お疲れ様
あれからシーシーの衰弱ぶりは酷く、
抗生物質や点滴も効果なし。もはや骨と皮だけの状態だ。
お医者さんからも 『今、心臓が止まってもおかしくない』
と見放される始末。
それでもシーシーは頑張った。
でも・・思いおこせば、
最初に会った時もそのような状態だったので、
最後まで諦めてはいけない。
既に寝たきりで呼吸だけしている状態で、起き上がることすら出来ない。
体温もどんどん下がり、手足などはとても冷たい。
ひたすら温めてマッサージをした。もう本人は水さえ飲まない状態でも、
気管に入らないよう、スポイドを使い慎重に少しずつ水も飲ませた。
私も数日間、床に寝泊りしながら一緒に戦った。
ウトウトしかかったその時だった。
急に最後の力を振り絞って起き上がり、私の膝の上に上ろうとした。
しかし、むなしく途中で私の膝の上で倒れて、
ひきつけのような痙攣をしはじめた。とても苦しそうだ。
『頑張れシーシー』
私は心臓をマッサージするしか方法が無かった。
本当に無力で悔しかった。
意識があるのか?ないのか?よくわからないが、
目と口を開きじっと私を見ている。
私は神や霊魂を信じるタイプの人間ではない。
しかし、この時ばかりは確かに聞こえた。
『ありがとうね』
次の瞬間、大きく深呼吸したかのような呼吸を
一度だけして、彼女の心臓は止まった。
私はマッサージを続けたが、
もう戻ってくることはなかった。
しばらくして彼女の残した遺産2匹を遺体のそばに連れてきた。
『この姿をよーく見ておけ。
お前達もいずれ親になるだろう。
カーサンはお前達の為に最後まで頑張った。
見習うんだぞ』
そして最後のお乳を飲ませた。
子猫達は容赦なく、いつまでもむしゃぶりついていた。
私は幼少期、数十匹のノラ猫達に囲まれて育った。
地域のかわいそうなノラ達が集まってきてたからだ。
田舎だったので、ノラ達が暮らすには環境も悪くはなかったと思う。
しかし当時の我が家は裕福ではなかった。
なので満足な医療も受けさせることが出来ず、
悲しい最後は何度も体験してきた。
今回のようなことは当然慣れているハズなのに、
さすがに今回は辛かった。
シーシーと最初に会った時のことは前にも書いたが、
またどうせ?私が最後をみとることになるだろうなぁ・・
と覚悟はしていた。
・・・が、彼女は 『普通』 とは違った。
たった半年で 『生と死』 の両方を残して逝った。
そして周囲にもとても優しい猫だった。
もう起き上がることすら困難な状態でも、
倒れながら我が家の主のチーのとこへ何度も挨拶にいった。
家の外ではシーシーのことが心配なのか?
部屋の前に大勢のノラ猫達が集まってきていた。
その中には彼女の『ひまご』もいた。
シーシーの手前、小猫らに名前をつけるのは遠慮していたが、
孤児になってしまったので、名前を付けることにした。
白い方が 『めかぶ』 で、シーシーに良く似た方が
『もずく』と呼ぶことにした。
性別は小さすぎて、まだよくわからないが、
多分?両方メスのような感じがする。
めかぶは力が強く、一回り身体も大きい。
少し毛が長いので長毛種のようだ。
ご飯も横取りするし、たくましい。
もずくは母親ソックリな顔立ちで、
とても美人だ。そして頭が良い。
母親に似て気が優しい。
成長を見守っていこうと思う。





