たくさんの思い | schnaufpause

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Vorwaerts,marsch!

5歳の春、息子は人間不信に陥りました。

今もそうですが、彼には「憎む・恨む・妬む」という感情がほとんどありません。

いじめを受け、先生にも助けてもらえず、「どうして?悲しい」という気持ちだけを胸にしまいこんでいました。



そしてある日曜日の昼食時、息子は突然泣き出し、私達は初めて彼の苦悩を知りました。

私は不妊治療のための通院、注射・投薬による体調不良を理由に、息子の事をきちんと見てやってなかったのです。

反省しました。息子の話をじっくり聞き、慰め、抱きしめ、そして夫と相談の上不妊治療をやめました。

幼稚園に出向き相談しましたが、期待できるものではありませんでした。

息子のこわばった心を解いてやるにはどうすれば良いのか・・・。



丁度その頃、夫にヨーロッパ出張の話があり、一緒に行こうと提案してくれました。

暫く幼稚園から離れ、自分の生まれた街を見て、私がずっと側にいることはとても良いのではないかと。

ところが夫の出張が流れてしまい、この話はおじゃん・・・と思っていたら、

「2人で行って来たらいいよ。しらない場所に行くわけじゃないんだし。」

と夫が背中を押してくれました。

その言葉をありがたくもらい、初めて息子と2人きりの旅を決行しました。



機体に不備があり3時間遅れでフランクフルトに着いた時、外はすっかり夜。

さらにここからバスでデュッセルドルフに向かいます。

リムジンバスに乗り込んですぐ、運転手さんがクッションを片手に息子の元にやってきました。

「長い時間疲れたろう?これは僕のクッションなんだけど、特別に貸してあげるよ。着くまでゆっくりお休み。」

にっこり微笑み、息子にクッションを手渡してくれました。

そしてアテンダントの女性が「喉渇いてない?何かジュースを飲む?何がいいかしら?」と後ろから声をかけてきました。

私から通訳されても、不思議そうな顔しか出来ない息子。それでも大事そうにクッションを抱いていました。



滞在先ではホテルのご主人達が「孫が遊びに来たときに使ってるんだ。」とリモコンカーを貸してくださり、買い物に行けば「はい。おまけ。」と言ってシールを貰ったり。ドイツ人の友人からはたくさん抱きしめてもらい、私の元職場の人たちから可愛がってもらい、息子はたくさんの愛情をもらいました。

そして最終日、私達が住んでいた家を前に、

「お母さん。どうしてドイツの人たちはみんな僕に優しいの?」

と聞いてきました。

「ドイツの人たちだけじゃないよ。人はみな優しい気持ちを持ってるんだよ。」

私の言葉に息子は何を感じたのかは分かりませんでした。

でも1週間の旅の間に、息子の表情には明るさが戻っていました。

帰国すると「明日から幼稚園だね。」と笑って言いました。





去年私達はまた同じような悩みに襲われました。

息子の夢はミュージカル俳優になること。

「応援してますよ。でもね、お母さん。子供には今やらなきゃならないことがあるんですよ!もっとお友達と遊ばせなきゃダメです!だから息子さんは理解不能な行動を取るんですよ!」

この先生の発言を私は一生忘れないと思います。

なぜそのような行動になったのか、理由を聞くことも無く、自分の主観で息子を判断。そしてその傾向はクラスの友達にも伝染。

友達とだってたくさん遊んでたのに、段々いじめの対象に変化していきました。

あまりものことに、ついに私も怒りが抑えられなくなり、先生にかなり長い手紙を書きました。

「私はそんなこと(理解不能発言)言ってません。でも誤解があったようならこれから対処します。」

それはもう3学期の終わりにさしかかってました。とりあえず暴力をふるってくる子供の両親に注意はしてくれました。謝罪の電話も先方から頂きました。

けれど、クラスの友達の息子に対する小ばかにした思いはそうそう消えるものではありません。

去年1年で息子の表情は暗く、疑心暗鬼のものになってしまいました。



幸い今年はとても良い先生が担任となりました。「去年より学校が楽しいよ。」とクラスの友達とも毎日楽しく過ごしている模様。



そして、息子の夢への第一歩が始まりました。

ここにきて、息子を優しく、強く、暖かい風が包み込んできています。

これは神様の思し召し・・・そう感じる程です。

そして背中を押してきています。大丈夫だよ!大丈夫!

息子の顔から明るい表情がこぼれています。



私達をとりまくたくさんの方の思いに、この場で大きな声で叫ばせてもらいます。

みんな、たくさんたくさんありがとう!!