてからの全てが名場面。

綾野剛さんの「バケモノ級」とか「ジブリ並み」（判る〜‼️）とまで評された演技力はもちろん、それを文字通り受け止めた星野源さんも素晴らしかった✨

（下手したら相手役がぶっ飛ぶレベルの芝居を互いにガチンコでやり遂げたわけです）

何しろ二階の窓からノーガードで飛び降りる伊吹ですからね…

何回も体張って、自分よりも大きくて暴れまくる伊吹を力ずくで止めるのはさぞや大変だったことでしょう。

もはや綾野剛が伊吹藍にしか見えないように、星野源も志摩一未にしか見えない。

エトリに沈められた井戸の底から、間一髪ハムちゃんを助け出せた時

「間に合った‼️」

と、昂る感情のまま叫んだ志摩は、縋るような目で自分を見ていた伊吹を思わず抱き寄せますが、あれはハムちゃんが助かったことは勿論、その事によって未だに血を流し続ける伊吹の心に、また取り返しのつかない深傷を与えずに済んだ事にもほっとしたんじゃないかな。

あのシーンはアドリブで、さらに監督さんがドライの段階ですでに嗚咽を漏らしていたそうですが💦

例えドラマは虚構でも、その虚構を越えて観ている者を感動させる「本物の瞬間」があるのだと実感させてくれる名場面となりました。