レースの準備 (流れ)
極冷時の最低限の流れを書いておきます。
1)
まずCPU、メモリ、ビデオカードなどの主要パーツで動作確認。
2)
M/B裏に養生を施し、『CPUはM/Bから外さず』(出来ればメモリも)
そのままソケット周辺など最低限の養生を施す。
3)
ビデオカードなど他、接続が終わったら仮でPOTを載せて
念の為に簡単な起動試験を行なう。
4)
最終的な養生を施す。
冷気の誘導の為のファンも必要なら設置する。
5)
CPUにグリスを塗り、本格的にPOTをセッティングする。
6)
電源を入れ、BIOSに入る。そのまま5~60℃まで温める。
グリスを温め、のばしながらPOTとCPUを密着させる。
7)
温めてる間に一度OSを立ち上げ、電源を確認する。
実測がベストだが、計測ソフトなどで
特に12v、3.3vラインの出力をチェックする。
8)
システムが温まったら、BIOSの温度表示と
POTの温度表示の差を確認。
この『温度差』を覚えておく。
9)
ドライアイスかLN2を投入する。
BIOSの温度表示がグングン下がっていくので、
先ほど確認した温度差が開かないように
POTを少しずつ増し締めしながら温度を追いかける。
POTのレスポンスにより、熱移動が追いつかない場合も
多いので神経質な締めすぎには注意。
10)
零下に落ちたら更に少し強めに締める。
11)
ドライアイスの温度帯でも長時間プレーすると
POTは縮むので適度に増し締めを行なう。
水没以外の死亡例で多いのは、
CPUソケット内部や周辺の断線が原因です。
冷えた状態でのPOTの急激な増し締めや、
緩める行為は危ないです。
負荷のかかった状態で少しずつが基本です。
12)
零下に落ちてからは、勝負用の電圧設定(高Vcoreなど他も)
と常温Vcoreの中間あたりの電圧設定で
目的の温度まで下がるのを待つ。
可能なら、たまにOSを起動させエージング作業など行なう。
13)
長時間プレーの際は電源効率が低下するので、
しっかり管理する。
常温時にチェックした
12v等が降下してないか確かめる。
電圧可変ソフトなどで、電圧を昇圧させてみて
常温時と同じように正常な電圧上昇が出来てるか確認。
なるべく負荷の高いベンチマークを走らせ、
12vライン等のロスを再確認する。
あまりに降下が酷い場合(アイドルで11.8v以下など)
は養生(保冷)や
初期エージングに失敗してる可能性が高いので
すみやかに撤収する。
冷やしに入ってからの、パーツの取り換えは
最小限にする方が望ましいです。
特にメモリなど挿し換えてロクなことはなかったです。
触った感触で結露等、濡れてるようには見えなくとも、
もの凄く基盤によっては繊細で、水没に弱いです。
欲を出して差し替えたりしてるうちに
システム全体が起動不可のパターンも多いです。
ちなみに危険箇所の見分け方の基本として・・
指で触ってみて冷たくなっている箇所は
目視で濡れてないように見えても危険、
逆にカチンカチンに凍っている箇所は安全です。
14)
一通りレースが終わったら、撤収作業に入る。
ちなみに我が家の死亡例の半数以上も撤収作業中に起っており、
もっとも重要なポイントと言える。
15)
定格設定に戻し、異常が無いことを確認後、
システムの温度を上昇させる。
当然、POTも膨張しM/Bに負担がかかるので、
温度とともに少しずつPOTを緩める。
16)
-100℃以下まで落としたシステムなら、約-50℃、
-100℃未満でプレーしたシステムでも-30℃付近より温まると
水没が激しく電源が入ってると危険なので、
それまでに作業を終わらせ電源を落とす。
雨季などは更に余裕を持たせた方がベスト。
17)
常温まで待ってPOTなどを外すのがベストだが、
常温ギリの-5℃くらいでPOTを外した方がグリスが
ふき取りやすい。
ここでCPUとソケットなどに付着したグリスを
アルコールなどでふき取る。
18)
CPU、メモリなどは、端子が凍ってる場合もあるので、
十分室温付近まで温まるまでは外さない。
養生等はこの時点で外す。
19)
ソケットの金具を上げ、まずはソケットに付いたグリスを
丁寧にふき取る。金具の裏に付着したグリスにも注意を払う。
この時点でもCPUには絶対に触らない。
20)
金具が完全にキレイになったら、最後にCPUをM/Bより取外す。
CPUの表と裏をアルコールなどでふき取る。
21)
最後の2項目は重要で、ここをおろそかにすると、
ソケットのピンにグリスが垂れて付着し、
通電不良、ピン折れの原因になってしまう。
細かいこと言い出したらキリがないので、
本当に最低限だけですが、だいたいこんな流れです。
増し締め等のポイントや温度管理、電源管理なども
使用してる環境で大きく違ってきますし、
ベンチマークの種類によってもセッティングが異なります。
初めての方向けの大まかな流れとして
頭においておくと便利でしょう。
慣れたら自身で色々発見して下さい。
最近のi7やAMD環境は殆ど手間なしでOKになりました。
つい最近まではこれの3倍程?最低でもやることはあったのですが、
楽になりましたね。ホント誰でもレースに参加出来ます。
しかし、過去の事例からみても
今後も簡単になっていくとばかりとは限りません。
覚えておいて損はないでしょう。
そしてJ.C.Aのパーツ類を使用した場合、これまた色々
変わってくるでしょうから、もちろん完全サポートしまーす。