エミー賞5部門受賞! TVシリーズの枠を超えた超大作!
古代ローマで繰り広げられる愛と策謀の物語
この『ROME』は本当にお勧めです。少しでもこの作品が気になってレビューなどで情報を集められている方は、どうぞ迷うことなくご覧ください。
「古代ローマの知識はあまりなく、知っているのはシーザーとかクレオパトラくらい…」という人から、「やっぱりローマ軍といえばこの楯だね~。ギリシアの丸型に比べるとこの長方形スタイルと持ち手のつき方がなんとも…」と細部にまで造詣の深い人まで、幅広く楽しめる極上のドラマに仕上がっています。
制作費を200億以上かけた画面は見事に古代ローマの世界を再現しており、その中で展開するドラマは非常に見ごたえたっぷりです。
この作品では、カエサルやアントニウスなど歴史に名を残した連中の政権争いはもちろんのこと、普通の古代ローマ物では描かれないような、歴史の表面には出ない女性や庶民の姿が描きこまれています。女性ならではの方法で策略をめぐらして政治的な流れをコントロールしていくカエサルの姪アティアや、庶民階級の出身でローマ第13軍団の百人隊長ヴォレヌスとその配下の軍団兵プッロが家族や女性や仕事のことで悩み、政権争いに巻き込まれていきながら、困難な状況下でも固い友情を培っていく姿など、登場人物が織り成す人間模様が本当にリアルな古代ローマの世界を作り上げています。
特にヴォレヌスとプッロの戦友同士の友情物語は人間ドラマとして非常に秀逸で、政権争いのドロドロで陰惨になりがちなこの物語を明るく救ってくれていました。
英語のことわざで「ナポリを見てから死ね」というのがありますが、「ROMEを見てから死ね」と言い換えたいくらいの、本当にお勧めの作品です。
ちなみに、本編は全22話ですが、特典ディスクに古代ローマ社会や登場人物についての解説がいくつかついています。これもしっかり作ってあって、ヘタな歴史番組なんかよりもいいデキですので、こちらも忘れずにご覧ください。
1.もっと続きを見たい
後編は、カエサルの遺言によりオクタヴィアヌスが養子になるところからクレオパトラが死ぬまで。ブルータスの母親(=カエサルの愛人)がしつこくて辟易するが、やはり後編も面白い。あのカエサリオンはその後どうなったのだろうか、などと余計な心配をしてしまった(笑)。この時代のことについては基礎知識がないため、ときおり西洋史辞典などを引きながら見ていたが、ブルータス、アントニウス、キケロ、プトレイマイオスなど、やはり映像で見ると記憶に残る。もっと続きを見たい。後編では、刑事裁判(弁護人の活躍。人殺しの場面が多い割には逮捕されることがなかったのに、今回は逮捕された。)と刑罰の執行(罪人を逃してもいいの?)、同業者組合のなわばり争い、飛び道具として槍が登場してきた戦争など、当時の様子がよくわかる。これをきっかけにして、古代ローマ に関する本を読んでみようと思った。
2.無駄にならなかった制作費
巨額の制作費を見事に活かした作品だと思います。
私はあまり歴史的なものに国内外を問わず興味が無かったのですが、この作品はある意味異色。
お色気というか、セックスそのものがかなり過激に表現されていて、民放ではあり得ないとは思っていましたが、HBOだったんですね。納得です。
アメリカ・イギリス合作との事ですが、作品で会話されている英語はイギリス英語のようで、字幕や原語でご覧になる方は、観られる前にあらかじめインプットしておいて下さい。
どうしても歴史物というとその戦術の賢明な部分や、その人物の成し遂げた威光ばかりが表にでる映画、書物等が多い中、この作品はいわば裏の世界、人間の強欲さと卑しさ、愚かさもきっちりと嵌め込んだ真の歴史物です。
私のような、全く歴史に興味の無い人間でも十二分に楽しめるものでした。
最後にもう一度断っておきますが、あの日本の時代劇の入浴シーンや悪代官が町娘の着物の帯をくるくるほどきながら、ぐへへへへという次元のレベルではないので、ご家族でご覧になる際は十分ご注意を。
3.人間不信になりそう
激安DVD 巨額の製作費をかけてローマDVD 時代を再現すると、これまでなら必ず英雄が登場して、勧善懲悪の「正義」のドラマになるのが定番であったが、この作品は「すさまじいまでの人間のエゴ」から生じる地獄を「建前で取り繕ったもの」が歴史であると厭になるほど見せつける。まともに見ていると人間不信になりそうだが、きれいごとばかりを並べた歴史劇ばかり見ているとおめでたい人になりそうで、こういう作品も観ておく価値は十分にある。