フラ恋ロスのまま月日は流れ…いつまでも感傷に浸ってないで、そろそろ最終回の感想を書かないと、いつまでもロス生活が終わらない。
オーディオコメンタリーを飽きずに3回観て、ようやく重い腰を上げました(^^;;


最終回、良い意味で予想の斜め上を行ってくれました。
古今東西、異種族交流譚の物語は悲恋に終わることが多いので、このドラマの設定を知った時からなんとなく哀しい終わりを予想していました。
でも、大団円の結末で、切ないけれども本当に幸せな温かい気持ちで最終回を観終えることが出来ました。
( ; ; )

元は人間だったけれど、今は不老不死の「怪物」になってしまった研さん。
本当は優しく純粋な彼を、未知の存在に対する恐怖と嫌悪から排除しようとするのが人間なら、例え己と異なる理解を超えた存在であったとしても、あるがままの彼を受け入れ、護ろうとするのも人間。

研さんを不老不死の存在にしたので、どうしてもファンタジーのイメージが先行してしまいましたが、実は登場人物達と一緒に視聴者の「人間力」みたいなものが試されていた物語だったような気がします。
本当に、素敵な台詞や考えさせられる台詞がたくさんありました。

己の正体を正直に明かした為に窮地に陥った研さんを、自分たちの立場も顧みずに最後まで信じて護ろうとしてくれた稲庭工務店の皆さん。
身体を張って警察や保健所から逃がしてくれましたが、公務執行妨害で逮捕されなくて本当に良かった!!
特に頼り甲斐のある社長と、なんとも言えない色気と包容力がある玉名さん、大好きでした(笑)


最初はヒール役だったのに、最後は研さんの存在を認めて応援までしてくれるようになった十勝さん。
クビになった天草さんが復活したように、きっと十勝さんの番組も復活して、研さんが楽しみに聴くようになったはず!(笑)

科学者としての立場からクールに理論的に研さんの存在とその価値を認めて、なおかつ研究対象としてではなく、意思を持つ人間として尊重して、人間の世界で平和に生きていける道を示してくれた鶴丸教授。
マッドサイエンティストの域に達していた深志健太郎博士の、愛情故の研究とその成果を認めてくれてありがとうございます!
教授の説得力のある説明がなかったら、斎藤工くんが熱演した深志博士は、一人ロードオブザリングのサルマンとして認知されたままでした(^^;;

そして何より、陰に日向に研さんを最後まで支えてくれた稲庭先輩!
なんだかんだありましたが、彼なくしては研さんや津軽さんの幸せな結末はなかった!
美琴ちゃんと幸せになってくれて、長生きしてくれて、研さんを一人ぼっちにしないでいてくれて本当にありがとう!
間違いなくこのドラマのMVPでした。

喜怒哀楽が激しくて共感し易い室園さんに比べて、ヒロインにしては物足りないと言われてちょっと影が薄かった津軽さんですが、ラスト2話で存在感を発揮しました。
不治の病であるせいか、常に受け身(1話以外)で無常観さえ漂っていましたが、遺伝子の奇跡によって病が完治したことによって、初めて自分の未来や希望を思い描けるようになったのかなと思います。
森に消えた研さんの痕跡を探して追いかけて再会して「好きです」と涙ながらに告げた津軽さんと、彼女を優しく抱きしめた研さんの姿に感動しました。

相手に触れること。
寄り添って手を繋ぐことが最高の愛情表現だなんて恋物語があってもいいじゃないですか。

そして、志半ばで病に倒れた山部呼六と、人間だった頃の記憶もなく120年もの長い間孤独に生きて来た不老不死の「怪物」である主人公。
判りやすく?人外=フランケンシュタインと呼ばれていましたが、元は人間で怪物になってしまったと言う点では、吸血鬼の方がイメージに近かったかも。
この深い孤独と純粋な優しさを持つ深志研という人物は、綾野剛という役者の持つ繊細な魅力をとても良く表現していたように思います。
(いや、演者が役に命を吹き込んだんですね)
エンドロールの主題歌と映像を観て以来、ずっとひたすらに主人公の幸せを祈り続けておりました。


エピローグで描かれた数十年後の未来。
(稲庭工務店の近未来自家用ジェット機には吹きましたが(笑))
研さんと添い遂げて天寿を全うした津軽さんはすでに亡く、稲庭先輩と室園さんの孫である人物が、研さんが生み出した新しい菌と研究成果を受け取りに来ます。
研さんの菌と研究によって新しい薬が次々と開発されて、世界中の人たちが研さんに感謝しているそうです。

「これから君はどんな菌をこの世に放つとも限らない。できれば優しい菌をたくさん作って貰いたい。そしてその菌を君自身が研究するんだ。もちろん、我々研究チームの一員として」
鶴丸教授の言葉に、自分が人間の役に立てると知って子供のように泣く研さんの姿に思わず貰い泣きしましたが、エピローグでも改めてこの台詞を思い出しました(T_T)

研さんが世界中の人に感謝されるようになれたのは、研さんが人に優しい菌だけを生み出せる環境を、周囲の人達がずっと守り続けていてくれたから。

不老不死の生命が尽きる日が来るのか。
未来永劫、一人きり森の中で生き続けて行くのか。

愛し愛された人の思い出を胸に、ずっと一人で生きてゆく研さんの未来を思うとたまらない切なさがこみ上げてきますが…

まずは大団円。

細かい突っ込みどころはたくさんありましたが、それ以上に久しぶり見応えのあるオリジナルドラマでした。
素敵な優しい物語をありがとうございました。


Blu-rayの発売を楽しみに待っております(^^)