「接見を待ちながら…」
起訴前の弁護人接見の大半は、警察署の留置場で行われる。警察署の留置場は、いわゆる「代用監獄」とよばれている。旧監獄法が、被疑者、被告人の勾留等の身柄拘束施設の代わりとして警察の留置場の使用をみとめていたことから呼ばれた用語である。留置場の管理は警察署の留置管理課ないし留置係により行われ、捜査のセクションとは人員を異にする。
留置には、接見室ないし面会室とよばれる部屋が用意され、弁護人接見ないし一般面会はその部屋で行われる。都内の小規模の警察署は接見室が一室しかなく、接見が競合すると、先の接見が終わるまで、弁護人といえども待たされる。弁護人接見は予約はできないので、先に他の弁護人が接見に来ていると、きた順番で、待たされることになり、特に夜の接見は、弁護人接見しかありえないので、結構、待たされることがある。
待機場所は、留置室の手前の待合室もあるが、警察の一般窓口ロビーで待たされることも多い。ぼーっと待っていると、窓口受け付けの警察官の電話対応の話し声が聞こえてくる。落とし物や通報の電話もあるが、なにやら苦情や人生相談っぽい電話もあり、対応に苦慮する警察官の声も聞こえる。警察署はなにしろ24時間動いている。困ったときの便利屋あつかいで電話する市民もいるようだ。24時間よろず屋相談所である。ときには酔っ払いの保護とかでてんやわんやする場合もある。弁護士の仕事もよろず屋相談的で、窓口業務の警察官の気持ちはよくわかる。こういった地道な警察官の仕事ってテレビなんかではあまり紹介されない。派手な捜査、繁華街の取り締まりなどが「警察24時間」などで放映されるが、こういった警察官の地道な仕事こそクローズアップされるべきではないかという気もする。
さて、そういって待っていると、ようやく接見可能ということで、留置管理の受付にいって接見申し出の書類を書く。被疑者の氏名、弁護士氏名、事務所住所等を記載する。国選弁護では、この接見用紙の写しを提出することになっており、国選用の転写シートを使って記入する。以前、接見回数を水増しし不正請求した国選弁護人がいたため、不正を防ぐための措置ということらしい。同業者といえ情けない話である。
弁護士の身分確認として記章(弁護士バッジ)か身分証の提示を求められる。弁護士登録番号を聞かれることもある。以前、東京拘置所で弁護士を装った者が接見を申し出たことがあったらしい。どういう手段を使ったのかは不明だが、詐称面会は、建造物侵入罪にあたるんでしょうかね。
弁護人接見の場合、持ち物チェックはされないが、被疑者と外部との携帯電話での通信は禁止される。弁護人に対して、携帯電話を預けるように要請する警察署もある。東京拘置所も弁護人用のロッカーに携帯電話を預けるよう要請している。
接見室の広さは、警察署によって違うが、新しい施設やおおきめの警察署は、広めに作っているとことが多い。被疑者と弁護人との間には、テレビでよくでてくる穴の開いたクリヤーの窓がはめられている。窓越しでの会話となる。
ここでの弁護人と被疑者との会話は、警察官等の立ち会いのないものであり、いわゆる秘密接見である。捜査、取り調べは可視化の議論があるが、弁護人の秘密接見を公開せよとは話はありえない。捜査機関側に対して、防御上の打ち合わせ(プライベートな個人情報も含む)が漏れ、手続き上不利になる可能性があるからである。だから、弁護人としては、刑事手続き中のマスコミへの情報開示は慎重にならざるを得ないとおもう。